犬を預けるペットホテルとは? 選び方や相場・シッターとの違いを解説

「犬を預けるペットホテルってどんなところ?」
「ペットホテルの利用方法は?」
「ペットホテルを選ぶときの注意点を知りたい」

犬の飼い主さんで、このような疑問をお持ちの方は多いはずです。犬と暮らしていても、旅行や出張で家を不在にしなくてはならないことがあります。犬を一緒に連れていけない場合も少なくないでしょう。

このようなときに便利なのは、ペットホテルです。ペットホテルであれば、動物看護士やドッグトレーナーなどペットのプロに犬を見てもらえる安心感があります。

そこで今回はペットホテルの利用方法や注意点、費用の相場について紹介します。同様のサービスであるペットシッターについても解説しますので、最後までご覧ください。

犬を預けるペットホテルとは?

犬を預けるペットホテルとは、犬や猫などのペットが宿泊するための施設のことです。ここではペットホテルについて詳しく紹介します。

  • 犬のペットホテルの特徴
  • 犬のペットホテルのサービス内容
  • ペットホテルの料金相場

それぞれの詳細を見ていきましょう。

犬のペットホテルの特徴

犬のペットホテルは大きく次の2種類にわけられ、それぞれ特徴が異なります。

  • 動物病院に併設されているペットホテル
  • ペットサロンが運営するペットホテル

それぞれの特徴について詳しく紹介します。

動物病院

動物病院に併設されているペットホテルの特徴は、病気やケガなどの緊急時に手厚い医療が受けられる安心感です。愛犬が通院しているかかりつけ医であれば、犬も慣れているため不安を感じません。服薬のある犬やアレルギー体質の犬でも安心できるでしょう。

ただし動物病院に併設されているペットホテルは、ケージ預かりの場合がほとんどです。また、24時間体制でスタッフが常駐していることはほとんどないため、夜間対応は得られません。動物病院は患畜のみを対象としている場合もあるため、事前の確認が必要です。

トリミングサロンやしつけ教室

トリミングサロンやしつけ教室などのペットサロンが運営するペットホテルは、充実したサービスが魅力です。ケージフリーの施設も多く、併設されているドッグランでのプレイタイムや1日2回の散歩など、さまざまなサービスが受けられます。

また24時間体制でスタッフが常駐している施設も多く、夜間も安心です。緊急時の医療体制については、提携の動物病院があるのか事前に確認しておきましょう。

犬のペットホテルのサービス内容

犬のペットホテルのサービスは各施設によって異なりますが、おもな内容は以下の通りです。

  • 食事
  • 遊び
  • 散歩
  • 報告

トリミングサロンが運営するペットホテルであれば、シャンプーやカットなどのメニューも受けられます。しつけ教室の運営するペットホテルでは、トレーニングを受けられることもあるでしょう。

なかにはWebカメラで24時間、愛犬の様子を見られるホテルもあります。愛犬の性格にあったサービスが受けられるのか、事前に確認しておきましょう。

ペットホテルの料金相場

ペットホテルの料金の相場は、各施設や部屋タイプなどによって異なります。ペットサロンの運営するホテルに比べ、動物病院に併設されているホテルは比較的安価な傾向にあります。およその目安は以下の表の通りです。

【成田空港近辺のペットホテル】
小型犬 4,000円~9,000円
中型犬 5,000円~10,000円
大型犬 6,500円~11,000円
【世田谷区の動物病院のペットホテル】
小型犬 2,500円~5,500円
中型犬 3,000円~6,600円
大型犬 3,500円~7,700円

犬のペットホテルの利用に必要なもの

犬のペットホテルを利用するにあたって、必要なものを用意しましょう。用意するべきものは以下の通りです。

  • ワクチン接種証明書
  • ノミダニ対策
  • 食べなれたフードやオヤツ
  • ベッドやブランケット
  • 迷子札の装着
  • かかりつけの病院の診察手帳
  • マナーパンツ

それぞれの必要なものについて詳しく紹介します。

ワクチン接種証明書を用意する

狂犬病ワクチンと混合ワクチンの接種証明書を用意しましょう。ほとんどのペットホテルでは、1年以内に接種したワクチン接種証明書の提示が求められます。多くの犬や猫などのペットが出入りするペットホテルでは、病気の感染を予防しなくてはならないからです。

むしろ提示が求められないペットホテルは、どのようなペットが預けられているかわかりません。愛犬が病気に感染する恐れがあるため、利用を控えたほうが安全でしょう。

ノミダニ対策を行う

ワクチン接種と同様にノミ・ダニ対策も欠かせません。動物病院で処方された予防薬を、定期的に投与しましょう。ノミ・ダニは他の犬に移しやすく、皮膚炎や貧血などの病気を引き起こす原因になるため対策はかかせません。

犬がしきりに身体をかくなどする場合は、ノミ・ダニの寄生が疑われます。動物病院で駆除と治療を受けてから、預けるようにしてください。ホームセンターなどで販売されている市販薬ではなく、獣医師の診察を受けて駆除薬を処方してもらうことが大切です。

