犬に服を着せるメリットは? 季節に合わせた選び方や上手く着せるコツ

「犬に服を着せる必要はあるの?」
「犬に服を着せるのはかわいそう?」
「犬に服を着せるメリットが知りたい」

これから犬を飼う予定があるか方や犬を飼い始めたばかりの方は、こんな疑問を持っているのではないでしょうか。実は愛犬に服を着せている飼い主さんのほとんどが、「オシャレだから」という理由だけで選んでいるわけではありません。

服はさまざまな役割を担っており、ときには愛犬の健康を守るアイテムにもなります。この記事では愛犬に服を着せるメリットやデメリット、季節に合わせた選び方、上手く着せるコツなどを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

犬に服を着せる5つのメリット

犬に服を着せるメリットはオシャレに見えるという点だけでなく、さまざまなトラブルから愛犬を保護できるといった点も挙げられます。犬に服を着せる主なメリットは、次のとおりです。

  • 夏場は熱中症などの暑さ対策になる
  • 冬場は防寒具として寒さ対策になる
  • 術後のカバーなど皮膚の保護になる
  • 抜け毛防止になる
  • 散歩中の汚れ防止、ダニやノミなどの虫除けになる

犬に服を着せるメリットについて詳しく紹介していきます。

夏場は熱中症などの暑さ対策になる

犬は人間のように汗をかかないため、ハァハァと呼吸をして体温調節をしています。しかし、呼吸だけで日本の気候全てに対応できるというわけではありません。

犬は寒い国や暑い国など原産地によって得意不得意があります。例えばシベリアンハスキーのように寒い国が原産地の犬種はとても暑さに弱いです。そのうえ、人間よりも低い位置で生活しているのでコンクリートの照り返しなど熱中症になるリスクが高く、あらかじめ対策をしていないと体調を崩す原因になります。

服を着せると暑くなると思われがちですが、実は服を着せることで直射日光を避けたり、体温調節のサポートができたりするのです。

冬場は防寒具として寒さ対策になる

夏場と違い、冬場は室内外の気温差への対策として服の着用がおすすめです。室内で暖房をつけて生活している場合、散歩のために外に出ると気温差が激しく体に負担をかけてしまう可能性があります。

特にアンダーコートと呼ばれる被毛がないトイプードルやマルチーズなどは、他の犬種に比べて寒さに弱いです。気温差によるストレスを最小限に抑え、愛犬の健康を守るアイテムとして冬場は服を活用しましょう。

術後のカバーなど皮膚の保護になる

夏場や冬場以外にも、術後は患部の保護として服の着用がおすすめです。犬は人間のように意識的に我慢できないため、患部が気になれば舐めたり噛んだりしてしまいます。

術後はエリザベスカラーと呼ばれる円錐台形状の保護具をつけますが、ストレスから外してしまうワンちゃんも少なくありません。ときには、縫った糸を噛み切って傷口が開いてしまうこともあります。

犬は避妊や去勢など手術をする機会が訪れるので、服で患部をカバーしてあげることを覚えておくと安心です。

抜け毛防止になる

最近は、街中でもドッグカフェや店内に犬を連れて入れるお店が増えてきています。ペットOKなお店に入る際、たとえ犬好きが集まる場所であったとしても出来るだけ抜け毛を落とさないことが飼い主のマナーです。

犬種によって抜け毛の差はありますが、服を着せているだけで抜け毛を最小限に抑えられます。ドッグカフェなどでは服を着せるだけでなく、愛犬用のブランケットやクッションを持参するのもおすすめです。

散歩中の汚れ防止、ダニやノミなどの虫除けになる

犬に服を着せるメリットとして、散歩時における泥やダニ、ノミの付着防止も挙げられます。泥やほこりが付着した際は服を洗うだけで清潔感を保てますし、ダニやノミは服が1枚あるだけで付着する可能性がグンと減ります。

特にダニは一度噛まれてしまうと簡単に取れないうえ、感染症などのリスクがあるので注意が必要です。散歩コースに田んぼや草むらがあるという人は、動物病院で処方されるノミダニ予防と合わせて服を着用するのがよいでしょう。

犬に服を着せるデメリットがないわけではない

ここまで犬に服を着せるメリットについて紹介してきましたが、デメリットがないわけではありません。ただし、事前に知っていれば回避できるので、飼い主さんはきちんと理解したうえで愛犬に服を着せてあげましょう。

