犬の後ろ足の筋肉が衰えると、歩いたり走ったりするのが難しくなります。「愛犬の後ろ足に力が入らなくなった」と不安を抱えている飼い主さんも多いのではないでしょうか。犬の後ろ足が動かなくなる原因は怪我や病気、老化などさまざまです。
放置すると悪化する可能性もあるため、早めに対処しましょう。そこで今回の記事では、犬の後ろ足に力が入らない原因と対処法について詳しく解説します。犬を飼っている方は、ぜひ参考にしてください。
犬の後ろ足に力が入らなくなる5つの原因
犬の後ろ足に力が入らなくなる原因として、以下の5つが挙げられます。
- 怪我
- 病気
- 肥満
- 遺伝性疾患
- 老化
それぞれの原因について詳しく解説していきます。
怪我
骨折や捻挫など怪我をすると、後ろ足に力が入らなくなることがあります。また、痛めた場所をかばうために、普段とは異なる歩き方や姿勢が見られる場合も多いです。
病気
骨に関する病気にかかると、後ろ足に力が入らなくなることがあります。また、歩くたびに痛みを感じるため、足を引きずる場合も多いです。腫瘍や脊髄損傷など神経系の異常が起きたときも、同じ症状が見られます。
肥満
犬の肥満も後ろ足に力が入らない原因となる可能性があります。体重が重すぎると、骨や関節に大きな負担がかかるからです。
また、肥満は糖尿病や心臓疾患などの病気を発症しやすく、間接的に後ろ足の力を減らす原因となります。
遺伝性疾患
遺伝性疾患の中には、後ろ足に力が入らなくなる病気もあります。特に成長期に発症する場合が多いです。
老化
老化によって筋肉や関節の機能が低下し、後ろ足に力が入らなくなることがあります。老化による症状が見られるのは、小型犬の場合は15歳、大型犬は10歳以降が多いです。最初は後ろ足で立てなくなり、進行すると前足にも力が入らずに寝たきりになります。
犬の後ろ足に影響が出る代表的な病気
犬の後ろ足に影響が出る代表的な病気として、以下の5つが挙げられます。
- 椎間板ヘルニア
- 股関節形成不全
- 膝蓋骨脱臼
- 関節炎
- 指間炎
それぞれの病気について詳しく解説します。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、脊髄の稚骨にある椎間板が従来の位置から突出する病気です。悪化すると脊髄を圧迫し、神経に異常をきたします。
椎間板ヘルニアを発症すると、後ろ足がふらついたり、抱き上げると悲鳴をあげたりするようになります。
股関節形成不全
股関節形成不全とは、股関節が発育の段階で異常を起こし、関節の噛み合わせが浅くなる病気です。小型犬よりも大型犬や超大型犬に多く見られます。
股関節形成不全になると、「モンローウォーク」という特徴的な歩き方をしたり、横座りをしたりする場合もあります。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、膝にあるお皿の骨(膝蓋骨)が正常な位置からずれてしまう病気です。遺伝的な影響が大きいと考えられています。
脱臼の程度によって症状は異なり、無症状の場合もあれば、後ろ足を引いたり、スキップのように歩いたりする場合もあります。
関節炎
関節炎とは、関節軟骨に炎症が起こる病気です。怪我や老化などで関節に負荷がかかることで発症し、悪化すると歩行障害が見られるようになります。特に肥満の犬は関節の負担が大きくなるため、しっかり体重管理を行うことが大切です。
指間炎
指間炎とは、指の間や肉球の隙間に炎症が起こる病気です。犬が足先を舐めたり、散歩で濡れた足をそのままにしたりすることで発症します。
炎症を起こした部分は赤く腫れ、悪化すると膿んでしまうこともあります。犬が舐めたり噛んだりすることで、最近が繁殖しさらに悪化する場合も多いため注意が必要です。
犬の後ろ足に力が入らなくなったときの対処法
後ろ足に力が入らなくなったら、まずはケージに入れて動けないようにする必要があります。無理に動くと悪化したり、転倒によって他の部分を傷めたりする可能性が高いからです。
後ろ足を保護するために、包帯を巻くのはやめましょう。余計に動きにくくなって怪我をしたり、包帯を取ろうとして症状が悪化したりする危険性があります。
動物病院へ連れて行くべきサイン
犬の後ろ足に力が入らない場合、自然に治ることはほとんどありません。そのため、動物病院に連れていく必要がありますが、以下の症状を併発しているときは緊急性が高いです。
- 後ろ足を上げて歩く
