犬の食糞症は病気? ウンチを食べる原因や飼い主が取るべき対処法

突然飼い犬がウンチを食べる「食糞症」は、なぜ起こるのか原因を知らない方も多いはずです。食糞症は病気や感染症を引き起こす恐れがあるため、愛犬を守るために原因や対処法を知っておかなくてはなりません。

そこで今回は、飼い犬が食糞症を引き起こす原因や対処法について解説していきます。愛犬が健康的に暮らす上で大切な内容となっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

犬の食糞症ってなに?

犬の食糞症とは、どんな症状なのか知らない方も多いでしょう。食糞症とは、犬だけでなく動物界で見られる行動の一種です。具体的に食糞症とは、どのような行動を取ることを指しているのか詳しい内容を紹介していきます。

犬がウンチを食べる行動のこと

食糞症とはその名前のとおり、ウンチを食べてしまう行動のことを指しています。行動を起こす理由はさまざまですが、主に好奇心や不安を紛らわせるために行う動物が多いです。

遊びの一環や退屈だからといって、自分のウンチや他の犬のウンチを食べてしまうこともあります。他にも、過去に飢餓状態を経験したことから、何でも口にするクセがついたなどの理由が考えられるでしょう。

犬がウンチを食べるのは自然なこと?

動物界では子犬が未発達な腸内環境を整えるために、母親のウンチを食べるという説があります。他にも、食事が不足しているため、お腹を満たすために食糞を行うこともあるようです。

母犬の場合は子犬が外敵に襲われないように、子犬が出した糞を食べて隠すといった習性があります。これらの習性を考えると、犬の食糞は自然なことであるという捉え方もできるでしょう。

犬が食糞症を引き起こしてしまう原因

飼い犬が食糞症を引き起こしてしまう原因として、次の5つが考えられます。

  • 栄養が不足している
  • 退屈している・ストレスが溜まっている
  • 子犬の頃のクセが抜けていない
  • 飼い主に構って欲しいという気持ちが強い
  • 過去のトラウマがある

具体的な内容について解説していくので、確認してください。

栄養が不足している

食糞症を引き起こす原因として、普段の食事では栄養が足りていないなどの理由が考えられます。食糞症は空腹を紛らわせるために行う犬が多いため、日頃の食生活は十分注意が必要です。

例えば体重が増えたことから、ダイエットをさせようと努力をする飼い主さんも多いでしょうか。しかし、無理な食事制限は栄養が不足しがちになり、食糞症のきっかけを作る恐れがあります。

ダイエットを意識するなら食事制限を行うよりも、散歩の時間を長くするなど運動で痩せさせたほうが犬の健康に良いでしょう。

退屈している・ストレスが溜まっている

留守番が多い犬は、退屈な気持ちを抱えていることがあります。そんなときに退屈しのぎとして、自分のウンチを食べてしまうことがあるのです。他にも飼い主と遊ぶ時間が短いことから、ストレスを発散させるためにウンチを食べるケースも少なくありません。

寂しい気持ちを抱えている犬は食糞症を引き起こす可能性があるので、できるだけ遊ぶ時間や散歩の時間を大切にし、一緒にいる時間を増やしてあげましょう。

子犬の頃のクセが抜けていない

子犬の頃は好奇心からウンチを食べてしまうことがあります。その頃からクセが抜けずに、成犬になってもウンチを常習的に食べてしまうこともあるのです。

子犬の時にウンチを食べるクセがついてしまうと食糞症の改善が難しくなるので、できるだけ早めに対策を講じる必要があります。

飼い主に構って欲しいという気持ちが強い

犬が食糞をしたときに、つい声を上げてリアクションしてしまう飼い主も多いでしょうか。実は食糞のときにリアクションを取ると、犬は飼い主の興味を引いたと思ってしまうのです。

そして、飼い主の気を引くため、喜んでもらうために食糞を繰り返してしまいます。食糞症を防ぎたいなら犬がウンチを食べたとしてもリアクションせず、声かけもしないようにしましょう。

過去のトラウマがある

屋内で飼われている犬がトイレに失敗するケースも珍しくありません。そのときにキツく怒られると犬は、「排泄すると怒られる」と勘違いしてしまう可能性があります。

そしてその経験がトラウマになると、ウンチを食べて排泄したことを隠そうとするのです。食糞症を防ぐためにも、トイレのしつけをするときは必要以上に叱らないよう配慮しましょう。

犬が食糞症になったときのリスク

犬が食糞してしまうと、どのようなリスクがあるのでしょうか。実は健康的な犬のウンチであれば、犬が一度や二度食べてしまっても大きな問題はありません。しかし、頻繁にウンチを食べてしまうと、次のようなリスクを引き起こす可能性があります。

