「犬の効果的な暑さ対策は?」
「犬の暑さ対策に使えるグッズはある?」
「愛犬が熱中症になってしまったときの対処法は?」
犬を飼っている方の中で、このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。犬は暑さに弱いため、暑さ対策が不可欠です。
そこで本記事では、有効な犬の暑さ対策や注意点、便利グッズなどをご紹介します。また、熱中症の応急処置についても解説するので、ぜひ最後までご一読ください。
犬の暑さ対策が重要な理由とは
犬の暑さ対策が重要な理由は、犬の皮膚が紫外線や外気に弱く、環境の影響を受けやすいからです。犬の皮膚は人間と同様、「表皮・真皮・皮下組織」の3層から成り立っています。
中でも表皮は、紫外線や外気に弱く、環境の影響を受けやすいです。犬の表皮は人間の約3分の1しか厚さがないため、紫外線や外気への対策が重要視されています。
また、犬は肉球と呼吸以外で体温調節ができません。人間は全身から汗をかいて体温を下げられますが、犬の場合は肉球もしくは呼吸で体温調節を行います。体温調節が苦手なうえ、犬の体温感度は人間よりも高いです。
以上のことから、犬の暑さ対策はしっかりと行う必要があります。
暑さ対策が特に重要な犬の特徴
全ての犬に暑さ対策は必須ですが、特に暑さに弱い犬も存在します。暑さに弱い犬の特徴は、次のとおりです。
- 短頭種の犬
- 寒い地域が原産の犬種
- 太っている犬
- 足が短い犬
暑さ対策が特に重要な犬の特徴について、具体的に解説していきます。
短頭種の犬
パグやフレンチ・ブルドッグなどの短頭種の犬は、鼻が短く喉が狭いため、呼吸による気化熱で体温を下げられません。
熱を放出するために一生懸命呼吸すると、逆に熱を生産してしまい、熱中症につながる可能性があります。その他、シー・ズーやチワワなども短頭種に該当します。
寒い地域が原産の犬種
シベリアンハスキーやセントバーナードなどの寒い地域が原産の犬種は、寒さから体を守るために被毛が厚く密に生えている場合が多く、熱がこもりやすいです。
また、ゴールデン・レトリーバーやポメラニアン、シェットランド・シープドックなど被毛がダブルコートの犬種も、同様の理由で暑さに弱いです。なお、ダブルコートとは、下毛(アンダーコート)と上毛(オーバーコート)の両方を持つ二重構造を指します。
太っている犬
太っている犬は皮下脂肪が多く、熱を蓄えやすいです。また、首周りに脂肪がつくと気道が狭くなり、呼吸による体温調節も難しくなります。
足が短い犬種
足が短いだけで暑さに弱くなるだけではありませんが、足が短い犬種は体と地面が近くなり、地面から反射される熱の影響を受けやすいです。屋内の場合は大丈夫ですが、屋外を散歩する際は十分に注意しなくてはなりません。
暑さ対策が必要になる時期や気温は?
犬の暑さ対策が必要になる時期は地域やその年の平均気温などによって異なるため、一概に言えませんが、室内温度が25℃を超える場合は対策を考えた方が無難です。特に室内温度が30℃を超えると熱中症のリスクが一気に高まります。
ただし、暑さ対策として単に室内を涼しくすれば良いわけではありません。冷たい空気は空間の下に溜まります。「寒すぎないか?」「直接冷房が当たらないか?」など、犬目線で考えることが大切です。
【屋内編】犬の暑さ対策4選
屋内でできる犬の暑さ対策として、次の4つが挙げられます。
- エアコンで室内の温度を調整する
- 日陰を作って風通しを良くする
- 被毛を短くカットしてあげる
- こまめな水分補給ができるようにしてあげる
具体的に詳しく解説します。
エアコンで室内の温度を調整する
エアコンは24時間稼働して、室内の温度を調整します。家の中は熱がこもりやすく、高温多湿だと熱中症リスクが高まるため注意が必要です。
エアコンの設定温度は、25〜27℃を目安としてください。自分の体感温度ではなく、犬の目線に合わせて温度調節を行いましょう。
日陰を作って風通しを良くする
夏は日差しが強く、日が出ている時間も長いため、家の中に日陰エリアを作る必要があります。飼い主さんが家にいる時間帯はカーテンなどで遮光しながら、風通しを良くしてあげてください。また、定期的に空気の入れ替えも行うようにしましょう。
被毛を短くカットしてあげる
毛の長い犬は熱がこもりやすいため、被毛を短くカットしてあげましょう。ただし、短くしすぎると、直射日光で肌にダメージを与えてしまう可能性があります。毛は肌を外気から守る役割もあるため、プロと相談しながらカットするのがおすすめです。
こまめな水分補給ができるようにしてあげる
夏は普段よりも多めに水分補給ができるよう工夫が必要です。ケージの中だけでなく、普段過ごすことが多いお気に入りの場所や暑い時に涼んでいる場所にも水を置くことをおすすめします。特に気温が高い日は、少し冷たい水を用意してあげましょう。
