最近、愛犬が太り気味でダイエットを検討している飼い主さんも多いのではないでしょうか。犬の肥満は、心臓病や呼吸器疾患などが発症するリスクが高まるので危険です。
でも、一度太ってしまった犬を痩せさせるためには、どんなダイエットをすればいいかわからないという方もいるはずです。
そこで今回は、犬の効果的なダイエット方法について解説していきます。注意点や犬が太る原因についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
犬のダイエット基礎知識|太る原因
日頃の飼い主の行動によって、愛犬の体型は変化していきます。そのため、体調管理を徹底して愛犬の健康を守ってあげないといけません。具体的に犬が太る主な原因は次のとおりです。
- 運動不足
- おやつの与えすぎ
- 飼い主の対応
- 避妊・去勢手術の影響
- 急に太った場合は病気の疑いもある
それぞれの原因を詳しく確認していきましょう。
運動不足
犬が太る原因として、1日の運動量が少ないことが考えられます。日々の忙しさで散歩しない日があると、犬は運動不足に陥って太ってしまうリスクがあるのです。
また、犬は散歩をすることでストレスが解消されるため、毎日外出しないと不満が溜まってしまいます。愛犬のストレス解消のためにも、1日に1回以上は散歩をさせましょう。
ただ、散歩のさせすぎも愛犬の身体に良くありません。身体のサイズに合わせて、適切な散歩量を見極め、無理のない程度に運動をさせてあげましょう。
普段の食事が多すぎする
普段から愛犬に与えているドッグフードの量は、犬の身体に合わせて調整しているでしょうか。犬種や体重によって、適切な摂取カロリー量は異なります。そのため、普段から与えているドッグフードの量が多い場合は、愛犬が太りやすくなるので注意が必要です。
1日の摂取カロリー量がご自身でわからないときは、一度動物病院に足を運び、獣医に相談してみてください。相談した上で毎日のドッグフードの量を調整し、肥満にならないよう対策しましょう。
おやつの与えすぎ
犬は一度与えたおやつの味を覚えていることが多く、飼い主におねだりするケースがあります。そんなとき、すぐにおやつを与えていると、愛犬が肥満になる原因になるので注意が必要です。
間食を許す場合は、摂取カロリーを計算した上で時間を決めて与えましょう。愛犬がおねだりする度におやつを与えていると、どれくらいカロリーを摂取したのか把握しづらくなります。
可愛い姿を見るとおやつを与えたくなる気持ちはわかりますが、太って病気になるリスクを避けるために間食はできるだけ避けましょう。
避妊・去勢手術の影響
犬は避妊・去勢手術を受けるとホルモンバランスが変化して、1日に必要なカロリーが減少します。また、ホルモンバランスの変化は、食欲や筋肉の働きについても影響を与えるのです。
メスの場合、避妊手術をした後は食欲を抑制する「エストロゲン」の分泌量が減少し、食欲旺盛になります。愛犬が要求するままに食事を与えていると、食べすぎで太ってしまうかもしれません。
オスの場合、去勢手術をした後は男性ホルモンの分泌が抑制され、筋肉がつきにくくなります。自然と脂肪がつきやすい身体に変化してしまうので、手術後は食事の量を調整しましょう。
急に太った場合は病気の疑いもある
普段と同じように散歩や食事をしていても、急に愛犬が太ってしまうことがあります。そんなときは病気のサインかもしれません。
甲状腺機能低下症や循環器疾患などが発症している場合、食事量を増やしていないのに太るケースが見られます。放置すると症状が悪化して命にかかわる恐れがあるので注意が必要です。
急激に太ったからといって必ず病気になっているわけではありませんが、違和感を覚えたときは早めに動物病院を受診しましょう。
太りやすい犬種はいる?
