犬を飼う費用はどれくらいかかる? 初期費用や治療費などの相場を紹介

「犬を飼うには費用はどれくらいかかるの?」
「犬と暮らすとどんな費用が発生するの?」

犬を飼い始める前に、このような疑問を持つ方は多いはずです。犬と暮らすには、初期費用や毎月の飼育費用など、さまざまな費用が発生します。また、犬種や飼い主のライフスタイルなどによってかかる金額も異なるため、費用の詳細を事前に知っておくことが大切です。

そこで今回は犬を飼うと、どんなことに、どれくらいの費用がかかるかを詳しくお伝えしていきます。犬を飼うことを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

犬を飼う生涯費用は総額240万円

犬を家族の一員として迎えて生活を共にするには、人間と同様に食事や日用品、診療費などの費用が継続してかかります。

一般社団法人ペットフード協会による「2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査」では、犬の生涯にかかる費用は約240万円と発表されています。ただし、この費用は、犬種や犬の寿命、病院やトリミングに通う回数、生活雑貨や食事内容によっても差が出ると理解しておいてください。

犬を飼うときにかかる初期費用の内訳

犬を飼いはじめるときには、必ずかかる初期費用があります。主な初期費用は次のとおりです。

  • 犬の購入費用
  • 犬の登録費用
  • 狂犬病予防接種の費用
  • 混合ワクチン接種の費用
  • 事前準備が必要なグッズの購入費用

それぞれを詳しく確認していきましょう。

犬の購入費用

犬を迎え入れる方法はいくつかありますが、ペットショップやブリーダーから受け取る場合には、購入費用がかかります。主な人気犬種と相場は以下のとおりです。

犬種 値段
トイプードル 20〜30万円
ミニチュア・ダックスフンド 10〜20万円
チワワ 15〜20万円
ポメラニアン 15〜30万円
柴犬 5〜20万円

どの犬種も毛色や大きさなどによって費用は変わってきます。購入費用の中には、予防接種やマイクロチップの費用が含まれていることも多いです。マイクロチップの埋め込みは、犬の迷子や捨て犬を防止するために義務化されました。

犬の登録費用

犬を飼い始めてから30日以内に、現在居住している市区町村へ飼い犬登録することが法律により義務付けられています。登録料は3,000円程度です。

登録が完了すると、登録番号が記載された「鑑札」という札が渡されます。鑑札は「あなたの犬」という証明になります。万が一、紛失や破損した場合、再発行手数料として1,600円程度かかるので大切に保管しましょう。

狂犬病予防接種の費用

厚生労働省が定めた狂犬病予防法により、生後3ヵ月以降の全ての犬を対象にワクチン接種が義務付けられており、費用は3,000円程度になります。

最初の年は、飼い始めてから30日以内に予防注射を接種して届け出をし、注射を終えたら獣医師が発行する「注射済証」を一緒に添えて申請します。このとき、狂犬病注射済票交付手数料として550円かかります。

混合ワクチン接種の費用

混合ワクチンに接種義務はありませんが、2種混合から10種混合まで種類があり、複数のワクチンを組み合わせて一度に接種します。

混合ワクチンの種類は大きく分けて、接種を強く推奨されているコアワクチンと特定の感染症向けのノンコアワクチンに分類されます。費用は2種で3,000〜5,000円程度、8種以上になると7,000〜10,000円程度になります。

混合ワクチンは、ドッグサロンやペットホテルを利用するとき、室内犬か室外犬か、海や山に行くなど飼育環境によって何を接種すべきか検討が必要です。特に抵抗力の弱い子犬や老犬は、感染によって命に関わるリスクが高くなるため重要になります。

事前準備が必要なグッズの購入費用

犬を迎え入れる際には、必要なグッズを用意して飼育環境を整えておく必要があります。主なグッズと相場は以下のとおりです。

グッズ 価格
サークル 約10,000円
キャリーケース 約1,500〜10,000円
ベッド 約1,000〜5,000円
トイレ(フレームとシート) 約2,000円
食器(フード用・水用) 約1,000〜8,000円

