犬のしつけの基本|子犬に覚えさせるコツや始める時期・注意点を解説

「犬のしつけは何を教えるの?」
「犬をうまくしつける方法を知りたい」
「子犬のしつけはいつから始める?」

犬を迎えた方やこれから迎える方は、しつけについての悩みを持っているでしょう。犬は子犬のうちに、基本的なしつけをした方がよいとされています。この時期に人間と暮らすルールを身につければ、犬は安心して暮らせるようになるからです。

この記事では、しつけを始める時期と教えるべきしつけ、注意点について解説します。安全にしつけができる環境作りについても紹介しますので最後までご覧ください。

犬にしつけをする重要性とは

しつけは、犬に人間社会のルールやマナーを教え、安全に暮らせるようにすることです。他人や社会に迷惑をかけることなく、犬が安心して快適に過ごせるように「してほしいこと」「してはいけないこと」をしつけで教える必要があります。

基本的なしつけが身についていれば、犬が道路に飛び出したり人に飛びかかったりしてケガをさせる心配もありません。また、公共交通機関を利用するときにクレートで落ち着いて過ごせます。

さらに、犬にとってしつけは、飼い主さんとの大切な触れ合いの時間です。飼い主さんと触れ合いの時間を持つことで、犬のストレスを軽減させ問題行動の減少にもつながります。

子犬のしつけは生後2~3ヵ月からスタートさせよう

子犬のしつけは、生後2〜3ヵ月からスタートさせましょう。生後2〜3ヵ月は「犬の社会化期」にあたります。この時期の子犬は、柔軟性に富み好奇心旺盛です。ルールやマナーを学び、身につけるのに適した時期といえるでしょう。

社会化期にさまざまな体験をすることで人や別の犬、環境に対する警戒心が薄れ、成犬になってからも落ち着いて行動できます。まずは基本的なしつけを、犬が楽しく学べるように教えましょう。

子犬のしつけを始める前に環境を整えよう

子犬のしつけを始める前に、環境を整えましょう。好奇心旺盛な子犬は、あらゆるものに興味を持ち、口に入れたり齧ったりします。そのため子犬の時期は、犬が安全に暮らせるように対処する必要があります。

愛犬の犬種の特徴も踏まえた上で以下3つを準備するとよいでしょう。

  • サークルやケージを準備する
  • 子犬が口に入れそうな物を片付ける
  • 玄関やキッチンにゲートを設置する

それぞれの方法を詳しく紹介しますので参考にしてください。

サークルやケージを準備する

子犬を迎える前にサークルやケージ、クレートを準備しておきましょう。サークルやケージ、クレートは子犬を迎えた日から使うものです。サークルやケージは、トイレトレーニングに欠かせません。

クレートは病院や車での移動、室内のベッドとしても使用します。事前に準備しておけば、子犬の生活がストレスなくスタートできるでしょう。

サークルやケージ、クレートは大きさや素材、機能が製品によって異なります。目的や用途にあった素材や機能を選び、成犬時の大きさにあったサイズまたは拡張が可能なタイプを準備しておくとよいでしょう。

子犬が口に入れそうな物を片付ける

子犬が口に入れそうな物を片付けておきましょう。子犬は好奇心旺盛で気になったものを見つけると、口に入れて確認する習性があります。そのため人間が想像しないものを、犬は飲み込んでしまうのです。なかには豆電球や靴下を飲み込んでしまった犬もいます。

誤飲や誤食のトラブルの発生は、1歳未満の子犬にもっとも多く注意が必要です。床や犬の手が届く場所に置いてあるものは、すべて片付けてください。誤飲・誤食のリスクがある片付けるべきものは、以下の通りです。

  • 食べ物全般
  • 電池やボタン
  • 子供や犬のおもちゃ
  • 人間用の薬やタバコ
  • ティッシュなどの紙類
  • ゴキブリ駆除剤や除湿剤
  • 毒性のある観葉植物や花
  • ロープなどのひも状のもの

