犬のよだれが止まらない原因は病気やストレス? ポタポタ大量の対処法

「犬のよだれが多い原因は?」
「犬のよだれが多いのは病気のサイン?」
「寝ているときのよだれはどうして?」

犬を飼育している方で、このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。よだれは、犬の生理的なもので基本的には心配ありません。しかし、ストレスや病気が原因で大量のよだれを垂らす場合があります。

そこで今回は、よだれの原因や考えられる病気、よだれが多いときの対処法について紹介します。愛犬のよだれの原因を見極められるように、犬のよだれについて理解を深めましょう。

犬のよだれが多くなる5つの原因

犬のよだれが多くなるおもな原因は以下の5つです。

  • 生理的なもの
  • ストレス
  • リラックス
  • 車酔い
  • 病気

それぞれ詳しく見ていきましょう。

犬のよだれの原因①生理的なもの

犬は生理的な現象で唾液の分泌量が増え、よだれが多くなります。ご飯やオヤツを目の前にしたときに、よだれをポタポタ垂らしながら待っている犬は多いものです。犬の唾液には、食べたものをスムーズに胃へ送る働きがあります。

そのため犬は食べ物を見たり、匂いをかいだりすると無意識のうちに唾液が分泌され食べる準備を整えるのです。他にも犬の唾液には、体温を調整する働きがあります。

暑いときには口を大きく開き、ハアハアと荒く呼吸することで体温を下げるため、この時も唾液が多く分泌され、よだれの量が増えるのです。このような生理的な現象で唾液が分泌され、よだれが多く出る場合は心配する必要はありません。

犬のよだれの原因②ストレス

犬のよだれは、ストレスによっても量が多くなります。犬の唾液は、自律神経の交感神経と副交感神経によって調整されているからです。

病院やペットホテル、ドッグランなど苦手な場所や慣れない環境では、ストレスや緊張から交感神経が優位になり、唾液が多く分泌されよだれも増えます。

このときのよだれは、水分が少なくネバネバした粘着性の高いよだれが特徴です。ストレスによるよだれは、生理的なもので病気ではありません。しかし犬が緊張からネバネバしたよだれを垂らしている場合は、リラックスできるように緊張を解いてあげましょう。

犬のよだれの原因③リラックス

犬がリラックスしているときは副交感神経が優位になり、よだれが多くなります。寝ているときに、よだれで水たまりができたり口をくちゃくちゃさせながらよだれを流したりしているのはそのためです。

副交感神経が優位な状態のときは、水分が多くサラサラとした水のようなよだれになります。このケースも生理的なものなので心配する必要はありません。

犬のよだれの原因④車酔い

車が苦手な犬は、ストレスや緊張からハアハアと息が荒くなり、大量のヨダレを流してしまう場合があります。また車酔いの吐き気から、大量のよだれを流し、酷くなると吐いてしまうことも多いでしょう。

このようなときは、犬にとって非常につらい状態です。食後すぐの乗車をさけ、酔い止めの薬を飲ませるなど事前に準備をしてから車に乗せましょう。

犬のよだれの原因⑤病気

これまでお伝えした生理的な現象によるよだれ以外に、歯周病や熱中症、てんかんなどの病気が原因になっている場合もあります。

病気が原因になっているよだれの場合は、速やかに動物病院を受診しなければならないケースがほとんどです。犬のよだれが多いときに考えられる病気や注意点の詳細については次の章で紹介します。

犬のよだれが多いときに考えられる病気

犬のよだれが多いときに考えられるおもな病気は以下のとおりです。

  • 歯周病・口内炎
  • 胃拡張・胃捻転
  • 熱中症
  • てんかん
  • 異物の誤飲

それぞれ詳しく見ていきましょう。

歯周病・口内炎

よだれが多くなる病気で、まず一番に考えられるのは口内のトラブルです。犬は歯周病や口内炎、歯肉炎など口内に問題を抱えやすい傾向にあります。とくに歯周病は、3歳以上の犬の約8割は患っていると言われるほどです。

よだれの他に前足で口周りを掻こうとする、口臭が強くなったといった変化が見られた場合は、注意しなくてはいけません。歯茎の腫れや出血、歯のぐらつきはないか、口の中をチェックしてみましょう。

胃拡張・胃捻転

犬のよだれが増えたときに考えられる病気に、胃拡張や胃捻転症候群があります。胃拡張・胃捻転とは、大型犬に発生しやすい病気で、食後の運動や早食いなどが原因で胃にガスがたまり、胃が膨らんだり捻じれたりします。