犬種によっては肥満になりやすいことがあります。特に、狩猟犬や放羊犬は栄養を溜め込みやすい性質をもっており、太りやすいと考えられているのです。
一般的に太りやすいと言われているのは、以下の犬種です。
- ミニチュアダックスフンド
- ポメラニアン
- ビーグル
- パグ
- コーギー
- ジャックラッセルテリア
ただし、肥満の原因は犬種ではなく、飼い方や育て方による影響がもっとも大きいことを理解しておきましょう。
愛犬にダイエットさせるときの基準
愛犬が太る原因について紹介してきましたが、実際にはどの程度まで太ったときにダイエットを行うべきなのでしょうか。ダイエットの必要性を確認する基準には、主に次の2つがあります。
- ボディ・コンディション・スコア(BCS)
- マッスル・コンディション・スコア(MCS)
2つのスコアには、具体的にどんな基準が設けられているのかを詳しく確認していきましょう。
ボディ・コンディション・スコア(BCS)
「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」は、愛犬にダイエットをさせるべきなのか、身体の状態によって判断する評価基準です。評価は9段階に分類されており、愛犬が痩せているのか、太っているのか測定できます。
具体的な判断基準は、以下の表のとおりです。
BCS1 | 遠くからでも肋骨などの骨が見える 触れる体脂肪がない |
痩せている |
---|---|---|
BCS2 | 容易に助骨に触れられる 腰のくびれが上から見てもわかる |
|
BCS3 | 腰のくびれがあり、骨盤の周囲が骨ばっている 触れる体脂肪がない |
|
BCS4 | 腰のくびれがあり、巻き上がりがはっきりしている 肋骨部分には、余計な脂肪がなく簡単に触れる |
適正 |
BCS5 | ||
BCS6 | 腰のくびれはあるが、はっきりしておらず腰の巻き上がりがある 肋骨部分に余計な脂肪があるが、触ることができる |
太りぎみ |
BCS7 | 腰のくびれがほとんどなく、腰の巻き上がりがほとんどない 肋骨にはかなりの脂肪があるが触ることができる |
太っている |
BCS8 | 脂肪に覆われて助骨が触れない 腹部が膨張していることがある |
|
BCS9 | 腹部が丸みを帯びており、腰のくびれや腹の巻き上がりがない 首と四肢に脂肪沈着がある |
ボディ・コンディション・スコア(BCS)の判断基準に合わせて、適切なダイエット
方法を獣医師と一緒に検討していきましょう。
マッスル・コンディション・スコア(MCS)
「マッスル・コンディション・スコア(MCS)は、犬の筋肉量を基準としたものです。獣医師による目視検査と触診で評価してもらいます。評価基準は、次の表のとおりです。
正常な筋肉量 | 頭の咀嚼筋が少し失われている 肩甲骨・背骨・大腿骨・肋骨が薄く浮き出ている |
---|---|
軽度の筋肉量低下 | 頭の咀嚼金が緩やかな丸みを帯びている 肩甲骨・背骨・大腿骨・肋骨は適度な筋肉に覆われていて、浮き出ていない |
中程度の筋肉量低下 | 頭の咀嚼筋が失われており、側頭部がわずかにへこんでいる 肩甲骨・背骨・大腿骨・肋骨は明らかに浮き出ている |
重度の筋肉量低下 | 頭の咀嚼筋がほとんど失われており、側頭部にはっきりとへこみができている 肩甲骨・背骨・大腿骨・肋骨に筋肉はほとんどなく、骨と皮ばかり |
評価に合わせて、ダイエットが必要なのか判断しましょう。
犬の体重の測り方
自宅で犬の体重を測りたくても、愛犬だけを体重計に乗せるのは簡単ではありません。楽な測り方は、愛犬を抱っこした状態で飼い主さんが体重計に乗る方法です。一緒に乗った状態の数字から、飼い主さんの体重を引けば愛犬の重さが把握できます。
また、どうしても自宅で体重を測るのが難しいときは、かかりつけの病院やトリミングサロンで測ってもらうと良いでしょう。
犬の効果的なダイエット方法【食事編】
愛犬にダイエットをさせようと思っても、具体的にどのような方法が適切かわからない方も多くいるはずです。そこでここからは、犬の効果的なダイエット方法について詳しくお伝えしていきます。
食事面に関する効果的なダイエット方法は、以下のとおりです。
- 適切な摂取カロリーの把握
- ダイエットフードを与える
- 人間のご飯は与えない
具体的なダイエット方法について解説していくので、参考にしてみてください。
