フレンチブルドッグは飼いやすい? 性格や育て方のコツ・注意すべき病気

「フレンチ・ブルドッグって飼いやすい?飼うコツは?」
「フレンチ・ブルドッグはどんな性格?」
「フレンチ・ブルドッグがなりやすい病気は?」

フレンチ・ブルドッグを飼いたいと検討している方で、このような疑問をお持ちではないでしょうか。フレンチ・ブルドッグは「フレブル」や「ブヒ」の愛称で知られ、日本でも人気の犬種のひとつです。

性格は穏やかで愛嬌たっぷり。神経質な面も少なく無駄吠えもほとんどありません。また小さなお子さんとも仲良く暮らせる犬種として知られています。

今回はフレンチ・ブルドッグの特徴や飼い方のコツ、注意するべき病気について紹介します。迎える方法や費用についてもお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。

フレンチ・ブルドッグとはどんな犬?

フレンチ・ブルドッグとは、どんな犬種なのか迎える前に、基本的な情報を確認しておきましょう。ここでは以下について詳しく紹介します。

  • フレンチ・ブルドッグの特徴
  • フレンチ・ブルドッグの歴史と原産国
  • フレンチ・ブルドッグの性格
  • フレンチ・ブルドッグの毛色の種類

フレンチ・ブルドッグの特徴

フレンチ・ブルドッグは、ピンっと真っ直ぐ立ったコウモリ耳に大きな黒い目、シワシワの顔にクシャッと潰れた低い鼻が特徴です。コンパクトな身体に手入れのしやすい、なめらかな被毛。無駄吠えも少なく、都心部でも飼いやすい犬として人気を集めています。

とくに近年アメリカでは、フレンチ・ブルドッグの人気が急上昇。アメリカケンネルクラブの発表する「人気のある犬種ランキング」において2022年には、1位の座を獲得しました。1991年以来、首位の座を守っていたラブラドール・レトリバーを抜く快挙です。

日本でも、ジャパンケネルクラブの発表する「犬種別犬種登録頭数」において2006年から18年間にわたり10位以内にランクインしています。

フレンチ・ブルドッグの歴史と原産国

フレンチ・ブルドッグの起源については諸説ありますが、18世紀中ごろにフランスへ移住したイギリス人が、小型のブルドッグであるトイ・ブルドッグを持ち込み、テリアやパグなどと交配し作られたという説が有力です。

フレンチ・ブルドッグは、他の犬にはない愛らしい風貌からフランスの上流階級や芸術界でも人気を博しました。その後、旅行中のアメリカ人の目に留まり、数頭のフレンチ・ブルドッグがアメリカに持ち込まれ、熱心な愛好家によって繁殖されたのです。

日本には大正初期に輸入され、昭和初期には多くのフレンチ・ブルドッグが飼育されましたが、その後飼育頭数は減少。2000年代に入り徐々に人気が回復し、現在は人気の犬種のひとつとなっています。

フレンチ・ブルドッグの性格

フレンチ・ブルドッグは、遊び好きで明るくフレンドリーな性格です。また愛情深く家族愛にもあふれているので、小さなお子さんのいるご家庭でも飼育しやすいでしょう。

家族愛の強いフレンチ・ブルドッグは、飼い主さんと遊んだり、くっついたりするなど人と一緒に過ごすことを好みます。甘えん坊で寂しがり屋な一面もあることから、長時間のお留守番は苦手です。

また温厚な性格で攻撃性はなく、無駄吠えもほとんどありません。ただスイッチが入ると突然興奮することもあるため、基本的なしつけは必要です。

フレンチ・ブルドッグの毛色の種類

フレンチブルドックの毛色は、「ブリンドル」「フォーン」「パイド」「クリーム」の4種類に分類されます。

それぞれの毛色は、薄い色から濃い色まで濃淡があり、縞の褐色が濃く入った「タイガーブリンドル」や胸元に白色が入った「エプロン」。左右どちらかに斑が入った「片パンチ」と呼ばれるものなど、バリエーションは非常に豊富です。

もっとも多く市場に流通している毛色はブリンドルで、フレンチ・ブルドッグのスタンダードカラーとされています。

ほかにも「ブルーマール」や「ブルーフォーン」といった、色素の薄いフレンチ・ブルドッグがレアカラーとして高額で販売されていますが、おすすめはできません。一般的に色素が濃ければ濃いほど、遺伝的な疾患が少ないとされているからです。

フレンチ・ブルドッグの大きさは?

