犬の上目遣いを可愛いで片付けるのは危険? 3つの心理と病気のサイン

愛犬が上目遣いでこちらを見つめているとき、ほとんどの飼い主さんは「可愛い」と感じていると思います。しかし、実は飼い主さんを上目遣いで見つめる仕草には心理的な意味があるのです。

では、緊張、不安、興奮、リラックス、一体どのような心理で上目遣いをしているのでしょうか。この記事では、犬が上目遣いをする心理から上目遣いから読み取れる病気のサインまで紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

犬が上目遣いをするのには理由がある?

愛犬とコミュニケーションをとりたいとき、ほとんどの方は表情を確認すると思います。なかでも、愛犬が上目遣いでこちらを見上げている姿はとても愛らしくて癒されますよね。

犬の上目遣いとは、主に目線を上にあげてじっと見つめている仕草です。人と犬では目線の高さが違うので、上目遣いで見つめる姿には特に意味はないと思うかもしれません。しかし、実際には様々な心理から上目遣いで飼い主さんを見つめているのです。

犬が上目遣いをする3つの心理とは

犬が上目遣いをしているときは、主に3つの心理からと言われています。

  • 飼い主さんへおねだりしたいとき
  • 緊張や不安を感じているとき
  • 理由はないが飼い主さんを見ていたいとき

どのような心理でこちらを見つめているのか、周りの状況と合わせて判断できるようになると飼い主として正しい対処をできるようになります。

飼い主さんへおねだりしたいとき

愛犬が上目遣いをする心理の中でも、最も多いのが飼い主さんへおねだりしたいときです。例えば、次のようなことが考えられます。

  • おやつが欲しい
  • 撫でて欲しい
  • 散歩がしたい
  • トイレにいきたい

前後の環境や仕草から要求を読み取れるようになると、愛犬とのコミュニケーションが一層スムーズになるでしょう。

ただし、どれだけ可愛いおねだりであっても全て受け入れていいというものではありません。上目遣いをされる度におやつをあげていると、体重がオーバーしてしまい健康被害などが発生するので要注意です。

緊張や不安を感じているとき

愛犬が緊張や不安を感じているとき、飼い主さんをじっと上目遣いで見つめることがあります。例えば愛犬の苦手な音や匂いがしたときや知らない人が近くにいるときなど、身を守って欲しいという想いを飼い主さんに訴えているケースがあるのです。

こんなときは愛犬が安心できるよう、声かけやスキンシップを積極的に行いましょう。特に上目遣いで見つめるだけでなく、体が震えてしまっている場合はパニックになり攻撃してしまう可能性もあるので気をつけてください。

理由はないが飼い主さんを見ていたいとき

愛犬の中には、理由もなく飼い主さんの顔を上目遣いで眺めているケースもあります。もともと上目遣いになりがちな顔の作り、寝転んだ状態で目だけを動かすと自然と上目遣いになるという犬種もいるのです。

上目遣いをしているからといって、全ての状況に心理が隠れているとは限りません。愛犬の癖や要求を汲み取れるように、日頃から前後の環境や仕草を観察しておきましょう。

犬が上目遣いをする体制によっても意味は変わる

犬が上目遣いをする仕草には隠れた心理があると紹介してきましたが、もともと人と犬では目線の高さが違います。そのため、犬がどのような体制で上目遣いをしているのかによっても伝えたい心理が変化してくるのです。

うつ伏せ リラックスしている
立っている状態 興奮、緊張、警戒など
座っている状態 立っている状態と変わらない

うつ伏せ:リラックスしている

うつ伏せの状態で上目遣いをしているのは、愛犬がリラックスしているサインです。穏やかな気持ちでいるため、特に心配する必要はありません。

ただし、お腹を丸めてずっと動く様子がなく1日中寝ている、一箇所を執拗に舐めているなど、違和感を感じた場合は一度全身をチェックしてみましょう。

怪我や痛みを我慢してうつ伏せになっている可能性もあるので、上目遣い以外の仕草を確認する必要があります。

立った状態:興奮、緊張、警戒など

立った状態で上目遣いをしているときは、興奮や緊張、警戒をしているサインです。このとき上目遣い以外にも眉や口、尻尾などでどの程度興奮しているのかなどを確認してください。

例えば、上目遣いをしながら何か期待している表情なのか、今にも逃げ出したいような表情なのか、一概に興奮といってもさまざまな感情が考えられます。

期待しているのであれば少し間をあけて落ち着かせ、今にも逃げ出したいのであればすぐにその場から離れてあげましょう。正しい対処をするためにも、何を訴えているのか愛犬の仕草をできるだけ瞬時に見抜けるようにしておくのがベストです。

座った状態:立っているときと変わらない

座った状態で上目遣いをしているときは、立っている状態の心理とほとんど変わりません。とはいえ立っているときほど興奮しておらず、少し余裕がある状態です。座って様子を伺うほどの落ち着きはあるので、取り急ぎ対処する必要はありません。

上目遣いは病気のサイン?注意すべき3つの状況

愛犬が上目遣いでじっとこちらを見つめていると、体調が悪いのではと考える飼い主さんもいるでしょう。実際に上目遣いで見つめている理由として、体の痛みを知ってもらいたいというケースもあります。