適切な摂取カロリーの把握
ダイエットを行うためには、愛犬の適正体重を事前に把握しておき、毎日の摂取すべきカロリーを理解しておく必要があります。
適正体重がご自身で判断できないときは、獣医師に相談しましょう。犬種や身体のサイズから、適正体重を算出してくれるので正しいダイエットが実践できるはずです。
1日に必要な摂取カロリーを理解した後は、与えるご飯やおやつの量が多くならないよう調整していきます。定めた摂取カロリーを超えないよう、おねだりされても与えないという強い意志をもってダイエットさせましょう。
ダイエットフードを与える
カロリーが低いダイエットフードへの切り替えも効果的な方法のひとつです。毎日与えるドッグフードの種類を変えるだけで、摂取カロリーが減らせるので無理なく体重を落とせます。
ただし犬にも好みがあるため、急に普段と違うドッグフードを与えると食べない可能性があるので注意が必要です。
最初は普段の食事にダイエットフードを4分の1入れるなどの割合で与えます。次の日には半分ずつの量に増やしていき、愛犬がダイエットフードに慣れるようにしてください。
最終的には、1週間程度の時間をかけて完全にダイエットフードへ切り替えます。愛犬の食いつきが良くない場合は、普段の食事の割合を増やすなど工夫しましょう。
人間のご飯は与えない
日常的に人間のご飯を愛犬に与えている方は、その習慣を無くす必要があります。人間のご飯はカロリーだけでなく、塩分や糖質が多いため犬が肥満になる原因になってしまうのです。
そもそも犬に人間のご飯を与えることは、病気になるリスクを高めるので、ダイエットに関わらず避けるようにしましょう。
犬の効果的なダイエット方法【運動編】
食事面で効果的なダイエット方法について解説してきました。次は運動面で愛犬を痩せさせる方法を紹介していきます。運動はダイエット効果だけでなく、愛犬のストレス解消にも繋がるので大切です。
運動に関する効果的なダイエット方法は、次のとおりです。
- 愛犬に適した散歩量を維持する
- 屋内での運動方法を見直す
- 犬用プールを利用する
それぞれのダイエット方法を詳しく解説していきます。
愛犬に適した散歩量を維持する
運動でダイエットを促す方法として、もっとも大切なのは日頃の散歩です。適切な散歩を毎日していれば、自然と消費カロリーが増えていき痩せるきっかけになります。
このときに大切なのが、愛犬に適した散歩量を理解しておくことです。小型犬・中型犬・大型犬など、身体の大きさによって、適切な散歩量は異なります。身体のサイズに合わせた散歩をしなければ、効果的なダイエットにはなりません。
屋内での運動方法を見直す
雨の日など、天気次第で散歩に行けない日があります。そんなときのために、屋内でも運動できる方法を考えておきましょう。いくつかある屋内での運動方法のなかでおすすめなのがボール遊びです。
うまくボール遊びを覚えさせれば、何度も拾ってきてくれるので適度な運動になります。愛犬とのコミュニケーションにも繋がるため信頼関係を築く方法としてもおすすめです。
犬用プールを利用する
老犬の場合は足腰に負担がかかるため、それほど長時間は散歩できません。そんなときにおすすめの運動方法が犬用プールの利用です。
犬用プールを用意している施設に足を運べば、愛犬の足腰への負担を抑えながら適度な運動ができます。毎日施設を利用するのは困難ですが、定期的に利用して運動不足に陥らないよう配慮してあげましょう。
肥満が原因で発症する犬の病気
犬が肥満と診断された場合、早めにダイエットを決行したほうが良い理由は病気のリスクが高まるためです。太っていると気道が圧迫されて呼吸器疾患の原因になるなど、病気が発症する可能性があります。
肥満が原因で発症するリスクがある主な病気には、以下のものがあります。
- 関節炎
- 呼吸器疾患
- 椎間板ヘルニア
- 心臓病
それぞれどのような病気なのか、具体的に解説していきます。
関節炎
肥満になると体重が増えて、歩く度に足の関節に負担がかかります。その状態が慢性的に続くと炎症を引き起こし、関節炎になってしまう恐れがあるのです。
関節炎が重症化すれば、ちょっとした散歩に行くことも困難になります。そうなれば、運動不足に陥って他の病気が併発してしまう可能性も高くなるのです。また、無理に散歩させると靭帯断裂を引き起こし、後遺症が残るリスクもあります。
呼吸器疾患