長毛種は毛玉ができやすい

長毛種の犬に服を着せるときは、脇や首元、胸などの擦れる場所に毛玉ができやすいと理解しておきましょう。気をつけなければいけないのが、被毛が絡まりやすいだけでなく蒸れなどによって皮膚に異常が起きる可能性がある点です。

服を着せているとついつい皮膚の状態を確認せず、気がついたら荒れていたなんてケースは少なくありません。1日1回のブラッシングと月1回のシャンプーを行い、皮膚の状態をチェックする習慣を身につけましょう。

適していない素材はストレスになる

最近は犬用の服といってもさまざまな種類があるため、犬種によって得意不得意があります。例えば長毛種の場合、フリースのような素材は被毛が絡まりやすいです。

反対に短毛種の場合は、サテンのようなツルツルとした素材は擦れてストレスを感じる可能性があります。初めて着せる素材の服は、必ず短い時間の着用からスタートして様子を見るようにしてください。

愛犬に服を着せるときの3つの注意点

愛犬に服を着せるときには、主に3つの注意点があります。

  • ショップによってサイズ感が違うので正しい寸法を測る
  • 適度に着せ替え、ブラッシングをして清潔感を保つ
  • 装飾が多いものや脱ぎ着しにくいものは避ける
  • 洗剤や柔軟剤に気をつける

事故やトラブルが起きないように、理解しておくのが飼い主としての責任です。それぞれの注意点を詳しく確認していきましょう。

ショップによってサイズ感が違うので正しい寸法を測る

犬の服は人間と同じようにS・M・Lなどでサイズが表示されていることがほとんどです。しかし、人間の服のように正確なものではなくショップによってサイズ感が違います

そのため愛犬のサイズはMであると思って購入してしまうと「小さくて着られない」「大きくておしっこがかかってしまう」などのトラブルが発生することも少なくありません。

愛犬の胴の長さや首周りのサイズは事前に測っておき、ショップごとにサイズ表で確認してください。サイズの合わない服を着せていると、思わぬ事故が起きたり愛犬がストレスを感じたりしてしまうため注意が必要です。

適度に着せ替えてブラッシングで清潔に保つ

普段から服を着せている飼い主が陥りやすいトラブルとして、着せっぱなしがあります。服を着せっぱなしにしてしまうと皮膚の状態がわからないだけでなく、付着した汚れやほこりが皮膚に密着したまま放置されることになります。

この状態が続くと皮膚病に発展するケースもあるので要注意です。適度な着せ替えとブラッシングで清潔に保ちましょう。

装飾が多いものや脱ぎ着しにくいものは避ける

犬服の中には、煌びやかな装飾が施されているものも増えています。外出時など常に目を配れる状況であれば問題ないかもしれませんが、誤飲などの事故に繋がるため出来る限り避けたほうがよいでしょう。

ロンパースやオーバーオールのように後ろ足まで繋がっている服も、慣れない間はストレスに感じるので避けましょう。

洗剤や柔軟剤に気をつける

犬は人間よりも嗅覚が優れているため、洗剤や柔軟剤の匂いにも気を付ける必要があります。柑橘やハッカなど犬にとって苦手な匂いの場合、体調を崩して吐いてしまうケースもあるほどです。

人間の赤ちゃんと同じように洗剤や柔軟剤の成分が皮膚に合わない可能性もあるので、無添加で害のないものを選ぶようにしましょう。

要注意!季節によって犬の服を選ぶポイントは違う

メリットとデメリットを比較すると、得られるメリットのほうが多いことがわかりました。しかし、1年を通して同じ服を着せていればいいわけではありません。夏場と冬場では選ぶポイントが違うので、季節に焦点を当てて適切な服について紹介していきます。

夏:クール素材やメッシュ素材など通気性がいいもの

夏場は、できるだけクール素材やメッシュ素材など通気性がいいものを選びましょう。最近は表面温度を下げるものや水で濡らして冷たさを持続させるものなど、様々な服が増えています。

熱がこもりやすいスウェット生地などは避け、軽くて薄い素材を選ぶのがおすすめです。薄い素材だと不安だと感じるかもしれませんが、1枚着ておくだけで直射日光は避けられるので皮膚を保護する機能が劣ることはありません。

冬:フリースやスウェットなど保温性の高い素材のもの

冬は夏場と違い、フリースやスウェット生地など保温性が高い素材を選びましょう。愛犬の被毛の長さと相性がいいものを見つけ、静電気が起きにくい素材を選択するのがベストです。

服1枚で寒さをカバーできないときは、ニットとアウターなどを重ね着するのもおしゃれでおすすめです。とはいえ寒さ対策として帽子を被せたり、マフラーをつけたりするのはストレスに感じてしまうので避けてください。