犬の居場所作りになるサークルやベッドは、しつけや落ち着いて過ごせる環境を作るために必ず準備しましょう。必要なグッズの購入費用は、15,000(小型犬)〜50,000円(大型犬)前後だと考えておくとよいでしょう。

犬を飼うとかかる月々の費用

次に犬を飼うと必要となる毎月の費用について確認していきましょう。一般社団法人ペットフード協会が実施した「2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査」では、犬の飼育にかかる1ヵ月の平均支出金額は14,814円となっています。

具体的な費用の内訳についてお伝えしていきます。

食費|フード・おやつ

犬の体格によって食事量が異なるため、飼う犬種によってかかる食費も大きく変わります。犬の大きさごとの食費の相場は次のとおりです。

犬種 支出額
小型犬 1,000〜4000円
中型犬 4000〜10,000円
大型犬 6,000〜20,000円

小型犬に比べると大型犬の食べる量は6倍近く差が出るのがわかります。また、犬種や成長過程に合わせて設計されたフードやおやつ、肥満・アレルギーなど健康維持への配慮が必要です。犬のライフステージによって、食費も変化することを理解しておいてください。

食事は愛犬にとって栄養バランスが取れたものを選んであげることが大切です。ただし、質の高いものは価格も高い傾向にあります。家計に合わせて無理のない範囲で選ぶようにしましょう。

日用品|トイレや消臭グッズなど

日用品にかかる費用は1,500〜3,000円程度とされています。主に必要となる日用品は以下の通りです。

  • トイレシートやトイレクリーナー
  • ブラッシング(コーム)
  • 歯ブラシ(歯磨きシート)
  • 犬用シャンプー(ボディーシート)
  • 消臭スプレー
  • おもちゃ

この中で最も消費するものはトイレシートです。犬種によっては、トイレシートだけで2,000円かかる場合もあります。

トリミングの費用

トリミングの費用は犬の大きさや犬種、コート(被毛)の長さなどによって異なります。

犬種 シャンプーコース カットコース
小型犬 3,000円 4,000円
中型犬 5,000円 7,000円
大型犬 10,000円 14,000円

※金額は一般的なペットサロンの目安となります。

シャンプーコースには、爪切り、耳掃除、足裏・足回りカット、肛門腺絞り。カットコースはシャンプーコースの内容に+全身カットが含まれるのが一般的です。

トリミングの頻度について</h4>

トリミングの頻度は、犬種や飼い主の方の判断によって異なります。こまめなお手入れが必要な主な犬種は以下のとおりです。

  • トイプードル
  • スタンダードプードル
  • シーズー
  • ミニチュアシュナウザー
  • ヨークシャテリア
  • ビションフリーゼ
  • マルチーズ

シングルコートの犬種はトリミングに通う回数が増えます。月に1回の頻度が理想的ですが、1ヵ月半〜2ヵ月のペースでお手入れする方も多いようです。

犬にかかる費用は年間35万円程度

ここまでお伝えした毎月の費用に加えて、犬が病気やケガをしたときの治療費、お出かけの際のレジャー費用、さらにはペットホテルや洋服代など、さまざまな費用が必要です。

アニコム損保による「ペットにかける年間支出調査 2021年版」では、犬を飼うのにかかる年間費用は35万円程度という結果が出ています。

犬の医療費はどれくらいかかる?

犬も人間と同じように、病気やケガをすることがあります。そのため、犬を飼う上で治療は必ず発生すると考えておきましょう。手術費用や病気の治療費、予防接種や犬の保険などについて解説していきます。

避妊・去勢手術の費用

犬の避妊治療は、卵巣子宮摘出術や卵巣摘出手術を行うものです。妊娠を防ぐだけでなく、将来起こる可能性のある病気の予防もできます。手術費用は30,000〜80,000円程度です。

去勢手術は、精巣を摘出してメス犬を妊娠させないように行うものです。また、会陰ヘルニアや精巣腫瘍などの病気予防の目的もあります。費用は、小型犬や中型犬は15,000〜20,000円、大型犬は30,000円前後です。