- 後ろ足を頻繁に舐める
- 歩くのを嫌がる
- ふらつきながら歩く
- 触られるのを嫌がる
- 触ると鳴く
後ろ足に力が入らないと、犬にも強いストレスがかかっています。ストレスは全身の免疫低下に繋がるため、他の病気が発症することもあります。
犬の後ろ足の衰えを予防する方法
犬の後ろ足の衰えを予防する方法として、以下の3つが挙げられます。
- 散歩に欠かさず連れて行く
- 栄養管理を徹底する
- 適切な体重をキープさせる
それぞれの方法について詳しく解説します。
散歩に欠かさず連れていく
歩いたり立ったりするためには筋肉が不可欠であるため、散歩に欠かさず連れて行くことが大切です。
愛犬のペースに合わせて、散歩コースや時間を考えましょう。若いうちから適度に運動しておくと、筋肉が落ちるスピードは遅くなります。
栄養管理を徹底する
後ろ足の骨や筋肉の健康状態を維持するためには、栄養バランスの良い食事が不可欠です。軟骨を保護するグルコサミンやヒアルロン酸、骨や軟骨の形成に欠かせないコラーゲンなどは、加齢とともに体内の産生が減っていきます。
食事で補えない場合は、サプリメントでの摂取も検討しましょう。ビタミンCはコラーゲンの合成を助けるだけでなく、老化予防の役割もあります。体の一部に炎症が起こっているときは、オメガ3脂肪酸を積極的に摂るのがおすすめです。
適切な体重をキープさせる
犬の後ろ足に力が入らなくなったとき、適切な体重をキープさせることが大切です。平均体重よりもオーバーしていると後ろ足や脊髄に負担がかかり、筋力低下や関節の炎症などを起こす可能性があります。
適切な体重をキープさせるためには、適度な運動とバランスの良い食事が不可欠です。飼い主さんだけで体重を管理するのが難しい場合は、獣医師や栄養専門家と一緒に愛犬の減量計画を作成しましょう。
後ろ足に影響が出やすい犬種
犬種によってかかりやすい病気は異なります。以下の犬種を飼育する場合は、特に注意が必要です。
- 骨折をしやすい犬種
- 椎間板ヘルニアになりやすい犬種
- 股関節形成不全になりやすい犬種
- 膝蓋骨脱臼になりやすい犬種
病気別に後ろ足に影響が出やすい犬種を紹介します。
骨折をしやすい犬種
骨折をしやすい犬種は以下のとおりです。
- チワワ
- ポメラニアン
- トイ・プードル
- マルチーズ
- ミニチュア・ピンシャー
骨折は小型犬に多く、高い場所からの飛び降りなどの事故で起こります。
椎間板ヘルニアになりやすい犬種
椎間板ヘルニアになりやすい犬種は以下のとおりです。
- ダックスフンド
- トイ・プードル
- ペキニーズ
- パグ
- フレンチ・ブルドッグ
- ウェルシュ・コーギー
椎間板ヘルニアは、短足・胴長の犬種に見られやすい病気です。遺伝的な影響が大きいですが、老化によって症状が見られることもあります。
股関節形成不全になりやすい犬種
股関節形成不全になりやすい犬種は以下のとおりです。
- ゴールデン・レトリーバー
- ラブラドール・レトリーバー
- ドーベルマン
- ビーグル
- ロットワイラー
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
股関節形成不全は、大型犬に多く見られる病気です。遺伝的な影響が大きいと考えられています。
膝蓋骨脱臼になりやすい犬種
膝蓋骨脱臼になりやすい犬種は以下のとおりです。
- チワワ
- トイ・プードル
- パピヨン
- ポメラニアン
- ヨークシャー・テリア
膝蓋骨脱臼は、小型犬に多く見られる病気です。遺伝性が強いですが、怪我や栄養不足などで発症する場合もあります。
愛犬の後ろ足に力が入らなくなったら動物病院に連れて行こう
今回は、犬の後ろ足に力が入らなくなる原因や対処法について詳しく解説しました。歩いたり走ったりするためには、後ろ足の筋肉が不可欠です。
怪我や病気などさまざまな原因によって見られますが、いずれも自然に治ることはほとんどありません。
後ろ足を上げて歩いたり、抱き上げると鳴いたりする場合は、緊急性が高いため早急に動物病院へ連れて行きましょう。放置して悪化すると歩けなくなったり、命に関わったりすることがあります。
執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季
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