他にも子犬の口に入る大きさのものを片付け、ゴミ箱も蓋つきタイプに変えておくと安心です。電気コードやコンセントには、カバーをしておきましょう。

玄関やキッチンにゲートを設置する

玄関やキッチン、階段など子犬を出入りさせたくない場所に、ゲートを設置しておきましょう。ゲートとは柵のようなものです。子犬が室内で出入りできる場所を制限することで、事故やトラブルを未然に防げます。

玄関から犬が勢いよく飛び出したり、階段から落下したりすれば子犬はケガをしてしまうかもしれません。キッチンへの侵入は誤飲や誤食、調理器具によるケガの心配があります。

このようなリスクを減らすためには、ゲートの設置が効果的です。ゲートは大きく以下の3つのタイプにわかれます。

  • 置くだけタイプ
  • つっぱりタイプ
  • ネジで固定するタイプ

それぞれメリットとデメリットを持ち合わせているので、設置場所や愛犬の大きさにあったゲートを選びましょう。

これだけは犬に教えたい!8つのしつけとポイント

子犬の生活環境を整えた上で、基本的なしつけを教えていきましょう。必ずしつけておきたいのは以下の8つです。

  • トイレトレーニング
  • 名前とアイコンタクト
  • ハウストレーニング
  • ボディコントロール
  • 甘噛みの制御
  • 「おすわり」「ふせ」
  • 「おいで」「まて」
  • 散歩の練習

それぞれのしつけの必要性やポイントについてお伝えしていきます。

子犬のしつけ①トイレトレーニング

トイレトレーニングは、子犬を迎えた日から始めてください。トイレトレーニングを成功させるポイントは、失敗させないことです。そのため、迎えた日からトイレで排泄させるようにしましょう。

子犬が排泄しやすいタイミングは寝起き、食後、遊んだあとです。このタイミングで、子犬をケージやサークルに入れます。最初は失敗しないように、全面にトイレシートを敷き詰めておくとよいでしょう。

トイレトレーニングのポイント

子犬が排泄を始めたら「ワンツー、ワンツー」と声をかけ、コマンドを覚えさせます。排泄が終わったら、すぐにオヤツをあげて褒めてあげましょう。子犬が室内で過ごしているときは、失敗させないように子犬から目を離さないでください。

子犬がソワソワして排泄しそうになったら、すぐにトイレに誘導します。トイレトレーニングは失敗を防ぎ根気よく続ければ、必ず身につくものです。万が一子犬がトイレを失敗しても決して叱らず、優しく教えてあげましょう。

子犬のしつけ②名前とアイコンタクト

子犬が自分の名前を認識し、名前でアイコンタクトを取れるように練習しましょう。名前とアイコンタクトは、人と犬がコミュニケーションを取る上で欠かせないものです。名前とアイコンタクトが取れると、犬への指示が通りやすくなります。

名前を呼ぶと愛犬がうれしそうに飼い主さんの目を見てくれたり、駆け寄ってきたりするとうれしいですよね。アイコンタクトは、しつけ以外の効果もあるのです。犬と人が見つめあうと、双方に幸せホルモンが出るといわれています。

名前とアイコンタクトのポイント

名前を覚えてもらうのに一番効果的な方法は「名前=よいことがある」と、犬に理解してもらうことです。「名前を呼ぶ・オヤツを与える」これを繰り返します。犬が名前を覚えたら、アイコンタクトの練習に進んでください。

名前を呼ぶ+アイコンタクト・オヤツを与える」これをくり返し行います。最初は室内で練習を行い、室内でできるようになったら屋外でも練習しましょう。

子犬のしつけ③ハウストレーニング

クレートに慣れるハウストレーニングを行いましょう。犬が人と暮らす上で、クレートの利用は欠かせません。

公共交通機関や車での移動、入院やペットホテルに預けるときなど、さまざまな場面でクレートで過ごさなくてはならないからです。犬が自分から進んでクレートに入るように、子犬のころから慣れさせておきましょう。

ハウストレーニングのポイント

オヤツで犬をクレートに誘導します。犬がクレートに入ったら、オヤツを与えて褒めます。犬がクレートに慣れるまでは、扉を閉めずに出たり入ったりを繰り返しましょう。

犬がクレートに慣れてきたら、扉を閉めて滞在時間を少しずつ伸ばしていきます。知育玩具にオヤツを詰めて与えるのも効果的です。お気に入りの知育玩具を見つけて試してみましょう。