これらの手術費用には、薬代、入院費、術前血液検査、点滴が含まれるのが一般的です。また、動物病院では、初診料:1,000〜3,000円程度、再診料:500円〜2,000円程度かかります。病院によって手術内容や費用は異なるため事前に確認しておきましょう。

ケガや病気の治療費

犬のケガや病気の種類によって治療費は大きく異なります。また、犬の治療費は人間のように公的医療保険がないことから、全額飼い主の負担となり費用が高額になることを理解しておきましょう。主な傷病と参考診療費は以下のとおりです。

傷病名 診療例 参考診療費
腫瘍 皮膚腫瘍を手術で取った例 90,400円
歯周病 全身麻酔をして歯石除去と抜歯をした例 97,300円
骨折 折れた骨手術で繋げた例 308,700円
異物誤飲 全身麻酔をして異物を内視鏡で取り出した例 77,760円
膝蓋骨脱臼 ずれた膝蓋骨を手術で戻した例 254,000円

※2021年1月〜12月のアイペット損害の保険金請求データを基にした調査より算出

※診療費は一例であり、平均水準を示すものではない。

同じケガや病気であっても、症状の重さや入院の要否によって治療費は変わります。また、病院によって治療費が異なることを理解しておく必要があるでしょう。

定期的な予防接種

犬の予防接種には義務付けられている「狂犬病予防接種」以外に、飼い主が任意で行ういくつかの感染症予防接種があります。

フィラリア予防

フィラリアは注射での予防と飲み薬による予防方法があります。注射は年に1回行い、費用は6,000円程度のものから20,000円以上と犬種によって異なります。飲み薬は4〜11月にかけて月に1回投薬するのが一般的です。値段は12ヵ月分で5,000〜15,000円程度と、注射よりも安く収まります。

ノミダニ予防・駆除

ノミダニ予防には、おやつタイプと滴下タイプのものがあり、3〜11月にかけて月に1回投与します。費用はおやつタイプで1,800〜2,300円、滴下タイプで1,200〜1,900円程度です。

費用を少しでも安く抑えたい場合は、薬をネット通販で購入するのがおすすめです。病院で使われる薬が安く手に入れられます。ただし、自己責任での使用となるため注意事項などをしっかりと確認しておきましょう。

定期的な健康診断

犬の健康を管理するためには、定期的な健康診断も欠かせません。診断にかかる費用は内容によって異なりますが、簡単なものであれば7,000〜8,000円程度です。

ペットドックと呼ばれるものでは、身体検査、血液検査、尿・便検査、レントゲン検査、超音波検査、MRI検査などが受けられます。この場合は3万円程度の費用が必要です。

ペット保険への加入も検討しよう

お伝えしたように、犬の健康を維持するためには、手術や病気・ケガの治療費、定期的な診断などの費用がかかります。公的な保険制度がない犬の治療費は、全て飼い主の負担になるため「ペット保険」に加入するのも選択の一つです。

ただし、ペット保険に加入する際には、保険対象と保険対象外のものを理解しておく必要があります。

保険対象:入院代、手術代、通院費用

保険対象外:去勢・避妊手術費用、健康診断、ワクチン接種、歯の治療費

病気の治療ではなく「予防行為」にあたるものは、保険対象外です。そのため、ペット保険に入ったものの「利用できる機会がほとんどない」という声もあります。

もちろん、犬種や年齢によっては治療費が高くなる場合もあり、大きな助けになってくれることもあるはずです。犬種や犬の年齢、普段の生活などを考慮して、ペット保険への加入を検討してください。

必要に応じて発生するその他の費用

ここまで、犬を飼うために必要となる基本的な費用を紹介してきました。これ以外にも、ライフスタイルや犬の健康状態によって、発生する費用も少なくありません。ここでは、必要に応じて発生する費用についてお伝えします。

