犬の保険には入るべき? ペット保険の必要性や補償内容・料金を解説

「犬のペット保険には入るべき?」
「ペット保険みんなはどうしているの?」
「犬のペット保険の料金は?」

犬を飼いはじめたとき、ペット保険について疑問を持つ方も多いはずです。

犬は人間のような健康保険制度がなく、病院でかかった治療は飼い主さんの全額負担になります。とくに好奇心の旺盛な子犬は、誤飲やケガなどを起こす危険も高いでしょう。ペット保険に加入していれば、突発的な手術や治療で高額な医療費が発生しても安心です。

この記事ではペット保険に入るべき人、不要な人やペット保険がいくらかかるのかを解説します。また、どのようなポイントで保険を選べばいいのか、注意点やポイントについても紹介するのでぜひ最後までご覧ください。

犬のペット保険ってどんなもの?

犬のペット保険とは、損害保険会社または少額短期保険業者が販売しているペットの医療費を補償する保険のことです。月払または年払の一括で契約時に定めた保険料を支払うことで、犬が動物病院で治療を受けたときに、治療費の一部またはすべてを保険料として受け取れます。

犬は人間のような健康保険制度がなく治療費は非常に高額で、なかには支払いができずに治療を諦めてしまう飼い主さんもいるほどです。そのため、犬の病気やケガによる高額な医療費に備える手段として、ペット保険の加入者は年々増加傾向にあります。

犬のペット保険の概要は以下の通りです。

  • 犬のペット保険は入院・通院・手術を補償
  • 犬のペット保険は補償対象外になるものがある

ペット保険について、さらに詳しく見ていきましょう。

犬のペット保険は入院・通院・手術を補償するもの

犬のペット保険の主な補償対象は以下の3つです。

  • 通院
  • 入院
  • 手術

補償対象は保険のプランによって異なります。「通院・入院・手術」のすべてを補償するものから、治療費が高額になる「手術のみ」を補償するものまでさまざまです。

犬のペット保険で補償対象外になるもの

犬のペット保険は、医療費のすべてが補償対象になるわけではありません。補償対象外になる項目が定められており、内容は保険会社やプランによって異なります。犬のペット保険で補償対象外になる主な項目は以下の通りです。

  • 先天性疾患
  • 加入前から治療している傷病
  • 不妊・去勢手術
  • ワクチン接種費用
  • フィラリア等の予防薬
  • ワクチン接種で予防できる病気
  • 予防を目的とした健康診断
  • 爪切り・耳掃除・歯石除去
  • サプリメント

このほかにも歯科治療やヘルニア、膝蓋骨脱臼(パテラ)といった犬がかかりやすい病気であっても、補償対象外になっている保険もあるため確認が必要です。

そもそも犬のペット保険は入るべき?

愛犬の病気やケガに備えたほうがよいと思っても、毎月の保険料の負担を考えると保険加入に慎重になってしまうものです。実際に他の飼い主さんは、どうしているのでしょうか。ここでは犬のペット保険に入っている割合、入るべき理由について紹介します。

みんなはどうしてる? ペット保険に入っている割合

犬のペット保険に入っている割合は2割以下です。アニコム損害保険株式会社「ペット保険の市場規模と普及率」によると、犬のペット保険に加入している割合は16%でした。

ただし、現在のペット保険の普及率は低いものの、加入者数は年々増加傾向にあります。2001年のペット保険に加入している割合は7.7%でしたが、わずか5年で2倍以上も増加しているのです。

ペット保険に加入している飼い主さんからは「安心して治療に専念できた」「治療費を気にせず安心して病院に行ける」といった、ペット保険に対するポジティブな声が目立ちます。

一方で「犬がほとんどケガや病気をしない」という理由から、ペット保険に加入しない方も少なくありません。また、「犬が高齢で加入できない」「すでに病気やケガの疾患があって補償の対象にならない」などの理由で、加入を諦める飼い主さんがいるのも事実です。

ペット保険に入るべきといわれる3つの理由

ペット保険に入るべきといわれる主な理由は以下の3つです。

  • 動物病院での治療は全額負担になる
  • 犬の寿命が延び医療費も高額になっている
  • 病気やケガの高額な治療費の支払いに備えられる

それぞれの理由について詳しく紹介します。

動物病院での治療は全額負担になる

犬が動物病院で病気やケガの治療をうけると全額自己負担になります。人間の病気やケガの治療は1〜3割の自己負担で済みますが、犬の場合は全額が自己負担になってしまうため、ちょっとした病気やケガであっても治療費は高額です。