キンキンに冷えている水よりも、少し冷たいと感じるくらいの温度が最適です。なくなったらすぐに補給し、水がない状態を避けるようにします。
【屋外編】犬の暑さ対策3選
屋外でできる犬の暑さ対策として、次の3つが挙げられます。
- 早朝や夜など涼しい時間帯に散歩する
- 暑さ対策に便利なグッズを使う
- 全身に水をかけてあげる
それぞれの対策について、詳しく解説します。
早朝や夜など涼しい時間帯に散歩する
散歩の時間は、早朝や夜など涼しい時間帯が望ましいです。暑さを感じる時間帯に散歩すると、熱中症のリスクが高まります。
特に35℃を超える日の場合、アスファルトは60℃を超えているケースも珍しくありません。そのため、飼い主さんの都合に合わせるのではなく、犬が暑さを感じない歩きやすい時間帯を選ぶことが大切です。
暑さ対策に便利なグッズを使う
犬の暑さ対策グッズは、クールマットやクールミストなど数多く販売されています。クールマットは定番の暑さ対策グッズですが、ジェルタイプやアルミタイプ、大理石タイプなどさまざまです。生活スタイルや犬の好みなどに合わせて、最適なものを選びましょう。
全身に水をかけてあげる
全身に水をかけてあげると、体内の熱が放出されて体温が下がります。ただし、氷水など極端に冷たい水をかけるのは絶対にやめましょう。体表の末梢血管が収縮し、冷却の効率が下がってしまいます。また、過度に冷やしすぎると低体温状態になるため注意が必要です。
【車中編】犬の暑さ対策
犬が車に乗るときは安全のため、キャリーケースに入れている場合が多いです。しかし、キャリーケース内は空気がこもりやすいため、タオルなどにくるんで保冷剤を入れてあげましょう。バンダナなどにくるんで、直接体に巻いてあげるのも効果的です。
保冷剤を使用する際は、直接皮膚につかないよう注意が必要です。また、猛暑日はもちろん、それほど暑くない日でも、車内に犬を置いて行くのは絶対にやめてください。車内で留守番中に、熱中症になってしまう可能性が高いためです。
たとえ冷房がついていても、日差しが入ったり、空気が上手く循環してなかったりすると、車内の温度は上がります。また、慣れない場所に取り残されると、不安や緊張から呼吸が早くなり、体温調節が上手くいかなくなる恐れもあるので注意が必要です。
犬の暑さ対策で気を付けるべき5つのこと
犬の暑さ対策で気をつけるべきこととして、次の5つが挙げられます。
- エアコンを使わないのはNG
- エアコンの人感センサーをOFFにする
- 水を飲める場所を複数用意する
- 冷却グッズを活用する
- 寝床は日当たりの良い場所を避ける
注意点について、具体的に解説していきます。
エアコンを使わないのはNG
暑い時期にエアコンを使わないと、犬の熱中症リスクは高まります。前述した通り、犬は環境の影響を受けやすいうえ、体温調節が苦手なためです。
特に25℃を超える日は、エアコンをつけっぱなしにしておきましょう。ただし、寒さが苦手な犬もいるため、直接風が当たらないよう工夫が必要です。
エアコンの人感センサーをOFFにする
エアコンを使用する際は、人感センサーに注意が必要です。人感センサーは人間の動きを察知して風向や風量、設定温度などを調節してくれる機能ですが、犬に反応しないケースもあります。
人がいないと判断されてしまうと、エアコンは自動的に停止するため、室内温度が上がります。最近では、人感センサーが原因で熱中症になる犬も増えているので、必ず機能をOFFにすることが大切です。
水を飲める場所を複数用意する
水分補給は熱中症対策に効果的であるため、複数箇所に水を用意することが重要です。特に夏場は多いと思うくらいの量を用意しておくとちょうど良いでしょう。
犬が舌を出して熱を発散するときも、水分は多く蒸発します。犬が好きな時に好きな量を飲めるよう、最低2ヶ所以上は用意しておいてください。
冷却グッズを活用する
冷却グッズは暑さ対策になるだけでなく、災害対策にもなります。夏の猛暑日に、落雷が原因で突然停電になる可能性もゼロではありません。
夏は1時間程度で室内が高温になります。普段から冷却グッズを活用しておけば、万が一のときでも犬の体温を下げることができます。
寝床は日当たりの良い場所を避ける
前述した通り、寝床を日当たりの良い場所に置くと、熱中症を引き起こす恐れがあります。そのため、寝床は必ず直射日光が当たらない場所にすることが大切です。
ただし、エアコンの風が直接当たる場所では、逆に冷えすぎてしまうことがあります。寝床の場所を決めるときは、犬の目線で考えることが重要です。
犬の暑さ対策におすすめのグッズを紹介
犬の暑さ対策におすすめの主なグッズには、次の3つがあります。
- 冷却シート・マット
- 冷却ウェア
- 冷却バンダナ・ネック
それぞれの暑さ対策グッズについて、詳しく紹介していきます。
冷却シート・マット