しつけ・トレーニング

犬を飼い始めると、トイレを覚えないことや無駄吠えをするなどしつけに困ることがあります。自分の手に負えない犬のしつけは、プロのドックトレーナーに頼るのが一番です。

「犬のしつけ教室」という学び場があり、1,500〜9,000円(1回)で利用できます。1レッスンおよそ30分〜90分程度で、パピー教室・グループレッスン・個人レッスン・出張レッスンなど内容はさまざまです。

ペットホテル・ペットシッター

旅行や出張などで家を留守にする場合、ペットホテルやペットシッターの利用が必要になることがあります。ペットホテルの相場は3,300〜5,500円程度です。しかし、利用する施設やサービスで大きく異なり、15,000円以上かかる場合もあります。

ペットシッターの相場は2,700〜3,300円程度です。ペットホテル同様に利用するサービスによって、費用が高くなることがあります。

犬用サプリメント

愛犬に健康で長生きしてほしいという思いから、犬用サプリメントを購入する方も少なくありません。犬用サプリメントの価格は、商品によって大きく異なります。手頃な価格のものでは300〜1,000程度、高いものなら10,000円以上することも珍しくありません。

費用がかかるのはどの犬種?項目別に紹介

犬を飼う費用は犬種によっても大きく異なります。では、費用が一番かかるのはどの犬種なのでしょうか。犬の飼育で最も費用がかかる「診療費」と「食費」から、飼育費用が高い犬種を確認していきます。

診療費がかかる犬種ランキング

診療費用が高い犬種ランキングTOP10は以下のとおりです。

順位 犬種 費用
1 ラブラドール・レトリーバー 124,038円
2 フレンチ・ブルドッグ 119,345円
3 パグ 96,667円
4 キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル 73,472円
5 カニンヘン・ダックスフンド 64,964円
6 ジャック・ラッセル・テリア 63,486円
7 ミニチュア・ダックスフンド 63,207円
8 ゴールデン・レトリーバー 60,200円
9 ウェルシュ・コーギー・ペンブローク 59,657円
10 マルチーズ 48,667円

※犬全体の平均51,939円

最も診療費がかかる犬種は、ラブラドール・レトリーバーです。犬全体の平均費用である51,939円の倍以上かかる計算になります。

しかし、可愛らしい見た目と穏やかな性格で、大型犬の中でも高い人気を誇ります。盲導犬や警察犬として選ばれるほどの賢さも兼ね備えており、しつけが入りやすいのも魅力です。

食費がかかる犬種ランキング

食費がかかる犬種ランキングTOP10は次のとおりです。

順位 犬種 費用
1 ゴールデン・レトリーバー 118,700円
2 ラブラドール・レトリーバー 107,704円
3 フレンチ・ブルドッグ 102,595円
4 混血犬(体重10kg以上20kg未満) 83,550円
5 シー・ズー 70,495円
6 キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル 66,400円
7 ポメラニアン 62,374円
8 パグ 59,136円
9 ジャック・ラッセル・テリア 58,478円
10 ウェルシュ・コーギー・ペンブローク 58,014円

※犬全体の平均57,900円

食費が最もかかる犬種は、ゴールデン・レトリーバーです。活発で運動が大好きな犬なので食欲旺盛な子が多く、フードやおやつにかかる費用が多くなる傾向にあります。

ゴールデン・レトリーバーは大型犬の中で1位に選ばれるほど人気の高い犬種です。性格も優しく家庭向きとされていますが、食費が他の犬に比べて高くなることは理解しておきましょう。

犬を迎える前に必要な費用を把握しておこう

犬を迎えて生活を共にしていくには、お金がかかることを理解しておくことが大切です。初期費用や毎月発生する食費、消耗品の購入費用に加えて、診療費は必ず必要となります。

また、犬の飼育費用は、犬種はもちろん、それぞれの犬の性格や体質によって大きく異なるため、飼いたい犬種について事前に調べておくことも重要です。実際に飼い始めてから、費用が捻出できないような事態にならないように、犬を迎える前に必要な費用を把握しておきましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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