「犬のトイレの場所はどこにすればいい?」
「犬のトイレを設置するときに気をつけることは?」
犬を迎えて最初に悩むのは、犬のトイレ事情ではないでしょうか。室内で犬を飼育する場合、犬が安心できる場所にトイレを設置してあげなくてはなりません。
トイレの環境が整っていないと、犬は家の中で排泄をやめたり失敗したりするからです。また、マナーの問題もあるため室内での排泄は身につけなくてはならないでしょう。
この記事では犬のトイレにおすすめの場所、設置する際の注意点について解説します。子犬のトレーニング方法にも触れていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
室内に犬のトイレの場所が必要な理由
「散歩でトイレをさせるので、室内に犬のトイレは不要では?」このように考える飼い主さんもいるかもしれません。しかし、犬のトイレは室内に設置する必要があります。犬の体への負担、マナーの問題もあるからです。
環境省が発行する『住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン』においても自宅でトイレを済ませてから散歩に行くようにすすめられています。室内に犬のトイレの場所が必要な理由は以下の通りです。
- 犬がトイレを我慢してしまう
- 犬が動けなくなったときにトイレができない
それぞれ詳しく説明します。
犬がトイレを我慢してしまう
散歩でしかトイレをしない犬は10〜12時間ほどトイレを我慢してしまいます。台風や大雪で散歩に行けないときは、さらに長時間の我慢を強いられるでしょう。犬は最大12時間、トイレを我慢できるといわれています。なかには丸1日我慢できる犬もいるほどです。
このように犬は長時間トイレを我慢できますが、膀胱炎や尿路結石などの泌尿器系の病気になるリスクが高まります。犬にトイレを我慢させないためにも室内のトイレが必要です。
犬が動けなくなったときにトイレができない
犬が散歩でしかトイレができないと、病気や加齢で動けなくなったときにトイレができません。とくにシニア期に入ると関節の痛みや筋力の衰えから歩行が困難になることがあります。また膀胱の筋力の低下から、長時間トイレを我慢できなくなるでしょう。
シニア犬の飼い主さんのなかには、トイレのたびに犬を抱っこして外へ連れていく人もいるほどです。このような状況になると、犬にも飼い主さんにも大きな負担がかかってしまいます。
成犬になってからでも室内でのトイレトレーニングはできますが、子犬のころから室内でのトイレ習慣をつけたほうがよいでしょう。
犬のトイレの置き場所を選ぶポイント
犬のトイレを置くのに適しているのは、どのような場所なのでしょうか。犬のトイレの置き場所を選ぶポイントは次の4つです。
- 寝床と離れている場所
- 静かで安心できる場所
- 好きなときに行ける場所
- クルクル回れる広さがある場所
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
寝床と離れている場所
犬のトイレは、寝床であるベッドから離れた場所に設置しましょう。犬はとてもきれい好きで、寝床が汚れることを嫌います。寝床が排泄物で汚れると感染症のリスクや敵に見つかるリスクが高くなるからです。
そのため、野生で暮らす犬は、寝床である巣穴から遠く離れたところで排泄します。このような習性から犬の寝床であるベッドとトイレが近すぎると、トイレの失敗や室内での排泄をやめるといった問題が起こりかねません。
犬のトイレは、寝床であるベッドやクレートから離れた場所に設置してあげましょう。
静かで安心できる場所
犬のトイレは、犬が安心できる静かな場所に設置しましょう。排泄中はどうしても無防備な体勢になってしまうため、玄関や窓際といった人の出入りがある場所に置いてしまうと犬は安心してトイレができません。
安心できない環境のトイレは、失敗や我慢につながります。犬が安心して排泄できる静かな場所であるかを十分に考慮してあげてください。
好きなときに行ける場所
犬が好きなときに行ける場所にトイレを設置しましょう。浴室や脱衣所、廊下といった犬の生活スペースから離れた場所に置く場合は、ドアを少し開けておくなどの配慮が必要です。
犬が自由にトイレに行けない環境は、我慢や失敗につながります。ドアを開けておくことが難しい場合は、ペットドアがおすすめです。後付けのペットドアであれば、費用を抑えて設置できます。
クルクル回れる広さがある場所
犬のトイレの場所を選ぶときは、犬がクルクル回れる広さのある場所を選んであげましょう。クルクル回ってから排泄する犬は多いですよね。
この行動は無防備な体勢になる排泄の前に、周囲の安全を確認しているといわれています。犬が安心して排泄できるように、室内であってもクルクル回れるようにしてあげましょう。
