「犬がしっぽを頻繁に追いかける理由は?」
「犬がしっぽを追いかけないようにするには?」
このような疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか。子犬の時期は好奇心から、自分のしっぽを追いかける行動は珍しくありません。しかし、大人になっても回数が減らない場合、何か理由があるのか心配になる飼い主の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、犬がしっぽを追いかける理由について詳しく解説しています。治す方法や病気の可能性も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
犬がしっぽを追いかける4つの理由
犬がしっぽを追いかける理由として、以下の4つが挙げられます。
- ストレスが溜まっている
- 退屈しのぎや遊びの一環
- 飼い主にかまって欲しい
- 体に痛みやかゆみを感じている
犬がしっぽを追いかける姿は可愛らしいですが、ストレスが溜まっていたり、体に痛みやかゆみを感じていたりする可能性もあります。そのため、飼い主は愛犬の様子をしっかり観察することが大切です。
ストレスが溜まっている
ストレスには、大きく分けて心理的要因と身体的要因があります。しっぽを追いかけてストレスを発散している場合、そのまま癖になってしまう可能性が高いです。愛犬が自傷行為を始めてしまう前に、何にストレスを感じているのか明確にする必要があります。
心理的ストレスの主な原因 | 身体的ストレスの主な原因 |
---|---|
●スキンシップ不足 ●家族の不仲 ●家族の増減 ●引越しなどの環境変化 ●多頭飼いによる犬同士の相性 |
●飼育環境 ●不適切な運動量 ●強制的な散歩 |
退屈しのぎや遊びの一環
散歩に行きたくても行けないときなどは、退屈しのぎにしっぽを追いかける場合が多いです。また、子犬の時期は好奇心旺盛で、遊びの一環としてしっぽを追いかける行動は珍しくありません。
飼い主にかまって欲しい
飼い主がいるときだけしっぽを追いかけている場合は、飼い主にかまって欲しい可能性が高いです。飼い主がその姿を見たり、注意したりすると、回ったら飼い主がかまってくれると思い、そのまま癖になることも多いため注意が必要です。
体に痛みやかゆみを感じている
体の痛みやかゆみを紛らわせるために、しっぽを追いかけている場合もあります。飼い主は、愛犬がどこを痛がっていたり、かゆがっていたりするのか判断するのが難しいです。少しでも病気の疑いが出てきたときは、動物病院に連れて行き、獣医師に診てもらうことをおすすめします。
犬がしっぽを追いかけるときに考えられる病気
犬がしっぽを追いかけるときに考えられる病気として、以下の4つが挙げられます。
- 皮膚炎
- ノミ・ダニ(マダニ)
- てんかん
- 関節・肛門周辺の異常
飼い主は、愛犬が病気かどうか正確に判断できません。そのため、頻繁にしっぽを追いかけている場合は、動物病院へ連れて行く必要があります。
皮膚炎
皮膚炎によるかゆみや違和感を紛らわせるために、しっぽを追いかけている可能性があります。犬の皮膚病には種類が数多くあり、犬の体に常在している菌や飼育環境、犬種の遺伝的要因など、原因はさまざまです。
ノミ・ダニ(マダニ)
ノミやダニなどに寄生され、かゆみを感じている可能性があります。特にノミは顔から遠く、かくのが難しい場所に潜んでいる場合が多いです。愛犬の背中や腰回り、しっぽ周辺に黒い小さな粒がないか確認しましょう。1粒でも見つかった場合、ノミの糞である可能性が高いです。
てんかん
てんかんとは、脳の信号伝達機能に何かしらの乱れが生じ、体が痙攣したり、意識障害を起こしたりする病気です。しっぽを追いかけている行動も、てんかんが原因となっている可能性があります。
しっぽに対して噛みついたり、うなったりする場合、てんかんの症状によってしっぽに追いかけられていると錯覚を起こしていると考えられます。
関節・肛門周辺の異常
膝蓋骨や股関節に異常があり、痛みを紛らわすためにしっぽを追いかけている場合があります。また、肛門の周りに痛みやかゆみがある、もしくは肛門腺に分泌物が以上に溜まったり、詰まったりして炎症を起こしている可能性も考えられます。
犬がしっぽを追いかけないようにする方法
犬がしっぽを追いかけないようにする方法として、以下の4つが挙げられます。
- 積極的にスキンシップをする
- 散歩や運動の時間を増やす
- 犬用ガムを利用する
- 動物病院に連れて行く
しっぽを追いかける回数が徐々に増えてしまうこともあります。しっぽを追いかける行動は、自傷行為につながりやすいため注意が必要です。
積極的にスキンシップをする
スキンシップ不足が原因の場合、あくびやしっぽを振るなど「カーミングシグナル」と呼ばれる行動も見られます。飼い主へかまって欲しいと訴えるサインなので、一緒に遊んだり、出かけたりして積極的にスキンシップをすることが大切です。