特に、以下3つの状況に当てはまるときは、注意深く観察して必要であれば病院で診てもらうなどの対応が必要です。

  • 上目遣いをする心当たりがない
  • ご飯や散歩、おもちゃに反応がない
  • 体を動かさず同じ体制でいることが多い

上目遣いをする心当たりがない

飼い主さんが愛犬と暮らしてきた経験から、なぜ上目遣いをして見つめられているのか心当たりがないときは要注意です。

いつも以上に視線を感じたり、何か反応がおかしいと感じたりするときは、飼い主さんの経験や直感が当たっていることが多いです。愛犬の状態を確認し、何かトラブルが起きていないか様子を見守るようにしましょう。

ご飯や散歩・おもちゃに反応がない

上目遣いで見つめられているうえ、ご飯や散歩、おもちゃに反応がないときは要注意です。

気まぐれな性格で頻繁に経験している状況であれば心配ありませんが、いつもなら反応する事柄に反応がない場合、何か我慢をしている可能性があります。一度病院で診てもらい、食欲不振や元気がない旨を伝えましょう。

体を動かさず同じ体制でいることが多い

愛犬が長時間体を動かさず、同じ体制でじっと上目遣いをしているときは要注意です。散歩中に足などを怪我して、痛みで体が思うように動かせない可能性があります。

犬は人よりも寝ている時間が長いですが、常に同じ体制で生活できるというわけではありません。愛犬の体制に違和感を感じたら、どこか怪我をしていないか確認してあげましょう。

愛犬が病気や怪我を患っているときは、飼い主にしかわからない違和感が必ずあります。愛犬の発するシグナルを見逃さないよう、日頃から視線や仕草を観察する癖をつけておきましょう。

上目遣い以外の犬の仕草に意味はあるの?

ここまで上目遣いについて紹介してきました。ただし、上目遣いだけでなく、次のような犬の仕草にも意味がある場合があります。

  • 目をそらすとき
  • 困り顔をしているとき

それぞれの状況について、詳しく紹介していきましょう。

目をそらすとき

愛犬に目をそらされたと感じることがあると思います。人間同士のコミュニケーションは基本的に目を合わせて行うので、寂しい気持ちになるでしょう。しかし、犬は決して「嫌い」だから目をそらすというわけではありません。

服従しているサイン

犬が目をそらす理由の一つに、服従しているサインであることが挙げられます。実は犬の世界では、上の立場の犬が下の立場の犬に目を合わせにいくという習慣があるのです。

このとき、下の立場の犬が目を合わせてしまうと喧嘩が始まってしまいます。飼い主さんから目をそらすのは「敵意がなく服従している」という正常な反応なのです。

興奮から落ち着きたいサイン

犬があえて目をそらすのは、興奮から落ち着きたいと自制しているサインでもあります。

例えば愛犬が興奮して吠えてしまった後、あえて目をそらしてウロウロ歩いている姿を見たことはないでしょうか。このようなときは自ら落ち着こうとしているだけなので、そっと見守ってあげるのがベストです。

周囲が気になっている

周囲の状況が気になって、集中できずにいる場合も考えられます。物音や匂いなど、犬にとって気になる事態が発生したとき、目をそらす要因の一つになるのです。犬は嗅覚も聴覚も優れているので、人が感知できない要因に反応していることも少なくありません。

知らないふりをしている

何か都合が悪いと感じており、あえて目をそらして知らないふりをする場合も考えられます。例えば、イタズラをして飼い主さんから怒られているときやカメラを向けているときなど、人と同じように犬も「嫌だな」と感じて目をそらしているのです。

よく観察してみると、周りの状況からどのような理由で目を逸らしているのか気がつくきっかけになりますよ。

困り顔をしているとき

犬における困り顔とは、耳や眉、口角が下がり、しょんぼりとした状況を指します。では、犬であっても人と同じように悲しい気持ちのときに困り顔をするのでしょうか。結論からいうと、犬が困り顔をしているのはネガティブな感情でいるときです。

不安や緊張を感じている

犬が困り顔をするのは、何かネガティブな感情を抱えているケースがほとんどです。緊張、不安、悲しい、怖いなど、状況によって様々ですが、何か困り顔になってしまう原因があります。飼い主さんは何が原因なのかを見つけ、できるだけ早く取り除いてあげましょう。

要注意!知らない犬の場合はすぐに手を出さない

ここまで犬が上目遣いをしたときの対応についてお伝えしてきました。しかし、どれも「愛犬」であることが前提の話です。知り合いが飼っている犬や野良犬の場合、同じような対処をするのは危険なので避けてください。

たとえ同じ仕草であったとしても、関係性によって犬の反応が変わってくるからです。安易に安心させようと手を出すと、攻撃されてしまうことも考えられます。信頼関係が十分でない犬の場合は、すぐに手を出さず、刺激しないように気をつけましょう。

犬の上目遣いには意味がある!気持ちを理解してあげよう

今回は犬が上目遣いをする仕草の意味や対処法についてお伝えしてきました。愛犬の上目遣いには、さまざまな意味があると理解していただけたはずです。

飼い主さんは「今愛犬は何を伝えたいのか」を見極め、日頃から観察する習慣を身につけておいてください。心理を読み取る癖をつけ小さな変化にも気がつけるようになると、愛犬が怪我したときや病気を患ったときにもいち早く対処できるようになるでしょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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