「犬の噛み癖がなかなか直らない」
「急に犬が噛んでくるようになった」
「犬が自分の手を噛むのはどうして?」
このような悩みを抱えている飼い主の方も多いのではないでしょうか。犬の噛み癖は放置すると、大きなトラブルにつながる可能性があります。適切に対処するには、まず原因を特定しなければなりません。
そこで今回は、犬が噛む理由や噛み癖を直す方法について解説していきます。しつけの際の注意点なども詳しくお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
犬が飼い主を噛む理由は?
犬が人や物を噛む理由はさまざまです。しかし、前提として「犬は噛む生き物」だということを理解しておく必要があるでしょう。犬は人のように手を使って物を動かすことができないため、噛んで物を運んだりストレス発散したりするのです。
具体的に犬が飼い主を噛む理由は、以下のようなことが考えられます。
- 本能的なもの
- 口内がかゆい
- ストレスによるもの
- 遊びの延長線
- しつけが間違っている
それぞれの理由について、詳しく確認していきましょう。
本能的なもの
先ほどお伝えしたとおり、犬は噛んで物を運んだり意思表示したりします。そのためびっくりしたときや攻撃されたと感じたときには、本能的に噛むという行為がとっさに出てしまうのです。
例えば、飼い主が遊びの一環としておもちゃを取ったとき、犬は「大好きなおもちゃを取り上げられた」と勘違いする可能性があります。そして、自分の大切な物を守るために、噛むという行動に出てしまうのです。
普段の生活の中で、犬が驚くような行動を取っていないかを振り返ってみましょう。
口内がかゆい
子犬のときは歯の生え変わりによって、口内がかゆくなりやすいです。それに伴い、かゆさを和らげるため、人や物を噛んでしまうことがあります。
一般的に生後7ヵ月ころには永久歯が生えてくると言われているので、この期間の噛み癖がひどい犬が多いです。人や家具を噛まないようにおもちゃを与えるなどして、かゆさを紛らわす方法を考えてあげましょう。
ストレスによるもの
犬は不安やストレスを感じたときに噛む行動に出ることがあります。例えば初めて会う人に触られそうになった場合、攻撃されると勘違いして噛んでしまうことがあるのです。
繊細な性格の犬だと、引っ越しをして環境が変わったときなどにストレスを感じて噛み癖がひどくなることがあります。環境が変化したときは、愛犬の様子に気を配ってあげましょう。できるだけ、ストレスや不安を感じさせない工夫が必要です。
遊びの延長線
犬は遊んでいるうちに興奮してしまい、飼い主の手を強く噛むことがあります。これはストレスなどの負の感情からではなく、楽しい気持ちからの行動です。
じゃれあいで噛む犬は多く、徐々に加減を覚えていきます。しかし、子犬のときに噛むのはいけないことだと教えておかなければ、加減をせずに成長してしまうので注意が必要です。
人の手を噛んでしまったときは、しっかりとしつけをして、噛み癖がつかないようにしましょう。
しつけが間違っている
愛犬の噛み癖を直すために、強く叩く・大声で叱るなどを繰り返していると、反対に狂暴な性格になる可能性があります。
人に対して恐怖心を持った犬は怯えるようになってしまい、身を守るために噛むことがあるのです。しつけを行うときは、正しい方法を理解しておく必要があります。
犬の噛み癖は直さないとトラブルに発展する
愛犬の噛み癖は放置せずに直さないと、さまざまなトラブルに発展する恐れがあります。噛み癖によって起こりうるトラブルには、次のようなものがあります。
- 他の人を噛んでしまう
- 爪などのケアがしにくい
- 家具に被害が及ぶ
トラブルの具体的な内容について解説していきます。
他の人を噛んでしまう
もっとも危険なトラブルは、人を噛んでケガをさせてしまうことです。飼い主はもちろん、散歩中に近隣の住民や通行人を噛んでしまう可能性があります。
噛み癖がついたまま大きくなると、徐々に噛む力が強くなり、何針も縫うほどの怪我を与えてしまう恐れもあるでしょう。過失傷害罪に問われるリスクもあるため、大きな問題を起こす前に噛み癖を矯正する必要があります。