しかし、中にはどうしても忙しくて、愛犬に時間を費やせない場合もあります。そのような時は、無視したり、怒ったりするのではなく、声をかけてあげるだけでもストレスの軽減につながります。
散歩や運動の時間を増やす
小型犬なら散歩は短時間・短距離でも大丈夫と考える飼い主は多くいます。しかし、犬種や年齢によって適切な運動量は異なるため、必要に応じて散歩や運動の時間を増やすことが大切です。
散歩に行こうとすると隠れたり、リードをつけさせてくれなかったりする場合は、散歩がストレスになっている可能性が考えられます。散歩コースは交通量や人通りが多くないかを確認し、必要に応じて静かな道や公園に変えましょう。
犬用ガムを利用する
しっぽを追いかける行動とともに、噛み癖が気になる場合は、自由に噛める犬用ガムを与えてみると良いです。音の出るおもちゃは犬の狩猟本能を刺激しているため、ストレス発散につながります。
動物病院に連れて行く
ここまでお伝えした方法を試しても治らなかったり、病気の疑いがあったりするときは、かかりつけの動物病院に連れて行くことをおすすめします。特に次の行動が見られる場合は、何かしらの病気にかかっている可能性が高いです。
- 特定されない状況で回る
- 自分が回っている理由を理解できていない
- 1日の中で複数回にわたって回る
- 回る回数が増えている
- しっぽの毛が抜ける
- 怪我をするほど追いかけることがある
- 尾追い行動をやめさせるのが困難
病気は早期発見が非常に重要です。普段から愛犬の様子を観察し、何か気になる点があれば獣医師に相談しましょう。
犬がしっぽを追いかけるのを防ぐ方法
しっぽを追いかける行動は、ストレスが原因であるケースが非常に多いです。愛犬のストレスを最小限に抑えるためには、「環境エンリッチメント」と呼ばれる5つの基準に沿って愛犬との生活を見直す必要があります。なお、環境エンリッチメントの基準は、以下の通りです。
- 空間エンリッチメント
- 感覚エンリッチメント
- 採食エンリッチメント
- 認知エンリッチメント
- 社会的エンリッチメント
環境エンリッチメントは、安全で快適な生活リズムを保つために欠かせません。見直すべきポイントがある場合は、できるだけ早く改善することも大切です。
空間エンリッチメント
犬本来の行動に合わせて生活空間を整えます。空間エンリッチメントで意識するべきポイントは、以下の通りです。
- 狭いケージの中で長時間の飼育は避ける
- クレートやベッドなどの安心できるプライベート空間を与える
- 適度な散歩や運動の機会を与える
プライベート空間には、愛犬が好きな時に自らアクセスできるようにしておくことが大切です。
感覚エンリッチメント
視覚・触覚・嗅覚などに刺激を与えます。感覚エンリッチメントで意識するべきポイントは、以下の通りです。
- 犬が嫌がったりしない場合は、散歩時間を十分確保し、匂いを嗅ぐ時間を与える
- 舗装道路だけでなく、さまざまな場所や道に連れて行く
- 日常的に撫でたり、マッサージをしたりする
採食エンリッチメント
犬本来の摂食行動に近づけます。知育玩具やノーズワークマット、箱などを用いて食事やおやつを与えるのがおすすめです。
認知エンリッチメント
犬が自ら考えて行動するための機会を与えます。簡単な知育玩具を与えたり、トレーニングを少しずつレベルアップしたりする方法が効果的です。
社会的エンリッチメント
犬本来の社会を実現するために、人や他の動物と関わる機会を設けます。社会的エンリッチメントで意識するべきポイントは、以下の通りです。
- 食べ物を用いたトレーニングを行う
- 犬が嫌がらなければ、散歩やドッグランなどで他の人や犬と交流させる
- 犬用おもちゃで一緒に遊ぶ
社会的エンリッチメントでは、犬と飼い主が楽しめるかどうかが重要です。愛犬が嫌がる場合は、無理にさせないようにします。
愛犬がしっぽを追いかける理由を理解してあげよう
今回は、犬がしっぽを追いかける理由について詳しく解説しました。ストレスが理由として最も多いですが、病気にかかっている可能性もあります。
ストレスが溜まっている場合は、スキンシップをとったり、散歩や運動量を増やしたりして、発散する機会を与えてあげることが大切です。病気の疑いが少しでもある場合は、かかりつけの動物病院に連れていきましょう。
しっぽを追いかける回数が増えたり、やめさせるのが難しかったりするときは、皮膚炎やノミ・ダニなどの可能性が高いです。本記事を参考にして、愛犬がしっぽを追いかける理由を理解してあげてください。
執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季
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