子犬のしつけ④ボディコントロール

警戒心の薄い子犬のうちから、全身どこでも触れるようにボディコントロールの練習をしましょう。ボディコントロールとは、飼い主さんに体を触られても犬が嫌がらずにリラックスできるようにすることです。

ボディコントロールができていると、健康チェックや散歩あとの足ふき、歯磨きといった日ごろのお手入れがしやすくなります。とくに犬は足先や口の中、耳などを触られることが苦手です。でも、お手入れで必ず触る必要があるので子犬のうちに慣れさせておきましょう。

ボディコントールのポイント

まずは犬が嫌がらない背中やわき腹から始め、慣れてきたら足や耳、全身を触ります。犬がおとなしく触らせてくれたら、オヤツを与えましょう。

犬に「触られるといいことがある」と認識させると抵抗しなくなります。犬がリラックスして全身を触らせてくれるようになるまで練習しましょう。

子犬のしつけ⑤甘噛みの制御

子犬の甘噛みを制御するようにしつけましょう。犬は本能的に、噛むことが好きです。甘噛みは子犬が人や他の犬とじゃれ合って遊ぶ、コミュニケーションのひとつでもあります。

そのため犬は遊んで欲しいときやかまってほしいときに、甘えるように人の手を甘噛みすることがあります。子犬によく見られる行動で、成長とともに自然と収まっていきますが、人の手を噛む習慣はつけないほうがよいでしょう。

甘噛み制御のポイント

まずは甘噛みをさせないことが大切です。犬が手を甘噛みしてきたら「痛い」と言って遊びを中断し、その場を離れます。

30秒ほどで犬のもとに戻り、犬が落ち着いていたら遊びを再開します。甘噛みすると遊んでもらえなくなることを犬は学習し、甘噛みは次第に減っていくでしょう。

子犬のしつけ⑥「おすわり」「ふせ」

「おすわり」「ふせ」は日常生活で使用頻度の高い、しつけのひとつです。病院の待合室やドッグカフェ、写真撮影といったさまざまな場面で使用します。また「おすわり」や「ふせ」は、テンションの上がった犬を落ち着かせるのに有効な方法です。

「おすわり」「ふせ」のポイント

「おすわり」の教え方は以下のとおりです。

  • オヤツを手に持ち犬に匂いを嗅がせ興味を持たせる
  • 犬がオヤツに気がついたら「おすわり」と発しながら、犬の鼻先を上に向けるように手をスライドさせる
  • 頭をあげると自然とお尻が床につきおすわりの姿勢になる
  • 床にお尻がついたら褒めてオヤツを与える

「おすわり」ができるようになったら「ふせ」を練習しましょう。

  • 犬に「おすわり」をさせ「ふせ」と発しながらオヤツを床の方に下げる
  • 頭がさがり自然と「ふせ」の姿勢になる
  • 「ふせ」の姿勢になったら褒めてオヤツを与える。

子犬のしつけ⑦「おいで」「まて」

「おいで」「まて」は、犬の安全を守るために欠かせないしつけです。たとえばリードを落としたり首輪が抜けたりした際に「おいで」「まて」が身についていれば、迷子や事故に巻き込まれる心配もなくなります。

また「おいで」の呼び戻しが身についていなければ、ドッグランにも行けません。しっかりとマスターし、犬が安全に暮らせるようにしましょう。

「おいで」「まて」のポイント

「まて」の教え方は以下の通りです。

  • 犬を「おすわり」させる
  • 「まて」と指示を出す
  • 犬が座って待てたらオヤツを与える
  • 最初は数秒から始め、少しずつ時間と距離を伸ばしていく

「おいで」の教え方は以下の通りです。

  • 「おすわり」「まて」をさせて犬から離れる
  • 「おいで」と指示を出し、犬が足元まで来たらオヤツを与える
  • 短い距離から始め、徐々に距離を伸ばす

子犬のしつけ⑧散歩の練習

子犬の散歩デビューはワクチンプログラム終了後からとされていますが、事前に散歩の練習をしておくことが大切です。子犬のワクチンプログラムの期間は、生後約2〜4ヵ月でちょうど子犬の社会化期にあたります。

