犬と生活をしていると、お腹がキュルキュル鳴っているなと気づくことがあるはずです。しかし、あまり頻繁にお腹の音が鳴っているのを聞くと、「ただお腹が空いているだけ?」「病気が原因で鳴っている?」と不安に感じてしまいますよね。
愛犬とは、会話でコミュニケーションが取れないからこそ、飼い主さんの知識が必要です。
そこで今回は、犬のお腹が鳴る理由や対処法についてお伝えします。病院へ連れて行く判断基準についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
そもそもなぜ犬のお腹はキュルキュル鳴るの?
人間でも空腹時などは、お腹が鳴ることは珍しくありません。では、犬もお腹が鳴るのは、自然なことなのでしょうか。
犬のお腹がキュルキュルと鳴る原因は、大きく分けると2つに分けられます。
- 生理現象の場合
- 腹痛などの要因がある場合
どちらも人間でもありうる状態ですが、犬の場合に置き換えてより詳しく紹介していきます。
犬のお腹が鳴る7つの原因とは
犬のお腹がキュルキュルと鳴る原因は、主に次のようなものが挙げられます。
- お腹が減っている
- 食べたものを消化している
- ドッグフードが合っていない
- ストレスが溜まっている
- ガスが溜まっている
- 胃腸の機能が低下している
- 異物誤飲
人間と同じ原因だけでなく犬特有の原因もあるため、飼い主さんはあらかじめ理解しておきましょう。
お腹が減っている
犬も人間と同じように、生理現象の一つとしてお腹が減っているときに、キュルキュルと音が鳴ることがあります。
胃や腸が食べ物を受け入れる準備として収縮活動を始めるため、お腹の中にある空気などが動くことで音が鳴るのです。
食べたものを消化している
生理現象のひとつとして、食べ物を消化している間に音が鳴ることも考えられます。ドッグフードを食べた直後などは、空腹時と同じく胃や腸の動きが活発になるためキュルキュルと音がなるのです。
ドッグフードが合っていない
犬のお腹がキュルキュルと鳴る原因のひとつに、ドッグフードが合っていないことも考えられます。犬種によってドッグフードの種類に向き不向きがあり、体質によって消化しにくいドッグフードもあるのです。
食事の後に、いつもお腹が鳴っているようであれば、ドッグフードの変更を検討してください。
ストレスが溜まっている
犬も人間のように、ストレスを感じるとお腹に不調が現れることがあります。いつもと違う環境などで緊張や不安を感じると自律神経が乱れ、胃や腸にダメージが加わってしまうのです。
そして、その際にキュルキュルとお腹がなることがあります。ストレスを感じているときは、お腹が鳴る以外にも普段と違う行動が現れるケースが多いです。
愛犬の様子を注意深く観察して、できるだけストレスを軽減できるように努めましょう。
ガスが溜まっている
ガスが溜まることも、お腹がキュルキュル鳴る原因になります。特にドッグフードを早食いしてしまう犬は、空気を一緒に飲み込んでしまっているケースが多いです。
空気を多く飲み込んでいると、胃の中でドッグフードが発酵し、ガスが発生してお腹が鳴るようになります。
ガスが溜まっているときは、オナラやゲップなど他の症状も見られるため、よく観察してみると良いでしょう。
胃腸の機能が低下している
運動不足や老化により胃腸の機能が低下している場合、お腹がキュルキュルと鳴ってしまうことがあります。胃腸の機能を衰えさせないためにも、日頃から運動をする習慣をつけるようにしましょう。
異物誤飲
犬のお腹がキュルキュルと鳴っている原因の中でも、最も怖いのが異物を誤飲してしまっているケースです。
例えば、おもちゃや毛布をかじっていて千切れた部分を飲み込んでしまった、散歩中に飼い主さんが目を離したうちに拾い食いをしてしまったなどが考えられます。
胃や腸は、異物が入り込んできた際に排出しようと活発に動き出します。その際にキュルキュルと音がなることがあるのです。
異物誤飲は成犬でも起こりうる!