爪などのケアがしにくい
愛犬に噛み癖があると、爪切りやブラッシングも簡単にはできません。ケアをしている最中に噛まれる恐れがあるからです。また、急に犬が動くため、ケガをさせてしまう可能性もあります。
また、噛み癖がひどい場合は、トリミングサロンでのサービスを断られることもあるでしょう。愛犬のケアのためにも、噛み癖は直さなくてはなりません。
家具に被害が及ぶ
人を噛まなくても、家具などを噛んでしまう犬もいます。特に普段から室内で飼っている場合、飼い主が留守の間にイタズラをする犬は多いので注意が必要です。
また、電源コードを噛んでしまうと、犬が感電するリスクがあります。噛み癖によって愛犬が傷つく恐れもあるので、早めに矯正してあげることが大切です。
愛犬の噛み癖を直す方法
お伝えしたように、犬の噛み癖はさまざまなトラブルの原因になります。そのため、すぐにでも噛み癖を直さなくてはなりません。ここでは、愛犬の噛み癖を直す方法についてお伝えしていきます。主な方法は以下のとおりです。
- 原因を特定する
- おもちゃで発散させる
- 噛まれたときは反応する
それぞれの方法を具体的に確認していきましょう。
原因を特定する
まず噛み癖を直すためには、原因を特定する必要があります。犬が噛む理由はさまざまあり、運動不足や皮膚病などが原因となっている可能性があるでしょう。
原因次第では対応が大きく異なってくるので、何の理由で愛犬が噛んでくるのか調べておくことが大切です。噛んだときに叱るなど、しつけを行っても皮膚病などが理由である場合は効果がない可能性があります。しっかり愛犬の様子を確認して、適切に対応しましょう。
ご自身で原因が特定できないときは、動物病院で犬の状態を確認してもらってください。
おもちゃで発散させる
日頃のストレスや運動不足が原因で噛み癖がついている場合は、おもちゃで発散させるのも方法のひとつです。
犬は本能的に噛む動物なので、抑制しすぎると不満が溜まってしまう恐れがあります。おもちゃを使えばうまく不満を発散させ、人の手を噛まないようにしつけられるのです。
おもちゃを使った遊び方としては、ロープをお互いに引っ張り合うといった手法があります。愛犬とのコミュニケーションにも使えるので、一度試してみてください。
ただし、おもちゃを手に持って遊ばせると、飼い主の手までもおもちゃと認識することがあります。すると、人の手を噛むのも遊びの一環と勘違いしてしまう恐れがあるので注意してください。
噛まれたときは反応する
愛犬が飼い主の手を噛んでしまったときは、大げさに反応してください。「痛い!」と声をあげて姿を隠せば、犬は噛むと飼い主がいなくなると学習します。何度も繰り返すと、徐々に噛むのはいけないことだと認識するのです。
一度の対応では学習できない可能性があるので、継続的に行動を起こす必要があります。このときに大切なのが、姿を隠す前におもちゃを隠しておくことです。飼い主がいなくなっても、他のおもちゃがあれば一人で遊べるため、姿を隠しても気にしないことがあります。
人を噛めば遊べなくなると学習させるためにも、おもちゃを片付けるなど周囲の環境は整えておきましょう。
犬が噛む行為には意味がある
犬が噛むというのは、何らかの意思表示をしている可能性があります。それはストレスなどのネガティブな感情が原因ではなく、遊びたいなどのポジティブな感情が起因していることもあるのです。どんなときに犬は噛むのか、状況から解説していきます。
しっぽを噛むときはストレス解消
犬が自分のしっぽを噛むときは、遊びの延長で楽しんでいる可能性があります。室内でも遊べる方法を自分なりに考えた結果、そういった噛む行為を楽しむことがあるでしょう。
ただ、散歩に行けないストレスからしっぽを執拗に噛んでしまうケースもあるので、異変を感じたときは注意してください。
自分の手を噛むのは炎症の可能性がある
犬が自分の手を噛んでいるときは、その様子をしっかりチェックしてください。もしかすると、爪や骨に異常が発生している可能性があります。