犬の社会化期は、犬の性格や行動、ストレス耐性を左右する大切な時期です。この時期に室内だけの限られた空間で過ごすと、大きな音に怯えたり他人を怖がったりとストレスに弱い性格になってしまうこともあります。

散歩の練習のポイント

ワクチンプログラム終了前は、感染症のリスクも高く歩行での散歩はできません。飼い主さんの抱っこ散歩で、外の世界の刺激に慣れさせてください。

犬が怖がらないように気をつけながら車やトラック、バイクなどの音の刺激に慣らしたり、行きかう人や他の犬を見たりして社会性を養いましょう。

子犬のしつけを始めるときの注意点

犬に教えたいしつけについて説明してきました。実際にしつけを始めるときは以下の点に注意して教えてください。

  • 犬のしつけは短い時間で終わらせる
  • 犬の生活リズムに合わせる
  • 犬へのコマンドは家族で統一させる
  • 犬が失敗しても叩く怒るはNG

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

犬のしつけは短い時間で終わらせる

犬のしつけは短い時間で終わらせましょう。子犬のしつけは、楽しくコミュニケーションのひとつとして行うことが大切です。長時間のしつけは効果がないばかりか、子犬がしつけの時間を嫌いになってしまうこともあります。

子犬が集中できる時間は3分間ほどです。1回3分程度を目安に1日3回のしつけの時間を設けてください。集中力が高まる寝起きや食前、運動前がおすすめです。食後や運動後は、集中できない時間帯なので避けたほうがよいでしょう。

犬の生活リズムに合わせる

子犬のしつけは、生活のリズムに合わせることが大切です。子犬は1日18時間ほどの睡眠を必要とし、多くの時間を寝て過ごしています。

そのため子犬のうちは睡眠を中心に「寝て、食べて、排泄して、遊んで寝る」このリズムの繰り返しです。子犬の生活リズムを崩さないように、しつけの時間を設けましょう。

犬へのコマンドは家族で統一させる

犬へのコマンドは家族で統一しましょう。家族がバラバラのコマンドで指示を出すと、犬は混乱してしまうからです。

たとえばお母さんは「おすわり」のコマンドでおすわりの指示を出すのに、お父さんや子供たちは「シット」のコマンドで犬を座らせようとしても犬は理解できません。しつけを始める前に、家族でしつけで使用するコマンドを決めておきましょう。

犬が失敗しても叩く叱るはNG

しつけ中に犬が失敗しても叩いたり強く叱りつけたりしてはいけません。体罰や強く叱る行為では、犬と信頼関係を築けなくなるからです。

飼い主さんから体罰や強い叱責を受けた犬は恐怖によるトラウマから、吠える、噛むといった問題行動を起こすこともあります。犬のしつけは楽しく褒めて行いましょう。

子犬の社会性はパピー教室で身につけるのがおすすめ

子犬の社会性と基本的なしつけが学べる、パピー教室の利用もおすすめです。パピー教室とは、生後5ヵ月くらいまでの子犬が通う教室で、おもに動物病院や犬のしつけ教室で開催されています。

「おいで」「まて」やハウストレーニングなどの基本的なしつけや診察台に慣れる練習、子犬同士で遊ぶ時間が設けられており、社会性を身につける場所として最適です。動物病院のパピー教室に通えば、病院に対する警戒心が薄れ通院も楽になるでしょう。

しつけは愛犬の安心な生活や絆を深めるために大切

今回は子犬のしつけを始める時期と環境の整え方、しつけ方法について紹介してきました。子犬のしつけは、犬の一生を左右する大切なものです。人間社会のルールやマナーを教え、犬が安心して暮らせるようにしてあげましょう。

適切な方法で子犬のしつけを行えば、愛犬からの信頼を得られ絆は深まります。愛犬とのコミュニケーションのひとつとして、楽しくしつけを行ってください。

基本的なしつけを身につければ、愛犬と一緒に旅行やドッグカフェ、ドッグランといったレジャーを楽しめるようになります。愛犬も飼い主さんも、ストレスなく楽しく生活できるようになるでしょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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