異物誤飲は、まだしつけが完璧でない子犬に起こることだと考える方も多いかもしれません。しかし、実際は成犬でもよくあるケースです。
遊んでいるうちにおもちゃの綿が口に入ったり、飼い主が放置した食べ物を口にしたりなど、さまざまなリスクがあります。成犬は異物誤飲をしないと考えていると、対処が遅れてしまうため注意が必要です。
治療時に開腹手術や内視鏡手術が必要になることも
異物誤飲は、飲み込んだ物によって開腹手術や内視鏡手術が必要になるケースもあります。例えば中毒性があるものを飲み込んでしまったり、嘔吐が激しく自然排出が難しいと判断できる物を飲み込んでしまった場合です。
お腹がキュルキュルと鳴っているだけでなく、嘔吐や元気がないなどの症状が現れた際は直ちに異物誤飲を疑い病院で診察をしてもらいましょう。
犬のお腹が鳴るのは病気のせい?気を付けるべき病気とは
犬のお腹が鳴る原因が病気である可能性もゼロではありません。愛犬のお腹が鳴り止まない場合は、次のような病気を疑いましょう。
- 膵炎
- 腸閉塞
- 胃捻転
- ウイルス感染
- 寄生虫感染
病気が関係している場合は、適切な治療が必要です。早急な対処ができるように、詳しく確認していきましょう。
膵炎
膵炎は、膵臓に炎症が起きている状態です。重症になると死に至る可能性もあり、とても危険な病気です。
食欲不振や腹痛の症状に加えて、お腹が鳴ることがあります。祈りのポーズと呼ばれる犬特有の姿勢で痛みを和らげようとすることが多いです。万が一祈りのポーズを目にした際にはすぐに病院へ連れていきましょう。
腸閉塞
腸閉塞は、さまざまな原因から腸が塞がってしまう病気です。腸閉塞になると、お腹がキュルキュル鳴るだけでなく、食欲不振や便秘、腹部膨満と呼ばれるお腹が大きく膨らむような症状も併発します。
飲み込んだ異物によっては死に至るケースもあるため、できるだけ早く病院で診察してもらうようにしましょう。
胃捻転
胃捻転は胃が捻れている状態で、ガスや暴飲暴食などが原因とされています。胃が捻れているため血管などの流れが悪くなり、最悪の場合はショック状態から死に至るケースも考えられます。
数時間で症状が悪化することがあり、お腹が膨れてきたり、ぐったりとした症状がみられたときはただちに病院へ連れていきましょう。
ウイルス感染
犬であっても人間のようにウイルス感染をすることがあります。ウイルス感染と一括りにいっても、風邪のようなウイルスであるケンネルコフから死に至る可能性もある犬パルボウイルス感染症などさまざまです。
ウイルス感染をすると体調不良を訴えることが多く、腹痛や発熱、食欲不振などを併発します。そのためお腹がキュルキュル鳴っているときは、ウイルスに感染するような経路がなかったか確認してください。
寄生虫感染
回虫や条虫などの寄生虫が何かの拍子に体内に入り込んでしまった場合、お腹がキュルキュルと鳴ることがあります。
さらに、腹痛を伴うケースも多く、なかには血便などが生じる可能性があります。母体から子犬へ胎盤感染することもあるため、妊娠中の場合は特に気をつけて清潔な環境で暮らせるようにしましょう。
お腹が鳴っているときにできる5つの対処法
愛犬のお腹が鳴っているとき、飼い主としてどんな行動を取るべきなのでしょうか。ここでは、以下5つの対処法について解説していきます。
- 運動などを避けて安静にさせる
- 水分補給のみにして様子をみる
- ドッグフードなど食事について見直す
- お腹のあたりをマッサージする
- 24時間程度絶食させる
運動などを避けて安静にさせる
愛犬のお腹がキュルキュルとなり続けているときは、運動を避けてできるだけ安静にさせてください。とくに、散歩やボール遊びなどの激しい運動は避けましょう。また、ドッグフードやおやつなどを無理やり食べさせてはいけません。
水分補給のみにして様子をみる
ドッグフードを食べた直後にお腹がキュルキュルと鳴っているときは、少しの間水分補給のみにして様子を見ましょう。
ただし、キンキンに冷えたお水を与えるのは避けてください。常温のお水を用意し、こまめに水分を与えるのがベストです。
ドッグフードなど食事について見直す
頻繁に愛犬のお腹がキュルキュルと鳴っている場合、ドッグフードが体質に合っていないケースも考えられます。さまざまな種類のドッグフードを試し、最も負担が少ない物を選ぶのがいいでしょう。
他にも、食事の回数や食べるスピードが適していないことも考えられます。早食い防止のフードボウルを使用したり、空腹防止のために食事の回数を増やしてこまめに与えたりなど、さまざまな対策を取り入れてみるのがおすすめです。
お腹のあたりをマッサージする
消化不良を起こしてお腹がキュルキュルと鳴っている場合、マッサージしてみるのも効果的です。お腹周りを、優しく撫でるようにマッサージしてあげてください。
力の入れ過ぎには気をつけて、嫌がる素振りを見せている場合は逆効果になるため、無理には続けないようにしましょう。
24時間程度絶食させる
お腹がキュルキュルと鳴るだけでなく、下痢や嘔吐の症状も発生しているときは、24時間程度絶食させて、胃や腸を休ませるのも対処法のひとつです。
ただし、絶食はあらかじめ獣医師に相談をしてから行ってください。
病院に連れて行く判断を下すのはどんな時?
お腹がキュルキュル鳴る原因には、生理現象や病気が考えられると紹介してきました。そのため、病院へ連れていく判断が難しいと感じる方も多いはずです。
愛犬の症状から考えて様子見でいいのか、直ちに病院へ連れていく必要があるのか、判断基準について確認しておきましょう。
早急に連れて行く必要がある場合
お腹がキュルキュルと鳴っている以外に、嘔吐や下痢などの症状が現れたときは直ちに病院で診察をしてもらいましょう。
元気がなく常に丸まった姿勢で寝ていたり、ぐったりとしている様子であれば病院へ連れていくのがベストです。
胃捻転などが疑われる場合は、早急な処置が必要になるため躊躇せずに病院を受診しましょう。
犬のお腹が鳴る原因を把握して対処しよう
今回は犬のお腹が鳴る原因や対処法について、詳しくお伝えしてきました。犬のお腹がキュルキュルと鳴る原因は、人間と同じく生理現象であることが多いです。
しかし、原因によっては、飼育環境やドッグフードの見直しが必要になります。また、病気が原因の場合は、迅速な対処が必要です。
ここでお伝えした内容を参考に、愛犬のお腹が鳴る原因を把握して、適切な対応ができるように準備しておいてください。
執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季
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