食べなれたフードやオヤツ

愛犬が普段から食べているフードやオヤツを、1食分ずつ小分けにして持参してください。ペットホテルによっては、宿泊中の食事は用意されていますが、食べなれているフードのほうが好ましいでしょう。

犬は環境の変化によるストレスで、食欲不振になったりお腹の調子が悪くなったりする場合があるからです。少しでも環境の変化が少なくなるように、食事面で配慮してください。

ベッドやブランケット

愛犬や飼い主さんの匂いの付いたベッドやブランケットを持参しましょう。慣れないペットホテルであっても、自分や飼い主さんの匂いの付いた物があれば犬は安心できます。ペットホテルは、他の犬やペットの匂いでいっぱいです。

このような環境で、嗅ぎ慣れた匂いがないと犬は安心できず、ストレスを感じます。犬のお気に入りのおもちゃの持参もおすすめです。

迷子札を装着する

ペットホテルに預ける際は、迷子札や犬の鑑札、注射済票を装着してください。ペットホテルで起こるトラブルのひとつに、犬の脱走が挙げられるからです。普段は脱走しない犬であっても、慣れない環境では何が起こるかわかりません。

犬は飼い主さんのもとに帰ろうと、必死で脱走することも考えられます。万が一の場合に備えて、身元がわかるようにしておきましょう。また犬の鑑札と注射済票の装着は、法律で義務付けられているので、普段から徹底してください。

かかりつけの病院の診察手帳

動物病院以外のペットホテルに宿泊する際は、かかりつけ病院の診察手帳を預けておきましょう。元気な犬であっても、環境が変わると体調を崩しやすくなるからです。

ほとんどのペットホテルでは、提携の動物病院があります。しかし、かかりつけ病院のほうが、愛犬に適した治療を受けられるので安心です。

マナーパンツ

ケージフリー預かりや室内でのフリータイムのあるペットホテルでは、マナーパンツやマナーベルトの着用が求められます。自宅ではトイレを失敗しない犬であっても、環境が異なるペットホテルでは失敗する場合があるからです。

マナーパンツやマナーベルトは、1日あたり3〜4枚を目安に日数分を持参しましょう。

ペットホテルを利用する前に注意するポイント

ペットホテルを利用する前に注意するべきポイントがあります。注意するべきポイントは以下の3つです。

  • ケージで過ごすことに慣れる
  • 事前にペットホテルの一時預かりを利用する
  • ヒートのタイミングを確認する

それぞれのポイントについて詳しく紹介します。

ケージで過ごすことに慣れる

ペットホテルに預ける前に、ケージで過ごすことに慣れさせておきましょう。ペットホテルによっては、散歩や排せつの時間以外はケージで過ごさなくてはいけません。

またケージフリーのペットホテルであっても、夜間はケージで過ごすところがほとんどです。愛犬のストレスを軽減するためにも、普段からケージで過ごすことに慣れさせておきましょう。

事前にペットホテルの一時預かりを利用する

ペットホテルを初めて利用する際は、事前に一時預かりを利用して、場所に慣れさせておきましょう。犬には、ホテルに預ける理由を言葉で説明できません。理由もわからず知らない場所に数日間も預けられると、犬は混乱しストレスを感じます。

一時預かりを利用し、場所やホテルのスタッフに慣れさせておけば、犬に与えるストレスを減らせるのです。

ヒートのタイミングを確認する

愛犬のヒートのタイミングを、事前に確認しておきましょう。ペットホテルによっては、ヒート中の犬は利用できない場合があります。利用可能であっても、ヒート中はトラブルの原因になるため、他の犬と接触する機会があるかなど事前に確認しておきましょう。

愛犬に合うペットホテルを選ぶポイント

愛犬に合うペットホテルを選ぶポイントは以下の通りです。

  • ケージ預かりかケージフリーか
  • 散歩はしてもらえるか
  • 24時間スタッフが常勤しているか
  • 提携している動物病院はあるか
  • フードの持ち込みは可能か
  • 第一種動物取扱業者(保管)の登録はされているか

それぞれのポイントについて詳しく確認しておきましょう。

ケージ預かりかケージフリーか

愛犬の性格に合わせて、ケージ預かりまたはケージフリーを選びましょう。ペットホテルによって、犬の過ごし方は大きく異なります。ケージフリーで他の犬たちと遊んで過ごすところもあれば、排泄以外はケージで過ごし他の犬とまったく触れ合わないホテルもあります。

社交的な犬であれば、ケージフリーが好ましいでしょう。臆病で犬が苦手であれば、ケージで過ごすペットホテルがおすすめです。愛犬の性格に合わせて過ごし方を選んでください。

散歩はしてもらえるか

ペットホテルのサービス内容に、散歩の時間が設けられているか確認してください。ペットホテルによっては、散歩のサービスは含まれない場合があります。オプションで追加可能なのか、散歩の回数や時間の長さも確認しておくべきです。

