犬がストレスを感じたときのサインや行動|原因や影響・解消法を解説

愛犬がいつもと様子が違うとき、もしかしたらストレスが溜まっているのかもしれません。犬は、ストレスを言葉で伝えることができませんが、さまざまなサインを出しています。

ストレスは問題行動や深刻な病気につながるため、飼い主さんはいち早く愛犬のサインを読み取って、ストレス解消に努めなければいけません。

この記事では、犬のストレスの原因やサイン、解消法などをご紹介します。愛犬のストレスが心配な方は、ぜひ参考にしてください。

犬のストレスのサイン

犬はストレスを感じると、さまざまなサインを発します。サインは、その度合いによって以下のような段階があります。

  • カーミングシグナル【第1段階】
  • 問題行動【第2段階】
  • 体調不良や病気【第3段階】

ストレスの度合いが見分けられるように、詳しく確認していきましょう。

カーミングシグナル【第1段階】

カーミングシグナルとは、不安や緊張などのマイナスな気持ちを相手に伝え、自分を落ち着かせるために行うといわれています。主なカーミングシグナルは、以下のとおりです。

  • 目をそらす
  • あくびをする
  • 体をぶるぶると震わせる
  • ハァハァする
  • 足の裏が湿っぽい
  • 舌をペロペロして鼻を舐める
  • 耳を後ろに倒す・上半身が引けている
  • 白目が出ている

日常的な仕草も多いので、見極めが難しいこともありますが、行動の頻度を目安にしてください。いつもより頻繁にするカーミングシグナルがあれば、軽度のストレスを感じている可能性があります。

軽度のストレスでも積み重なると、深刻な病気につながる恐れもあるので、気付いたらすぐに対処してください。

目をそらす

ストレスを感じると、犬は人や物を見ないように目をそらすことがあります。叱られると目をそらすのは、怒っている相手のことが怖くてストレスを感じているからです。

例えば、家族の仲が悪かったり、飼い主さんがイライラしていたりしたら、犬はリラックスできません。ストレスが溜まり、目をそらすことも増えるでしょう。

あくびをする

眠いときでもないのにあくびをしたり、しょぼしょぼと目を細めたりしているときは、ストレスを感じている可能性があります。飼い主さんに怒られているときにあくびをしたら、叱らないでほしいということかもしれません。

体をブルブルと震わせる

犬が体をブルブルと震わせるときは、軽度のストレスがあるときです。例えば首輪が苦手な犬の場合、着け終わった後にブルブルッと体を震わせることがあります。これは、緊張したというサインだと考えてください。

ハァハァする

運動後や暑くもないのに、愛犬が口を開いたままハァハァしているときは、緊張状態である可能性が高いです。時間が経っても収まらない場合や息苦しそうな場合は、病気の可能性もあります。

足の裏が湿っぽい

人と同様に、犬も緊張すると、汗が増えます。犬によっては、フローリングに濡れた跡がつくほど、緊張して足の裏に汗をかくこともあるようです。抱っこしたときなどに、足の裏が湿っぽいか確認してみるとよいでしょう。