犬のトイレにおすすめの置き場所
犬のトイレの置き場所を選ぶポイントについてお伝えしてきました。そのポイントを踏まえた上で、具体的なおすすめの置き場所は以下のとおりです。
- リビング
- 浴室や脱衣所
- 階段や収納の下のデットスペース
それぞれの置き場所について詳しく見ていきましょう。
おすすめの場所①リビング
犬のトイレにおすすめの置き場所のひとつに、リビングが挙げられます。犬と飼い主さんともに一番長く過ごす場所であるリビングは、犬がトイレに行きやすく飼い主さんも気づきやすい点がメリットといえます。
またある程度の広さが確保できるので、犬のトイレを設置しやすいでしょう。ただし来客のときに目につきやすいのがデメリットです。おしゃれなトイレを選んだり、囲いをつけたり目につきにくいように工夫しましょう。
おすすめの場所②浴室や脱衣所
浴室や脱衣所も犬のトイレにおすすめの置き場所のひとつです。浴室や脱衣所であればトイレトレーが汚れたり、はみ出したりした場合でも掃除しやすい点がメリットといえます。
また人目につきにくく換気しやすい環境であることから、匂いが気になりにくく来客のときも安心です。静かで人目につかない浴室や脱衣所は、犬もストレスを感じにくいでしょう。
おすすめの場所③階段や収納の下のデットスペース
犬のトイレにおすすめの場所として、階段や収納の下のデッドスペースが挙げられます。人の視界に入りにくく周囲を囲んでいるデッドスペースは、犬が安心して排泄できる環境です。
また目につきにくく、来客のときも気になりません。犬のトイレグッズをまとめて収納でき、掃除やトイレシートの管理が楽になるといったメリットもあります。
犬のトイレの場所をベランダにするのはNG?
「犬のトイレの場所をベランダにしてもいいの?」このような疑問をお持ちの方は多いでしょう。ここではベランダの設置がNGな理由と注意点について紹介していきます。
マンションなどの集合住宅では基本的にNG
マンションやアパートなどの集合住宅のベランダに犬のトイレを設置するのは基本的にNGです。マンションやアパートなどの集合住宅のベランダは、個人の専有部分ではなく、居住者の専有使用が認められた共用部分にあたります。
実際にベランダで犬の世話やトイレを規約で禁じているマンションも少なくありません。規約で定められていない場合であっても、ご近所に与える匂いや衛生面での不快感を考えるとおすすめできません。
戸建の場合も注意が必要
戸建ての場合であっても、犬のトイレをベランダに設置する際は注意が必要です。隣家との距離感にもよりますが、犬の排泄物の匂いはご近所トラブルにもなりかねません。
どうしてもベランダに設置する際には、「犬が排泄したらその都度シートを取り換える」「排泄物はすぐに取り除く」など、匂いや衛生面で近隣に不快感を与えないような配慮が求められます。
またベランダであっても、必ずペットシートを使って排泄させてください。水で洗い流すだけでは、コンクリートやウッドデッキに匂いがしみついて取れなくなるからです。
犬にとって快適なトイレを作るために注意すること
犬にとって快適なトイレを作るために注意することは以下の通りです。
- 人間の生活導線上に置かないこと
- 常に清潔な状態を保つこと
- 犬の体の大きさに合ったサイズにすること
それぞれ詳しく解説します。
人間の生活導線上に置かないこと
犬のトイレは、人間の生活導線上に置かないようにしましょう。人間の生活導線上にあるとトイレを踏んだり、つまずいたりと危なく、衛生面でもよくありません。犬と生活する上で衛生面での管理は大切です。
また人の動きが多い場所では、犬も落ち着いてトイレができなくなってしまいます。リビングや廊下にトイレを設置する場合は、部屋の角や壁側といった犬が落ち着ける場所に設置しましょう。
常に清潔な状態を保つこと
犬のトイレは、常に清潔な状態を保ちましょう。先ほどお伝えしたように、犬はとてもきれい好きです。汚れたトイレは失敗や我慢につながります。
犬が排泄したら、その都度トイレトレーを除菌シートで拭いたあと、トイレシートを取り換えましょう。また、トレーに尿が残っていないかよく確認してください。犬の尿は拭き残しがあると、アンモニア臭の原因になります。
週に1回はペット用のトイレ用洗剤を使って、トイレトレーを洗いましょう。アンモニア臭が強い場合は、クエン酸を使った掃除がおすすめです。
犬の体の大きさに合ったサイズにすること
犬の体の大きさに合った、トイレトレーを選びましょう。サイズが合っていないと、失敗やはみ出しの原因になります。トイレトレーを選ぶ際は、犬の体より一回り大きなサイズを選ぶとよいでしょう。犬がクルクルと回れるくらいのサイズが理想です。