肥満になると、気道部分に脂肪が蓄積され気道を圧迫してしまう恐れがあります。特にもともと気道が狭い犬種は、呼吸器疾患を引き起こす可能性もあるので危険です。フレンチブルドッグやパグ、シーズーなどは気道が狭いため特に注意しましょう。
椎間板ヘルニア
体重が増えれば、骨のクッションとして役割を持っている椎間板への負担も大きくなります。椎間板への負担が大きくなると、「椎間板ヘルニア」を発症してしまい、痛みによって歩行が困難になる恐れがあるのです。
椎間板ヘルニアは、椎間板が一部的に飛び出すことで神経を圧迫し、腰や足に痛みやしびれを生じさせます。一度発症すれば、運動によるダイエットが難しくなります。そのため、症状が出る前にダイエットを成功させることが大切です。
心臓病
肥満になると、酸素や栄養分を全身に届けることが難しくなり、心臓への負担が大きくなります。その結果、心臓病を発症してしまうリスクがあるので危険です。
特に老犬は心臓病の悪化が懸念されるため、運動ができる若い年齢のうちに肥満を解消させましょう。
愛犬のダイエットを成功させるコツ
愛犬の肥満を解消させようと思っても、なかなか思い通りに体重が減らせないと悩んでいる飼い主さんもいるでしょう。そんな方のために、ダイエットを成功させるコツについて紹介していきます。
- ダイエットの経過をデータにまとめる
- 獣医師に相談する
以上のコツについて具体的に確認していきましょう。
ダイエットの経過をデータにまとめる
愛犬のダイエットを成功させるためには、こまめに体重を測ってデータを記録しておくことが大切です。データをまとめておけば、どんな方法が効果的だったのかが把握できます。
また、細かな経過観察により、愛犬が痩せていく様子を正確にチェックできるでしょう。無理なダイエットの予防にもなるため、必ずデータをまとめておいてください。
獣医師に相談する
愛犬のダイエットメニューを自己流で考えても、実際に効果が出るとは限りません。ダイエットメニュー次第では、愛犬に負担がかかってストレスを抱えさせてしまう原因になります。
効率よくダイエットをさせるためにも、まずは獣医師に相談しましょう。獣医師であれば、愛犬の適正体重や効果的な方法などを見極めてくれます。希望すれば適切なダイエットプランの提案も行ってくれるので、気軽に相談してみましょう。
愛犬にダイエットさせるときの注意点
愛犬をダイエットさせるときには、いくつか気をつけておくべき点があります。主な注意点は以下のとおりです。
- 極端なダイエットは危険
- リバウンドには注意
どのように注意すべきかを詳しく解説していきます。
極端なダイエットは危険
早く愛犬を痩せさせたいという気持ちから、極端に食事の量を減らすのは禁物です。急激な食生活の変化は、愛犬のストレスに繋がる恐れがあります。反対に食欲が増してしまい、イタズラをしたり要求が激しくなったりする可能性もあるのです。
また、急激に食事の量を減らすと、肝不全などの病気を発症するきっかけになります。無理なくダイエットさせるためにも、食事量はそれほど変化させず、ダイエットフードに少しずつ切り替えていくなどの方法を実践してください。
リバウンドには注意
ダイエットをしたことで愛犬の体重が減っても、安心してはいけません。人間と同じように、犬にもリバウンドがあります。体重が減ったご褒美として、おやつをあげているとすぐに元の体重に逆戻りする危険性もあるでしょう。
リバウンドを避けるためにも1日の摂取カロリーの目安を把握し、ダイエット成功後も食事量やおやつの与えすぎに注意してください。
愛犬に合った計画的なダイエットで健康を守ろう
犬の肥満は病気やケガにつながるとても危険なものです。そして、その肥満を引き起こしている原因の多くは飼い主さんにあります。毎日の食事や散歩など、育て方に問題がないか改めて見直す必要があるでしょう。
太ってしまった愛犬を痩せさせるには、ダイエットが必要です。この記事で紹介した食事や運動を参考にしてみてください。また、より適切な対処方法などを知りたい方は、動物病院への相談がおすすめです。
愛犬の心身にストレスがかからないように、計画的にダイエットに取り組んで健康を守りましょう。
執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季
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