舌をペロペロして鼻を舐める

犬は、緊張したときや驚いたとき、舌をペロッと出して、鼻を舐めることがあります。この仕草をよく見かける場合は、ストレスを感じている可能性が高いです。

耳を後ろに倒す・上半身が引けている

ストレスを感じると犬は、耳を後ろに倒したり下半身が引けたりと体勢が低くなりやすいです。この体制で唸っていたら、怖がっているサインです。

怖がっている対象が人や犬ならば、それ以上は近づかないように離れて距離を取ってあげることが重要です。

白目が出ている

一般的に犬の白目は、ほとんど出ないものです。しかし、緊張して顔の筋肉が硬直していると目しか動かせないため、白目が見えることがあります。

このほかにも、手足を執拗になめる、後ろ足で身体をかく、尻尾をかむ、床のにおいをかぐなど、さまざまなカーミングシグナルがあります。

犬によってカーミングシグナルは異なるので、愛犬の出すサインを見逃さないようにしてください。

   問題行動【第2段階】

ストレスの第2段階になると、犬は問題行動を起こすようになります。普段とは明らかに違う行動が多いので、飼い主さんも気付きやすいはずです。

問題行動の代表例は、以下のとおりです。

  • 攻撃的になる
  • 無気力・無表情
  • 逃げる・隠れる
  • 激しい呼吸をする

攻撃的になる

うなる・吠える・噛みつく・突進するなど、攻撃的になったら、かなりストレスが溜まっているということです。モノを破壊するときも、同じ状況といえるでしょう。

無気力・無表情

いつもより元気がなく、寝てばかりだったり、無表情だったりしたら、ストレスが溜まっている可能性があります。動きが緩慢になるときも要注意です。

逃げる・隠れる

犬はパニックになって逃げたり隠れたりすることもあります。愛犬の緊張が高まると、この問題行動を起こすことが多いです。

激しく呼吸する

激しい運動をしていないのに犬が口を開けて激しく呼吸しているときは、緊張している可能性が高いです。

ここでご紹介した問題行動があるときは、愛犬が高いストレスを受けているサインです。早く改善しないと、健康を大きく損なう可能性があるので、かかりつけの病院で診てもらいましょう。

体調不良や病気【第3段階】

長期的・慢性的に犬がストレスを感じていると、体調不良や病気になる可能性があります。重度のストレスを受け続けると、犬に以下のような症状が出てしまうので注意が必要です。

  • 食欲不振
  • 下痢や嘔吐
  • 脱毛
  • 発作

食欲不振

いつもは食べ残すことがないのに、ごはんを残すようになったときは、ストレスがかなり溜まっているかもしれません。

ドッグフードを変えたり、置き場所を変えたりするだけでも、犬にとってストレスになることもあります。

食欲不振にいち早く気付くように、普段から「いつもの愛犬の食事量」を把握しておいてください。

下痢や嘔吐

ストレスから胃炎や腸炎となり、下痢・嘔吐の症状が出ることがあります。さらに、長期的にストレスにさらされると、胃潰瘍を起こして吐血などを起こす恐れもあるので注意が必要です。

脱毛

犬も人間と同じように、ストレスによって脱毛を起こすことがあります。正常な換毛ならば、全身の毛がまんべんなく抜けますが、ストレスが原因の場合は部分的に脱毛します。

それは、過剰に体を舐めたり毛を噛んでむしり取ってしまったりすることで、その部分がハゲてしまうからです。

発作

発作とは、手足のツッパリや痙攣などです。万が一、愛犬が留守番中に発作が起きたら、命の危険に繋がる可能性もあります。愛犬にてんかんの持病がある場合、特に注意してください。

犬がストレスを感じる原因

愛犬にストレスサインが見られたら、原因を特定して取り除いてあげることが重要です。犬がストレスを感じる原因は、主に5つあります。

  • 環境の変化
  • 気温や音による刺激
  • 運動不足
  • 空腹や睡眠不足
  • スキンシップ不足または構いすぎ

環境の変化

人間が環境の変化で緊張したり不安になったりするように、犬も環境の変化によってストレスを感じます。

引っ越しや散歩コースの変更、家族の独立や新しい家族が増えるなどの環境の変化は、緊張感や不安によるストレスになりやすいです。また犬は、飼い主さんの機嫌の悪さや家族同士の喧嘩などの嫌な雰囲気にも敏感なので注意してください。

気温や音による刺激

犬が快適に感じる気温や湿度は、人とは異なります。犬は、聴覚や嗅覚などの感覚が人よりも優れているため、突然の大きな音や聞き慣れない音などはストレスになりやすいのです。

例えば、花火の音、ドライヤーや掃除機の音、近所での工事の音などが該当します。強い芳香剤や柔軟剤、たばこなども、犬には刺激が強すぎる可能性があります。

温度や湿度も、犬にとって快適でない設定になっていることがあるので、注意したほうがよいでしょう。

運動不足

運動不足は、犬にとっては大きなストレスです。犬は体を動かすのが大好きなので、日常のストレスを運動で発散しています。

運動量が多くない小型犬であっても毎日の散歩は欠かさず行ってください。運動不足なときは、散歩の時間や回数を増やすなどの検討も必要です。

空腹や睡眠不足

家の中は、犬にとって安心できる場所です。しかし、食事や睡眠環境が良くなかったりするとストレスになりやすいです。

例えば、ごはんや水を与えると、勢いよく食べたり飲んだりしてすぐになくなってしまうときは、足りない可能性があります。

また、寝るときに照明が明るすぎると睡眠不足を引き起こし、ストレスの原因になるので注意が必要です。

スキンシップ不足または構いすぎ

飼い主さんとのスキンシップ不足もストレスの原因のひとつになります。愛犬が留守番する時間が長い場合などは、「もっと構ってほしい」という犬のさみしさがストレスにつながっているかもしれません。