目安は、チワワなどの超小型犬であればレギュラーサイズ、トイプードルなどの小型犬はワイドサイズ、柴犬などの中型犬にはスーパーワイドサイズが適しているでしょう。大型犬は、2枚つなぎ合わせられるタイプがおすすめです。
子犬のトイレトレーニングはお迎えした日から始めよう
子犬のトイレトレーニングは、お迎えした日から始めましょう。ペットシートやトイレトレー、ケージといったトレーニングに必要な物を事前に揃えておくことが大切です。
ここでは子犬のトレーニング方法と成功させるコツについて紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
子犬のトイレトレーニング方法
子犬のトイレトレーニングは2〜3週間で完了させるのが理想です。子犬はトイレの間隔が短く、1日10回ほど排泄するといわれています。とくに排泄しやすいタイミングは、寝起きや食後、遊んだあとです。
これらのタイミングは子犬をケージの中に入れ、排泄するまで出さないようにします。子犬がトイレで排泄ができたら、褒めてケージから出して遊んであげましょう。10分程度遊んだら、ケージに戻し排泄が終わるまではケージで過ごさせます。これを根気よく繰り返しましょう。
また子犬がペットシートで排泄を始めたら「ワンツー・ワンツー」といった声かけをして、コマンドを覚えさせます。コマンドで排泄ができるようになると、旅行先や外出先で便利です。
子犬のトイレトレーニングを成功させるコツ
子犬のトイレトレーニングを成功させるコツは以下の3つです。
- 失敗させない
- 失敗しても叱らない
- 成功したら褒める
子犬のトイレトレーニングで、もっとも大切なことは失敗させないことです。子犬をケージから出しているときは、トイレを失敗しやすいので目を離さないようにしましょう。子犬から離れるときは、短時間であってもケージに入れて失敗を防ぎます。
もし子犬がトイレを失敗しても𠮟りつけてはいけません。怒られた理由が理解できない子犬は、トイレそのものが嫌になってしまうからです。子犬がトイレを失敗しても騒がずに静かに片付けましょう。
そして成功したら「いいこ」といった決めたコマンドで褒めましょう。おやつをあげるとより効果的です。
トイレの場所を変えるときの注意点
これまでお伝えした内容を見て、今のトイレの場所を変えたいと考えている飼い主の方も多いはずです。ただし、犬のトイレの場所を変えるときには以下の点に注意してください。
- 少しずつ場所を移動させる
- これまでと同じトイレを使う
- トイレに失敗しても叱らない
この注意点は、子犬のトイレをケージの中から外へ移動するときも同様です。詳しく解説するので、参考にしてください。
少しずつ場所を移動させる
トイレの場所を変えるときは、少しずつ移動させましょう。これまでのトイレの場所から見えないほど離れた場所に移動させると、犬はトイレの場所を認識できません。とくに場所で覚えている犬は、突然トイレがなくなって混乱するでしょう。
「愛犬のトイレの場所を変えたら、失敗するようになった」と驚く飼い主さんは少なくありません。犬のトイレの場所を変えるときは、数センチずつ犬が違和感を感じない程度の距離で移動させてください。
これまでと同じトイレを使う
トイレの場所を移動させるときは、これまでと同じトイレトレーやトイレシートを使いましょう。犬によっては、トイレを踏んだときの足裏の感覚で覚えているからです。足裏の感覚でトイレを覚えている犬は、新しいトイレの場所へ誘導すれば数回で覚えてくれます。
トイレに失敗しても叱らない
トイレの場所を移動させているときは、失敗が増えることもあります。万が一犬がトイレを失敗しても、絶対に𠮟ってはいけません。トイレの失敗を叱る行為は、百害あって一利なしです。
犬は排泄行為そのものを叱られたと感じ、トイレを我慢するようになります。叱るのではなく、上手にできたときに褒めるようにしましょう。
犬の気持ちを理解して快適なトイレを作ってあげよう
今回は犬のトイレの置き場所や快適なトイレ環境を作る注意点などをお伝えしてきました。犬のトイレの管理は、愛犬の健康やマナーを守るためにもとても重要です。犬が安心して排泄できる場所にトイレを設置しましょう。
また、場所だけでなくトイレトレーニングも大切です。子犬のうちから、しっかりとトイレのしつけをしてあげてください。
犬のトイレ事情が解決すれば、愛犬も飼い主さんもストレスなく気持ちよく過ごせます。愛犬が安心できる場所をよく理解して快適なトイレ環境を作ってあげましょう。
執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季
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