例えば犬のケガで多く見られる骨折の手術代は30万円ほどになります。場合によっては100万円を越えることもあるようです。このような突然のケガによる高額な治療費もペット保険に加入していれば、補償内容に応じて一部をまかなえます。

犬の寿命が延び医療費も高額になっている

犬の平均寿命は13~15歳とされており、その寿命は年々伸び続けています。犬の高齢化にともない、人間と同じようにガンといったこれまで多くは見られなかった病気にかかり、長い闘病生活を余儀なくされる犬は少なくありません。

このように犬の年齢が高齢になればなるほど、病院へ行く機会は増え、高度な医療が求められることから医療費も高額になってきます。

1歳時点では平均2万円前後だった年間医療費が、10歳を超えると10万円を超え、14歳になると15万円前後にまで上がることがわかっているのです。今後ますます犬の寿命は延び、医療費の更なる高額化も考えられるでしょう。

病気やケガの高額な治療費の支払いに備えられる

ペット保険の加入は、年々高騰している愛犬の治療費の備えになります。犬の治療も人間と同様に、皮膚科や眼科、歯科など専門性に特化した高度医療が受けられるように進化しました。高度な治療が受けられる一方で、治療費は高額になる傾向にあります。

また、動物病院の治療は自由診療なので、病院によっては同じ治療でも倍以上の治療費がかかってしまうことも少なくありません。「愛犬にできるだけよい治療を受けさせたい」と考えるのであれば、ペット保険に加入して備えたほうがいいでしょう。

ペット保険に入るべき人・不要な人

ペット保険に入るべきなのか確証が持てずに迷っている方も多いでしょう。ここではペット保険に入るべき人・不要な人の特徴について紹介します。ペット保険に加入するべきかを判断する参考にしてみてください。

ペット保険に入るべき人の特徴

ペット保険に入るべき人の特徴は以下の通りです。

  • 治療の選択肢を増やしたい人
  • 突然のケガや病気の出費に不安がある人
  • ペット保険の特約やサービスを利用したい人

このような飼い主さんは、ペット保険に入れば愛犬との生活を安心して過ごせるでしょう。ペット保険はもしものときの備えとして心強い味方です。ペット保険の補償があれば、治療費を心配することなく愛犬にとって最善の治療を選択できるでしょう。

ペット保険がいらない人の特徴

ペット保険がいらない人の特徴は、犬の治療費を貯蓄でまかなえる人です。突然発生する犬の高額な治療費50万〜150万円を迷うことなく出せる余裕のある人は、ペット保険に加入する必要はないでしょう。

犬のペット保険に入る4つのメリット

犬のペット保険に入る主なメリットは以下の4つです。

  • 医療費の負担が軽くなる
  • 費用を気にせず治療方法を選べる
  • 賠償責任特約に加入できる
  • 保険会社独自のサービスが利用できる

それぞれを詳しく解説していきます。

メリット①医療費の負担が軽くなる

犬のペット保険で得られる最大のメリットは、医療費の負担が軽くなることです。全額自己負担になる犬の医療費は高額になります。場合によっては家計に大きな負担になることもあるでしょう。ペット保険に加入すれば、飼い主さんの負担は軽くなるのです。

メリット②費用を気にせず治療方法を選べる

犬のペット保険があれば、費用を気にせず愛犬に一番よい治療方法を選べます。「費用があまりにも高額で、愛犬にとってベストな治療方法を選択できなかった」と悔やむ飼い主さんもいるほど、犬の医療費は高額です。

費用を気にせずに高度な治療方法を選択できるのは、ペット保険のメリットといえるでしょう。

メリット③賠償責任特約に加入できる

犬のペット保険はオプションで、さまざまな特約をつけられます。なかでも人気の特約は「賠償責任特約」です。「賠償責任特約」とは、愛犬が他人の体や物を傷つけたり壊したりした際に発生する賠償金を、補償するサービスのことです。

例えば以下のようなケースでは、賠償金が発生する可能性があります。

  • 愛犬が散歩中に他人を噛んでケガをさせてしまった。
  • 愛犬が他の犬と遊んでいてケガをさせてしまった。
  • 愛犬が他人の車にひっかき傷をつけてしまった

「賠償責任特約」は月々の支払が30〜200円と安価なのにもかかわらず、補償金額は300万〜1,000万円と手厚い補償が受けられます。

自動車保険や火災保険などで個人賠償責任特約を付帯していない方には、おすすめの特約です。「賠償責任特約」を重視するのであれば、示談交渉サービスのある保険会社を選択しましょう。

メリット④保険会社独自のサービスが利用できる

ペット保険に加入すると、保険会社独自のサービスが利用できます。

  • 獣医師に24時間365日、電話やLINEで相談できる
  • 犬のしつけなどについて、トレーナーに電話で相談できる
  • 愛犬が迷子になった場合は無料で捜索してくれる