服が苦手な愛犬でもOK!上手く着せるコツ

愛犬を守るために服は有効であると紹介してきましたが、どうしても服をきるのが苦手だというワンちゃんもいます。そのため「なかなか服を着せられない」と悩んでいる飼い主さんもいるのではないでしょうか。

服が苦手なワンちゃんはいきなり着せるのではなく、次のように段階を踏んで少しずつ慣れさせていきましょう。

ステップ1 生活範囲に置いて自然に匂いを嗅がせる
ステップ2 脱ぎ着するときにおやつを与える
ステップ3 短時間の着用で慣れさせる

ステップ1:生活範囲に置いて自然に匂いを嗅がせる

まずは愛犬にとって服は敵ではないと知ってもらうため、生活範囲に置いて自然に匂いを嗅がせましょう

このとき、犬の近くに服を持っていったり、わざと匂いを嗅がせるようにしたりしてはいけません。犬の方から自然に匂いを嗅ぎにいくまで待ち、匂いを嗅いだ後も過剰に反応しないのがベストです。

褒めたくなる気持ちもわかりますが、過剰に反応してしまうと、「匂いを嗅ぐと驚かされる」と警戒する可能性があります。出来るだけ自然に何事もなく、服を置いて生活するようにしてください。

ステップ2:脱ぎ着するときにおやつを与える

自然と匂いを嗅げるようになったら、実際に服を着せるステップに移りましょう。

初めて服を着せるときは薄い素材で袖がなく、脱ぎ着しやすいタイプからチャレンジするのがおすすめです。いきなりロンパースやアウターのような服を着せてしまうと、服に対して苦手意識が強くなることも考えられます。

少し慣れてきたら、頭から被せるタイプや前がボタンになっているタイプなど、様々な服で練習し愛犬が楽に脱ぎ着できるタイプを見つけるのがコツです。

脱ぎ着できたらおやつをあげて褒めてあげよう

服の脱ぎ着が上手くできないときは、おやつを持って誘導しながら練習しましょう。上手くできたときはおやつを使って沢山褒め、失敗したときは時間を空けて少しずつ練習するのがベストです。

ステップ3:短時間の着用で慣れさせる

ストレスなく服の脱ぎ着ができるようになったら、まずは「5分」など短い時間の着用から慣れさせましょう。

5分からスタートし、30分、1時間、3時間、半日、1日など徐々に時間を伸ばしていくのがポイントです。もしも「服を噛む、固まって歩かない」など愛犬が違和感を感じている様子があれば、短い時間で回数を増やして練習するのがおすすめです。

服を着せるのがおすすめな年齢や犬種

ここまで犬には服を着せるのがおすすめだとお伝えしてきました。なかでも、子犬や老犬、短毛種やシングルコートの犬種は、特に服を着せてあげるべきです。その理由について、詳しく解説していきます。

子犬や老犬

子犬や老犬は成犬よりも体温調節をする機能が劣っているため、服でサポートする必要があります。特に迎え入れたばかりである生後3ヵ月程度の場合は室内温度に気を配るだけでなく、服の着用で調節するのがベストです。

ただし子犬は服の着用に慣れていないため、装飾がないものを選びましょう。老犬は服の着用によって気温差から身体を保護出来るだけでなく、床ずれ防止にも有効です。

短毛種やシングルコートの犬種

ダブルコートと呼ばれるオーバーコートとアンダーコートの2種類の被毛をもつ犬種は、アンダーコートを増減して体温調節をしています。

しかしミニチュアピンシャーのような短毛種やトイプードルのようなシングルコートの犬種は、アンダーコートがないため寒さに弱いです。そのため寒さに弱い犬種の場合は積極的に服を着せ、気温差によるトラブルを予防しましょう。

季節や犬種に合わせた服で愛犬の健康を守ろう!

四季がある日本で生活をする場合、犬には服を着せるのがおすすめです。夏は暑さから、冬は寒さから体を守れるだけでなく、汚れや虫などのトラブルも回避できます。

「犬に服を着せるなんてかわいそう」という声もありますが、直射日光で熱中症になってしまったり、気温差によって体調を崩させてしまったりするほうが、飼い主としての役割を果たせていません。

数々のメリットを考えると、練習をして服を着せた方が愛犬の保護になるのです。ここでお伝えした内容を参考にして、季節や犬種に合わせた服を選び、愛犬の健康を守ってあげてください。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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