大量のよだれが出るほかに、吐こうとするのに吐けない、お腹が腫れるといった症状が見られたら注意しなくてはいけません。

胃拡張・胃捻転は、短時間で命を落とすこともある危険な病気です。このような症状が見られたら、夜間や早朝であっても速やかに動物病院を受診しましょう。

熱中症

犬の熱中症の初期症状でよく見られるのは、ハアハアと荒い呼吸とともに大量のよだれが出ることです。暑さによる体温の上昇で、体温調整ができなくなり脱水状態になっています。

犬は人間のように汗をかいて体温を調整できません。そのため人間が暑さを感じない気温であっても、熱中症を起こすことがあります。

大量のよだれのほかに体が熱くなり、ぐったりしている場合は危険な状態です。冷たいタオルで体を冷やすなどの応急処置を取りながら、速やかに動物病院を受診しましょう。

てんかん

犬のてんかんとは、痙攣や失禁、意識を失うなどの発作を繰り返す脳の病気のことです。てんかん発作の前兆や部分発作の症状で、よだれを大量に流すことがあります。

大量のよだれ以外に、落ち着きがなくなりウロウロしたり口をくちゃくちゃさせたりする症状が見られたら、てんかん発作の前兆です。

てんかん発作は2〜3分で終り、命にかかわるものではありませんが、くり返すことで脳にダメージが生じます。早めに動物病院を受診し、適切な治療を受けましょう。

異物の誤飲

誤飲が原因で、犬は大量のよだれを垂らす場合があります。よだれの他に、おう吐や下痢、震えなどの症状が見られたら誤飲したものはないか確認してください。

おもちゃやペットボトルの蓋、焼き鳥の竹串などは、犬が誤飲しやすいとされています。また薬やタバコ、漂白剤の誤飲は中毒症状によってよだれが大量に出ることもあるので注意が必要です。

誤飲が疑われる場合は、吐かせようとしたり水を飲ませたりしてはいけません。自己判断で処置をせずに速やかに動物病院を受診しましょう。

よだれの原因が病気ではないかチェックする方法

よだれの原因が病気ではないかチェックする方法について紹介します。チェック方法は以下のとおりです。

  • よだれが臭いく口臭がする
  • 犬のよだれに泡が見られる
  • 吐こうとしているのに吐けない
  • 呼吸が苦しそう
  • 元気がない
  • よだれに血がまじっている

それぞれ詳しく見ていきましょう。

よだれが臭い・口臭がする

よだれが臭く、口臭がきつい場合は、なんらかの病気を患っている可能性があります。まず一番に疑われるのは、歯周病や口内炎などの口内の病気です。唾液や口のなかから腐敗臭がする場合は、歯周病を疑いましょう。

酸っぱい臭いがする場合は、胃腸のトラブルや誤飲が疑われます。また糖尿病や腎臓の疾患がある場合は、独特なアンモニア臭がすることも。よだれの臭いや口臭が急にきつくなったときは、早めに動物病院を受診しましょう。

犬のよだれに泡が見られる

犬のよだれに泡が見られる場合は、胃拡張・胃捻転や誤飲の可能性があります。よだれの他に症状が見られず、元気な場合は問題ありません。ただし元気がなく、おう吐や下痢、呼吸をしづらそうにしている場合は注意が必要です。

胃拡張・胃捻転は放置すると数時間で死にいたる場合もあるため、一刻も早く動物病院を受診しましょう。

吐こうとしているのに吐けない

大量のよだれとともに、吐こうとして吐けなくて苦しそうにしている場合は、胃拡張・胃捻転や誤飲が疑われます。誤飲による中毒症状も考えられるでしょう。

犬が中毒症状を起こすチョコレートやネギ類、洗剤を舐めたり食べたりしていないか、おもちゃなどを飲み込んでいないか確認してください。

誤飲は、命にかかわる重大な状態になる場合もあります。速やかに動物病院を受診しましょう。

呼吸が苦しそう

よだれを垂らしながら、喉になにかが詰まっているかのように苦しそうな呼吸をしていたら誤飲の可能性があります。

また暑さによる熱中症も考えられるでしょう。誤飲や熱中症は、生命にかかわる危険な病気です。自己判断せずに速やかに動物病院を受診しましょう。

元気がない

よだれに加え、ぐったりして元気がない場合はなんらかの病気の可能性があります。いつから症状が出ているのか、誤飲の可能性はないか確認し、獣医師の指示を仰ぎましょう。

よだれに血がまじっている

よだれに血がまじっている場合は、口内の出血や胃腸、呼吸器系の疾患が考えられます。口内に傷や腫れがないか確認してください。

口内に異常がなく、よだれに血が混じっている場合は、なんらかの疾患を患っている可能性があります。速やかに動物病院を受診し、適切な治療を受けましょう。

犬のよだれが大量で止まらないときの対処方法

犬の大量のよだれが止まらないときは、まず口内に腫れや出血、歯に異常はないか確認してください。口内に異常が見られない場合は、胃拡張・胃捻転や熱中症、誤飲の恐れがあります。

胃拡張・胃捻転や熱中症、誤飲が原因の場合は、非常に緊急性が高い状態です。速やかに動物病院へ行く必要があります。よだれのほかに体温が高くなっていないか、腹部がはれていないか、誤飲の可能性はないか確認してください。

体温が高くなっている場合は熱中症の可能性があります。体を冷やす応急処置をとりながら動物病院を受診しましょう。

よだれが出やすい犬種はいる?