24時間いつでも獣医師に相談ができると、愛犬が夜中に体調を崩したときに心強いです。サービス内容は保険会社によって異なるため、事前に確認しましょう。

犬のペット保険料|月々の平均は3,900円

犬のペット保険の加入を検討する際に、みんながいくら払っているのか、どのくらいが妥当なのか気になりますよね。ここでは保険料の相場と保険料が変わる理由を解説します。

  • 犬のペット保険料の相場は月額3,900円
  • 犬のペット保険料は犬種や年齢で変わる
  • 犬のペット保険料は補償の範囲や割合で変わる

犬のペット保険料について詳しくみていきましょう。

犬のペット保険料の相場は月額3,900円

犬のペット保険料の相場は、1ヵ月あたり約3,900円です。アニコム損害保険株式会社「【2021最新版】ペットにかける年間支出調査」によると、1年間に支払っている犬の保険料は年間平均46,187円でした。これを1ヵ月あたりに換算すると、平均額は約3,901円です。

これはあくまでアニコム損害保険株式会社「どうぶつ健保」の契約者の平均であり、保険会社によって金額は異なります。

大切なのは飼い主さんが継続できる保険料で、必要性に合わせたプランに加入することです。犬のペット保険に加入する際は、保険料以外にも補償内容や契約条件などを含め検討しましょう。

犬のペット保険料は犬種や年齢で変わる

犬のペット保険料は、犬種や年齢、犬のサイズ(体重)などによって変わります。保険料は2歳まで大きく上がることはありませんが、3歳以降はじわじわと上がり、8歳のシニア期に入ると、当初の2倍ほどの保険料になる場合もあります。

年齢による保険料の変化は保険会社によっても異なるため、シニア期の保険料についても確認しなくてはなりません。

また小型犬に比べ大型犬は、保険料が高額です。ただし同じ小型犬であっても、犬種によって保険料が異なることもあります。

犬のペット保険料は補償の範囲や割合で変わる

犬のペット保険料は補償の範囲や割合によって変わります。「通院・入院・手術」のすべてを補償するプランは保険料が高く、「通院のみ」や「手術のみ」といった限定的な補償プランは、保険料を抑えられる点が特徴です。

補償範囲の割合は、50%・70%・80%・100%があり、もっとも多く取り扱われているのは、50%または70%を補償するプランです。例えば10万円の医療費に対し50%補償であれば5万円、70%補償であれば7万円の補償が受けられます。

このように補償割合が高くなれば多くの補償を受けられますが、毎月支払う保険料も高額です。また保険によっては支払限度額などが定められているため、確認するべきでしょう。補償の割合が高くても限度額を超えた分は受け取れず、自己負担になってしまうからです。

補償割合に対する保険料や支払限度額については、保険会社によって異なるため、パンフレットや約款をよく確認し検討しましょう。

どんな犬の保険に入るべき?選ぶ3つのポイント

「ペット保険の種類が多すぎて選べない」とお困りの飼い主さんは多いでしょう。ここではどんな犬の保険に入るべきか、選ぶときのポイントについて説明します。ペット保険を選ぶときにチェックするポイントは以下の3つです。

  • ペット保険に加入する目的を決める
  • 補償の割合と範囲を決める
  • 免責金額があるかないかを決める

それぞれのポイントについて詳しくチェックしましょう。

ペット保険に加入する目的を決める

犬のペット保険に加入する前に、目的を明確にしましょう。犬のペット保険は愛犬の特性や必要性に合わせたプランに加入するもので、最適な保険は飼い主さんの判断によって変わります。

  • 日々の通院にかかる低額の治療費から保険を利用したい
  • 少額の治療費は自己負担で構わないから高額な手術の出費だけ抑えたい
  • 通院・入院・手術のすべてにおいて手厚補償がほしい

このように加入する目的を明確にすれば、保険プランを選びやすくなります。少額の治療費から保険を利用したい方であれば、免責金額や利用回数制限のない保険が好ましいでしょう。

また犬種によってかかりやすい病気もあります。トイプードルは膝蓋骨脱臼(パテラ)にかかりやすい犬種です。パテラの手術は20万〜25万円が手術費用の相場です。

1回の手術費用の限度額や、そもそも膝蓋骨脱臼(パテラ)が補償対象になっているか確認が必要になります。このように愛犬の犬種の特性から考えられる将来的なものも含めて、目的を明確にしましょう。