犬用の冷却シートやマットは、上に座るとひんやりするため暑さ対策に効果的です。冷却マットの素材には、大理石やジェル、アルミ、ござなどが使用されていて、それぞれ効果が異なります。
よりひんやり感を得たい場合は、大理石、ジェル、アルミのマットがおすすめです。気性を重視したい場合は、ござのマットが適しています。また、洗濯が可能だったり、滑り止めがついていたりするものもあるため、購入前にしっかり仕様を確認してください。
冷却ウェア
冷却ウェアは暑さ対策だけでなく、紫外線や虫除け対策にも効果的です。サイズやデザインは豊富に用意されているため、犬に合わせて選ぶことができます。吸水速乾やポケット付きなど機能性が高い冷却ウェアも販売されているので、比較してから購入しましょう。
冷却バンダナ・ネック
冷却バンダナ・ネックは、直接犬につけて使うものです。こちらもデザインが豊富なので、飼い主や犬の好みによって選ぶことができます。
濡らして使うタイプや保冷剤を巻きつけるタイプがあり、より冷却効果を得たい場合は後者がおすすめです。暑さ対策をしながら、愛犬のファッションとしても楽しめます。
犬が熱中症になったときのサイン
犬の熱中症は、飼い主がどれだけ早く気づけるかが重要です。熱中症の症状は、段階によって異なります。犬が熱中症になったときのサインについて、段階別に詳しく解説します。
熱中症初期の場合
熱中症初期の場合は、以下のような症状が見られるケースが多いです。
- 目や口の中が充血している
- ハアハアと荒い呼吸をする
- 食欲がない
- 水を飲まない
- ぐったりしている
- 足元がふらついている
- 心拍数が普段よりも高い
- よだれが多く出る
そのほか、体温が40℃を超えていたり、下痢や嘔吐をしたりする場合も、熱中症の疑いがあります。
熱中症が重篤化した場合
熱中症が悪化すると、以下のような症状が出る可能性が高いです。
- 嘔吐・下痢を繰り返す
- 吐血・血便・血尿がある
- 痙攣を起こしている
- 歯茎が白い
- 舌や粘膜が青紫になっている
- 意識がない(呼びかけに反応しない)
このような症状が見られる場合は、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
犬が熱中症になってしまったときの応急処置4選
熱中症の疑いがあるときは、すぐに対処する必要があります。効果的な応急処置として、次の4つが挙げられます。
- 全身に常温の水をかける
- 日陰など涼しい場所で風を送る
- 保冷剤で脇の下やそけい部などを冷やす
- 冷たい水やスポーツドリンクを飲ませる
応急処置について、具体的に確認していきましょう。
全身に常温の水をかける
全身に常温の水をかけるときは、ショックを与えないよう足元から冷やしていくことが重要です。早く体温を下げようとして冷水をかけるのは絶対にやめてください。血管が収縮し、温度の高い血液が各臓器に循環するため逆効果です。
熱を発散しづらくなり、かえって臓器にダメージを与える可能性があります。また、水で濡らしたタオルで全身をつつんで冷やす方法も効果的です。
日陰など涼しい場所で風を送る
散歩中など屋外で熱中症の疑いがあるときは、日陰など涼しい場所に移動させ、うちわなどで風を送ります。また、地面が体温よりも高いと逆効果になるため、濡れたタオルなどを敷いた上で寝かせてあげると良いです。
保冷剤で脇の下やそけい部などを冷やす
保冷剤がある場合は、脇の下(前足の付け根の内側)やそけい部(後ろ足の付け根の内側)、けいどう脈(首の喉側)など、太い血管があるところを冷やします。ただし、保冷剤を直接当てると凍傷になる可能性があるため、必ずタオルなどにくるんで使ってください。
冷たい水やスポーツドリンクを飲ませる
熱中症には水分補給も不可欠です。冷たい水やスポーツドリンクを少しずつ飲ませましょう。飲めない場合は、コットンなどに含ませて口を湿らせてあげると良いです。舌や喉が動かないと窒息する危険があるため、無理に飲ませるのは避けてください。
愛犬の健康のために暑さ対策は万全にしよう
犬は暑さに弱いため、特に夏は暑さ対策が欠かせません。お伝えした対策は、すぐに実践できるものばかりです。屋外のみならず、屋内や車内でも暑さ対策は必要となるため、しっかり把握しておきましょう。
また、暑さ対策をする際は、飼い主さん目線ではなく、犬目線で考えることが大切です。それでも熱中症になってしまった場合、一刻も早い対処が重要です。
熱中症の代表的な症状と応急処置を覚えておくと、万が一のときに役立ちます。今回ご紹介した暑さ対策を参考に、愛犬を暑さから守ってあげてください。
執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季
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