また数頭まとめて散歩をするのか、1頭ずつの散歩なのかも確認しておきましょう。安全面を考慮すると、1頭ずつの散歩が安心です。

24時間スタッフが常駐しているか

24時間体制でスタッフが常駐しているのかも重要なポイントです。犬は環境の変化から、体調を崩しやすくなります。夜間に巡回サービスはあるのか、緊急時は病院へ搬送してもらえるのかを確認しておきましょう。災害時の対応についても確認しておくと安心です。

提携している動物病院はあるか

トリミングサロンやしつけ教室に併設されているペットホテルを利用する場合は、提携している動物病院があるか確認しましょう。これまでお伝えしたとおり、普段と異なる環境では何が起こるかわかりません。

緊急時の対応については、必ず確認してください。環境の変化に敏感な犬の場合は、動物病院に併設されているペットホテルがおすすめです。

フードの持ち込みは可能か

ペットホテルを利用する際は、フードの持ち込みができるのか確認しておきましょう。食べなれているフードであれば、犬は安心できます。ペットホテルによっては、トッピングや手作り食であっても持ち込み可能な場合があるので、事前に確認しておきましょう。

第一種動物取扱業者(保管)の登録はされているか

ペットホテルを利用する際は、第一種動物取扱業者(保管)の登録を確認してください。第一種動物取扱業者の登録の有無は、ペットホテルの安全性を判断する目安になります。

清掃方法や脱走防止対策など、定められている基準を満たさなければ登録できないからです。またペットホテルの運営は、第一種動物取扱業者の登録が法律で義務付けられています。

環境の変化が苦手な犬はペットシッターがおすすめ

ここまでペットホテルについて、お伝えしてきました。ペットホテルの利用は、環境の変化に伴うストレスを犬に与えます。

環境の変化で体調を崩してしまう犬の飼い主さんは、不安を感じるでしょう。このような不安をお持ちの飼い主さんには、ペットシッターの利用がおすすめです。

ペットシッターであれば、犬は環境を変えずに安心して自宅で過ごせます。ここではペットシッターについて詳しく見ていきましょう。

ペットシッターとは

ペットシッターとは、自宅を訪問し飼い主さんの代わりに犬のお世話をする人のことです。ペットシッターに公的な資格はありませんが、「ペットシッター士」や「認定ペットシッター」など、民間の資格を取得しているシッターがほとんどです。

なかには動物看護士や動物介護士といった、専門的な知識を有するシッターもいます。ペットシッターを探す際は、資格や動物取扱業者の登録の有無を確認しましょう。

ペットシッターのサービス内容

ペットシッターのおもなサービス内容は以下の通りです。

  • 散歩
  • 食事の提供
  • 食器の洗浄
  • トイレやベッドの清掃
  • グルーミング
  • 遊びやしつけ
  • 報告

このようなサービスを自宅で受けられます。散歩コースやサービス内容については利用前の面談で相談可能です。

ペットシッターの料金の相場

ペットシッターの料金の相場は、3,000〜5,000円です。犬の大きさや頭数によって基本料金が定められており、時間の延長やサービスの追加で料金は変動します。

例えばトイプードル1頭のシッティングを、1時間依頼した場合の料金は以下の通りです。

初回登録料(初回のみ) 1,100円
基本料金(60分) 3,000円
合計 4,100円

別途交通費や鍵の返却費用が発生する場合もあるため事前に確認しましょう。訪問時間は基本60分間ですが、延長短縮も可能です。

ペットシッターとペットホテルの違い

ペットシッターとペットホテルの違いを以下の表にまとめました。

ペットシッター ペットホテル
特徴 送迎の必要がなく、犬は住み慣れた自宅でリラックスして快適に過ごせる 冷暖房の整った快適な環境で、1日中愛犬を見てもらえる安心感がある
メリット ・環境の変化によるストレスがない
・送迎の必要がない
・病気に感染する心配がない
・1日中愛犬を見てもらえる
・病気やケガにすぐ対処してもらえる
・トリミングやしつけ、健康チェックなどのサービスがある
デメリット ・ペットシッターのいない時間が長く不安を感じる
・病気やケガの対処が遅れる
・鍵を渡すことに不安を感じる
・環境の変化が大きい
・送迎する必要がある
・病気に感染する恐れがある

ペットシッターとペットホテル、双方にメリット・デメリットがあります。違いをよく理解し、愛犬の性格に合った方法を選択しましょう。

愛犬の性格に合わせた預け先を選択しよう

今回はペットホテルの特徴や料金、注意するポイントについてお伝えしてきました。ペットホテルは、種類によって過ごし方が大きく異なります。また、各ペットホテルによっても提供するサービスが異なるため、事前に確認が必要です。

ただし、どのホテルを選択しても環境が変化すると、犬はストレスを感じてしまいます。環境の変化で体調を崩してしまう犬には、自宅でリラックスしながら過ごせるペットシッターの利用がおすすめです。愛犬の性格に合った預け先を選択しましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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