骨に傷や炎症が生じている場合、犬は何度も同じ箇所を噛んだり舐めたりすることが多いです。愛犬の様子に違和感を覚えたときは、速やかに獣医に診てもらいましょう。
ビニールを噛むのは遊びの延長線
ビニール袋は触ると、カサカサと音がなる性質を持っています。そんな不思議な音を鳴らすのが楽しいと感じる犬は多いです。そのため、ビニール袋を噛むのは遊びの一環と考えて良いでしょう。
ただし、ビニール袋を噛んだ後に切れ端などを飲み込んでしまう恐れがあります。ビニールは体内で消化されず、腸で詰まってしまう可能性があるので危険です。もし犬がビニール袋を噛んでいたら、すぐに取り上げて代わりのおもちゃを与えるようにしましょう。
愛犬の噛み癖をしつけで直すときの注意点
噛み癖があると、家具などが壊されてしまうだけでなく、他の人に迷惑をかける恐れがあります。そのため、噛み癖を直したいと、しつけを厳しくする飼い主も多いでしょう。
しかし、犬のしつけを行うときは以下の点に注意が必要です。
- 犬が怖がるしつけの仕方はNG
- 甘やかしすぎない
- 成犬になると矯正しにくい
- 噛み癖が治らないときはプロに頼ろう
それぞれの注意点について詳しく確認していきましょう。
犬が怖がるしつけの仕方はNG
噛み癖を直すために、大声で叱ったり叩いたりするしつけは、恐怖心を抱かせる恐れがあります。反対に、防衛本能が働いて噛み癖がひどくなることがあるので避けてください。人間に対して恐怖を抱くと、近隣の住民や通行人を噛んでしまうリスクが高まります。
また、犬に暴力をふるうのは動物虐待です。大切な愛犬には正しいしつけを行い、怖がらせるような行為は避けましょう。
甘やかしすぎない
愛犬が可愛いからといって甘やかしすぎると、大事なときに言うことを聞いてくれなくなるかもしれません。
例えば子犬のときに家具を噛んでも、「子犬だから仕方がない」と考えてしまう方もいるでしょう。しかし、このときにしつけをしないと、犬は家具を噛んでも大丈夫と覚えてしまいます。
子犬のときだからこそ、噛み癖は厳しく矯正しないといけません。何度でも家具は噛んではいけないと教えこみ、学習させることが噛み癖を改善する上で大切です。
成犬になると矯正しにくい
成犬になると、子犬のときほどしつけが簡単ではなくなります。どんどん力が強くなっていくので、噛み癖によって被害も大きくなるでしょう。
そのため、愛犬の噛み癖を直すなら子犬のうちに、徹底的に教えることが大切です。人や家具を噛むことはいけないことだと、継続的にしつけていきましょう。
噛み癖が直らないときはプロに頼ろう
ご自身で愛犬の噛み癖を直そうと思っても、なかなかしつけられないこともあるでしょう。しっかりしつけないと、他の人を噛んでしまうなど大きなトラブルに発展しかねません。
そんなときは、獣医師やドッグトレーナーに相談するなど、プロに頼ることを視野に入れてください。犬の専門家であれば、どのようなしつけが効果的なのか細かく教えてくれます。
特にドッグトレーナーに預ければ、しつけのノウハウをしっかり持っているので安心です。帰ってくる頃には噛み癖が矯正されているケースが多いので、困ったときは相談してみましょう。
愛犬が噛む理由を理解して正しくしつけよう
犬の噛み癖は、飼い主だけでなく近隣住民や道を歩く人など、周囲の人にケガをさせてしまう恐れがあります。そのため、愛犬に噛み癖がある場合は放置せずに、早めに矯正しなくてはなりません。
ただし、正しいしつけの方法を理解せず、大声で叱るなどの行為は逆効果です。この記事でお伝えしたように、まずは犬が噛んでしまう原因を理解し、それに合わせた適切な方法でしつけを行いましょう。
また、ご自身でのしつけが難しい場合は、獣医師やドッグトレーナーなどに相談することも大切です。少しでも早く愛犬の噛み癖が直せるように最善の方法を選びましょう。
執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季
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