犬には、よだれの出やすい犬種が存在します。よだれが出やすい、おもな犬種はニューファンドランドやセントバーナード、マスティフなどの超大型犬です。

超大型犬のほかに、パグやフレンチブルドッグなど頭の大きな短頭種も、よだれが多く出ます。よだれの出やすい犬種は、正常な状態であってもよだれが垂れていることも少なくありません。

ただし垂れたヨダレを放置すると、細菌が繁殖し匂いの原因になります。よだれに気がついたときは、その都度乾いたタオルで拭いてあげるとよいでしょう。

また超大型犬は、胃捻転を起こしやすい傾向にあります。食後すぐの運動は控えるようにしましょう。

犬のよだれが引き起こす3つのリスク

犬のよだれが引き起こすリスクは以下の3つです。

  • 他の犬に病気が感染する
  • 人の体に病原菌が入り込んでしまう
  • アレルギーの原因になる

それぞれのリスクについて詳しく紹介します。

他の犬に病気が感染する

犬のよだれが原因で、他の犬に病気が感染する場合があります。とくに犬の多くが患っていると言われる歯周病は、唾液を通して他の犬にうつる病気です。

歯周病にかかっている犬の唾液には、歯周病菌が含まれているからです。他の犬に歯周病をうつさないように、食器の共有や口をペロペロ舐め合う行為は控えさせましょう。

人の体に病原菌が入り込んでしまう

犬の唾液を介して、感染症を発症するリスクがあります。とくにパスツレラ症には、注意が必要です。

パスツレラ症に感染し発症すると、皮膚の腫れや痛み、発熱のほか、気管支炎などの呼吸器系の疾患を起こす恐れがあります。犬に傷口を舐めさせたり、キスしたりする行為は控えてください。

また食器を共有したり、口移しで食べ物を与えたりしてもいけません。犬のよだれが手についたときも、速やかに洗浄しましょう。

アレルギーの原因になる

犬の唾液には、犬アレルギーの症状を起こすアレルゲン物質が多く含まれています。アレルギー症状は、くしゃみや咳のほかに、唾液による湿疹や赤みなどの皮膚トラブルの症状が出ることも少なくありません。

犬のよだれに触れたときは、速やかに洗浄し清潔な状態を保つようにしましょう。

犬のよだれやけとは?原因やケア方法

犬のよだれやけを気にする飼い主さんは、多いのではないでしょうか。犬の口もとは目につきやすく、茶色に変色していると気になるものです。ここでは犬のよだれやけの原因と症状、ケア方法について紹介します。

よだれやけの原因と症状

犬のよだれやけとは、よだれが口周りの毛に付着することで茶色や赤茶色に変色する状態のことです。犬の唾液には多くの雑菌が含まれており、変色だけではなく異臭を発することもあります。

とくに口ひげのある犬や白や淡い色の被毛を持つ、ミニチュア・シュナウザーやシーズー、マルチーズなどに多く見られる症状です。

原因は、歯周病菌や歯肉炎などによる口内環境の悪化のほか、食器やおもちゃの汚れによる不衛生な環境が考えられます。

よだれやけをケアする方法

よだれやけは、飼い主さんの日ごろのケアで改善できる症状です。よだれやけのケア方法は以下のとおりです。

  • 口周りの毛をカットする
  • 食後や飲水後は口周りを拭き取る
  • 食器やおもちゃは小まめに洗い清潔な状態にする
  • 歯磨きで口内環境を整える

このようによだれやけは、日ごろのケアで改善・防止できます。

愛犬の口元を清潔に保つように心掛けましょう。

犬のよだれが突然増えたときは動物病院を受診しよう

今回は、犬のよだれの原因や考えられる病気、よだれが多いときの対処法についてお伝えしてきました。

犬のよだれは生理的な現象の場合がほとんどですが、なかには緊急性の高い病気が原因になっている場合もあります。

今回お伝えした方法で、犬のよだれの状態をチェックしてください。ただし犬のよだれが突然増えた場合は、自己判断せずに動物病院を受診しましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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