  • 胃腸炎を引き起こす可能性がある
  • 寄生虫やウイルス性の疾患に感染する
  • 飼い犬から人に感染する

それぞれのリスクについて、詳しく解説していきます。

胃腸炎を引き起こす可能性がある

犬のウンチは比較的酸度が高いと言われています。そのため、慢性的に食糞症を続けていると、胃腸炎になってしまうリスクがあるのです。

犬が胃腸炎になると、下痢や嘔吐などの症状が出ることがあります。少しでも犬の体調に違和感を覚えたときは、早めに動物病院で診察を受けましょう。

寄生虫やウイルス性の疾患に感染する

他の犬のウンチに何らかの寄生虫やウイルスが含まれていた場合、愛犬が感染するリスクがあります。寄生虫やウイルスの感染は大きな疾患につながる可能性があるため、非常に危険です。

また、消化機能に負担をかける病になると、消化吸収が低下して栄養不足を引き起こすことがあります。すると、さらに食糞症を引き起こしてしまうリスクがあるのです。散歩中に他の犬のウンチを見かけたときは愛犬を遠ざけるようにしましょう。

飼い犬から人に感染する

食糞した犬から人に寄生虫や病気が移るリスクもゼロではありません。犬から人に感染する可能性があるものは、人獣共通感染症と呼ばれるものです。具体的には、サルモネラ症やエキノコックス症などが該当します。

食糞した犬に顔を舐められたり、舐めたものを触ったりしないように気を付けることが大切です。

犬の食糞をやめさせたい!6つの対処法

犬の食糞症にはさまざまなリスクがあることがわかりました。では、どうすれば改善できるのでしょうか。ここでは、具体的な以下の対処法について詳しく紹介していきます。

  • 飼い主はリアクションしないのがベスト
  • 飼い犬が糞をしたらすぐに処理する
  • 糞に苦味を感じるスプレーを使う
  • 食事の量を増やしてみる
  • 与えるフードの種類を変える
  • 飼い犬と遊ぶ時間を増やす

飼い主はリアクションしないのがベスト

犬が食糞をしていると、つい声をかけたり怒ったりする飼い主は多いでしょう。突然犬がウンチを食べるのですから、飼い主としては当然の反応です。

しかし、そこで反応をしてしまうと、犬は飼い主が喜んでいると勘違いする可能性があります。遊び感覚でウンチを食べるクセがつく恐れがあるため、犬が食糞したとしてもリアクションせず静かに片付けましょう。

飼い犬がウンチをしたらすぐに処理する

食糞症を防止するために、飼い犬がウンチをしたらすぐに処理しましょう。片付けが遅くなってしまうと、飼い主の目を盗んでウンチを食べるかもしれません。おもちゃを使って飼い犬の注意をそらせば、素早く処理できるのでおすすめです。

ウンチに苦味を感じるスプレーを使う

飼い犬にウンチは不味いと覚えさせるのも対処法のひとつです。ウンチに苦味を感じるスプレーを吹きかけておくと、犬が口にしても不味いと感じて吐き出す可能性があります。ウンチは不味いものだと認識をすれば、犬が口にすることもなくなるでしょう。

食事の量を増やしてみる

毎日の食事量を増やしてみるのも食糞の対処法です。食事量が足りておらず空腹のために食糞をしている可能性もあるからです。

食事を一気に食べてしまい足りない素振りをしているなどの心当たりがあれば、食事の量を見直してみましょう。また、おやつを与えるのも手段のひとつです。ただし、食事の与え過ぎは肥満につながるので、少しずつ調整するようにしましょう。

与えるフードの種類を変える

食事の量ではなく、フードの種類を変える方法も検討してみましょう。犬によって、消化しにくいタイプのフードがあります。うまく消化できないと栄養不足になる可能性があるのです。

栄養不足は食糞症の原因のひとつです。消化吸収の良いフードに切り替えることで、食糞が解消される可能性があります。

飼い犬と遊ぶ時間を増やす

食糞の原因がストレスや寂しさにある場合は、一緒に遊ぶ時間を増やしてあげましょう。遊ぶ時間が増えれば、犬のストレスが解消されウンチを口にすることもなくなるはずです。さらに、寂しくて飼い主の興味を引くための食糞も防げるでしょう。

どうしても時間が確保できないときは、独りでも楽しく遊べるおもちゃを用意しておきましょう。

犬が食糞する原因を特定して対策を立てよう

犬が食糞すると驚いてしまう飼い主さんも多いはずです。しかし、愛犬の健康を守るためには、原因や対処法を理解して適切な対応を取る必要があります。

ここでお伝えしたように、犬が食糞する原因はさまざまです。適切な対応のためには、まずは原因を特定することが大切です。犬の様子や食事内容、毎日の触れ合いの時間などから、原因を探ってください。

また、どうしても食糞が治らないときは、動物病院に相談して適切な対応を指導してもらうと良いでしょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

<スポンサーリンク>

PAGE TOP