留守中に家を荒らしていたり異常に吠えたりしたら、スキンシップ不足の可能性があります。

ただし、構いすぎることが犬のストレスになることもあります。犬の性格によっては、スキンシップをさほど好まないタイプや独りでのんびりと過ごしたいタイプの犬もいるので、性格に合わせた接し方を心がけましょう。

犬のストレス解消法

犬の主なストレス解消法は以下の6つです。

  • スキンシップを増やす
  • 犬が一人になれるスペースを確保する
  • 散歩や運動を増やす
  • 栄養バランスに気を付ける
  • 犬用のガムやおもちゃを与える
  • 快適な生活環境を作る

犬のストレスサインを感じ取ったら、ぜひ実践してください。

スキンシップを増やす

犬は、飼い主さんとのスキンシップの時間が大好きです。おもちゃを投げてあげたり、撫でてあげたりしてコミュニケーションを取ってください。

その際は、声をかけてあげることも忘れないでください。ブラッシングが好きな犬ならば、被毛ケアをしながらスキンシップするのもおすすめです。

犬が独りになれるスペースを確保する

犬は飼い主さんとのスキンシップを好む一方で、独りになりたいときもあります。いつでも近くに人がいるとストレスが溜まってしまうため、ゆっくりと自分だけで過ごせるスペースを確保してあげましょう。

犬は狭い隅のスペースを好むので、部屋の端にケージやサークル、ベッドやお気に入りのクッションなどを設置してあげてください。

散歩や運動を増やす

運動は犬にとって最大のストレス解消法です。休日や時間がある日は、いつもより散歩を長くして、愛犬が満足するまで思いっきり運動させてあげましょう。

天候が悪い日は、散歩に行けず運動不足になりやすいので、家の中でも運動できる工夫が必要です。フードやおやつを家のいろんなところに隠して、嗅覚を使って探すノーズワークをしたり、おもちゃで遊んだりしてあげるとよいでしょう。

なお、適切な運動量は、犬種や性格、年齢によって異なるので、愛犬に合わせることが重要です。

栄養バランスに気を付ける

犬が心身ともに健康になるには、栄養バランスが整ったごはんが必須です。特に、病気がちだったり老犬だったりする場合は、ひときわ栄養バランスに注意する必要があります。

フードの分量が、愛犬の年齢や体格に合っているか、確認しておきましょう。また、犬は脱水しやすいため、いつでも水分補給できるように常に新鮮な水を用意してあげることが重要です。

犬用のガムやおもちゃを与える

犬にとって噛むという行動は、ストレス発散法のひとつです。おもちゃは、家庭内でのいたずら予防にも役立ちます。

デンタルケアできるものや噛むおもちゃ、ガムなどがありますが、与えるときには、丸飲みする心配がないか、犬が安全に使えるかなどを確認してください。

投げたり引っ張ったりできる「トレーニングおもちゃ」、フードを中に入れられる「知育おもちゃ」も、飼い主さんとのコミュニケーションに最適です。ガムやおもちゃにはさまざまなタイプがあるので、愛犬の好みに合うものを選びましょう。

デンタル商品やガムなどは、歯周病予防にもなり、一石二鳥です。とはいえ、硬すぎると、歯が欠けてしまうので要注意です。

快適な生活環境を作る

犬が快適に安心して過ごせる環境を作ることも重要です。愛犬が過ごす場所を常に清潔にするために、トイレをしたらすぐにシートを替えてあげたり、いつでも新鮮な水を与えたりしてあげてください。

また、自分の匂いがついたタオルがあると、犬は安心して過ごせるようになります。犬の様子が見られない留守中は、特に注意が必要です。風通しや室温に配慮して、快適な生活環境を作ってあげてください。

愛犬のストレスサインを見逃さないよう注意が必要

今回は犬のストレスについて詳しくお伝えしてきました。ストレスは犬の心身に大きな負担になります。過度にストレスが溜まった状態が続くと、さまざまな病気の原因となるので注意が必要です。

犬のストレスサインには、段階があります。初期段階のうちに気付けるように、日頃から愛犬の状態に変わったところがないか観察してください。

愛犬がストレスを感じていると気づいたときは、ここでお伝えした内容を参考にして、適切に対処してあげてください。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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