補償の割合と範囲を決める

ペット保険に加入する際は、補償の割合と範囲を決めましょう。ペット保険の補償割合とは、治療費のうち何割を保険会社が補償するかを定めたもので、50〜100%のなかから選べます。

人間の健康保険制度のように3割負担になる70%が手厚い補償と安心感を求める飼い主さんに指示されています。補償割合50%は保険料が高額になるシニア期を想定し、費用を抑えてペット保険に加入したい飼い主さんにおすすめといえるでしょう。

また犬のペット保険には「通院・入院・手術」すべてを補償するものから「入院のみ」や「通院のみ」といった、限定的な補償になるものまでさまざまです。

補償の範囲が広ければ、月々の支払は高額になるため、補償割合と範囲、保険料のバランスを見て、長く続けられる保険を選ぶ必要があります。

免責金額があるかないかを決める

ペット保険によっては、免責金額の規定があります。免責金額とは、治療費のうち保険の補償対象外になる金額のことです。例えば補償割合70%で「1日あたりの免責金額が7,000円」の保険プランの場合、受け取れる保険金は以下のようになります。

治療費 免責金額 補償対象になる治療費 補償割合 保険金額
7,000円 7,000円 0円 0円
17,000円 7,000円 10,000円 70%  7,000円
17,000円 7,000円 17,000円 70% 11,900円

このように免責金額を超えた治療費については、免責金額を差し引かずに計算する場合もあります。計算方法は保険会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

免責金額が定められているペット保険は、受け取れる保険料は少なくなりますが、月々の支払いを抑えられるメリットがあります。メリットとデメリットをふまえた上で検討しましょう。

犬のペット保険に入る際の注意点

犬のペット保険に入る際の注意点は以下の3つです。

  • ペット保険は加入に年齢制限がある
  • 更新の審査があるか確認する
  • 愛犬のかかりやすい病気が対象か確認する

それぞれの注意点について詳しく解説します。

ペット保険は加入に年齢制限がある

犬のペット保険の新規加入には、ほとんどの保険において犬の年齢制限があります。新規加入の年齢制限は、7歳11ヵ月〜12歳以下に定められているペット保険が多く、犬の医療費が高額になる8歳以上になってからでは、加入が難しくなってしまうのです。

年齢制限が設けられていない保険もありますが、犬が健康体でなければ加入できません。すでに持病があっても加入できるケースもありますが、持病については補償の対象外になってしまいます。

犬がシニア期になってからのことを考え、早めにペット保険に加入した方が安心できるでしょう。

更新の審査があるか確認する

ペット保険に加入する際は「更新の審査」があるのかを、事前に確認しましょう。基本的に犬のペット保険は1年契約で、保険の継続を希望するのであれば更新手続きが必要です。

更新する際、保険会社によっては「更新の審査」が行われ、結果によっては保険を継続できない場合があります。ペット保険の契約更新は以下の3通りです。

  • 「更新の審査」はなく終身で継続できる
  • 「更新の審査」によっては更新できない、または補償内容や契約条件の変更がある
  • 「更新の審査」によっては更新できない

慢性疾患にかかった場合や補償の限度額に達した場合は、契約更新ができない、または条件付きで更新可能になることもあります。ペット保険に加入する際は「更新の審査」の有無や、犬が慢性疾患にかかった際の対応についても確認しましょう。

愛犬のかかりやすい病気が対象か確認する

愛犬が将来的に、発症しやすい病気が補償の対象になっているか確認しましょう。ペット保険は、すべての病気が対象になるわけではありません。保険会社によって補償対象になる病気は異なります。

例えば犬がかかりやすい病気やケガに、膝蓋骨脱臼(パテラ)や椎間板ヘルニア、歯周病などの歯科治療が挙げられますが、これらの病気を補償対象外にする保険会社は少なくありません。

せっかくペット保険に加入していたのに「病気になってから補償対象外だとわかった」と驚く飼い主さんもいるほどです。ペット保険に加入する際は、愛犬がかかりやすい病気や犬がよくかかる病気は補償対象になっているか確認しましょう。

犬のペット保険は入るべきかを十分に検討して決めよう

今回はペット保険についてメリットや選び方、注意点などについて解説しました。犬の保険は、高額な医療費の負担を軽減するなど、飼い主さんにとって多くのメリットがあります。

しかし一方で、保険会社によって補償内容や保険料が異なるため、プランの選択が難しいといったデメリットがあるのも事実です。愛犬が将来、病気やケガをするのか、どのような治療が必要になるのかは誰にもわかりません。

最低限どの程度、補償があればよいのか、いくらなら保険料を払い続けられるのかなど、あらゆる視点から包括的に判断してペット保険に入るべきか検討しましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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