犬を飼育するうえで、犬の大きさを重要視する方も多いはずです。集合住宅であれば、犬のサイズが飼育規則で定められていることも多いでしょう。ここではフレンチ・ブルドッグの大きさと平均寿命について紹介します。

  • フレンチ・ブルドッグの体重
  • フレンチ・ブルドッグの理想体型
  • フレンチブルドッグの寿命は1歳

それぞれ詳しく見ていきましょう。

フレンチ・ブルドッグの体重

フレンチ・ブルドッグの体重と体高は以下の通りです。

  • <男の子>体重:9~14kg 体高:27〜35cm
  • <女の子>体重:8~13kg 体高:24〜32cm

フレンチ・ブルドッグは、中型犬に分類される場合がほとんどです。ただし10kg未満の場合は、小型犬に分類される場合もあります。

フレンチ・ブルドッグの理想体型

これまでフレンチ・ブルドッグは、ずんぐりむっくりとした体型がよいとされていましたが、現在は体高と体重のバランスの取れた美しい体型がよいとされています。

足を含む身体全体がしっかりとした骨格を持ち、筋肉質で幅広のショートボディが好ましいでしょう。幅広の角ばった大きな頭に、丸みを帯びた大きな黒い目に黒い鼻。目・鼻・アイラインの黒色はしっかり黒くなければなりません。

フレンチ・ブルドッグは、ヨーロッパタイプとアメリカタイプの二つに分けられ、それぞれ特徴が異なります。

フレンチブルドックの平均寿命は11.1歳

アニコム「家庭どうぶつ白書2022」によると、フレンチ・ブルドッグの平均寿命は11.1歳です。この年齢は、犬の平均寿命である14.1歳を大きく下回っています。フレンチ・ブルドッグは他の犬種に比べ身体の弱い個体が多く、病気にかかることなく一生を終えることはないと言われるほどです。

身体的な特徴から皮膚や関節、呼吸系などさまざまな疾患を抱えやすく、またその多くが遺伝的な要因と言われています。しかし必ずしも、すべてのフレンチ・ブルドッグが短命なわけではありません。

飼い主さんがフレンチ・ブルドッグのかかりやすい病気の知識を身につけ、健康管理や食事管理で日ごろから丁寧なケアを心掛ければ、病気を予防し長く一緒に過ごせるでしょう。

フレンチ ブルドッグがかかりやすい病気

フレンチ ブルドッグがかかりやすい病気は以下の通りです。

  • 短頭種気道症候群
  • 潰瘍性角膜炎
  • 椎間板ヘルニア
  • 皮膚炎
  • 熱中症

それぞれの病気について詳しく見ていきましょう。

短頭種気道症候群

フレンチ・ブルドッグがかかりやすい病気に「短頭種気道症候群」が挙げられます。短頭種気道症候群とは、短頭種特有の頭の形が原因で起こる、気道にあらわれる障害の総称です。

短頭種とは、フレンチ・ブルドッグやパグ、ボストンテリアなど鼻の短い犬種のことを指します。短頭種の犬は生まれつき鼻の穴や気道が狭く、空気が通りにくい状態です。そのため気温の上昇やちょっとした運動で、気道に大きな負担がかかります。

具体的な疾患は以下の通りです。

  • 狭窄性外鼻孔
  • 軟口蓋過長症
  • 喉頭室外反
  • 気管虚脱
  • 喉頭虚脱

単独で発症することもあれば、複数同時に発症することもあります。いびきをかいたり「ガーガー」「ブーブー」と音を立てる呼吸音がする場合は、注意しなくてはいけません。

短頭種気道症候群は慢性化し、時間の経過とともに悪化します。そのため早期発見・早期治療が大切です。

チェリーアイ

フレンチ ブルドッグがかかりやすい病気に「チェリーアイ」と呼ばれる目の病気が挙げられます。チェリーアイとは、目頭の内側にある第三眼瞼腺が外に飛び出して、赤く腫れた状態になることです。

赤いさくらんぼが目についているように見えることから、チェリーアイと呼ばれるようになりました。若いうちに発症することが多く、片方の目に発症すると、もう一方の目にも発症する場合がほとんどです。

チェリーアイの原因は、先天的なもので予防する方法はありません。また自然に治癒することはなく、放置すると角膜炎など他の疾患を引き起こすこともあるため、早めの治療が必要です。

椎間板ヘルニア

フレンチ・ブルドッグは「椎間板ヘルニア」にかかりやすい犬種です。犬の椎間板ヘルニアは「軟骨異栄養犬種」に該当する犬が遺伝的に発症しやすいとされ、フレンチ・ブルドッグやビーグル、コーギーなどが該当します。

椎間板ヘルニアは、ある日突然発症し、強い痛みやしびれを伴います。「散歩に行きたがらなくなった」「抱っこを嫌がるようになった」などの変化が見られたら、注意が必要です。症状が進行すると最悪の場合は、歩けなくなってしまうこともあります。

椎間板ヘルニアは、予防と早期治療が大切です。身体に負担のかかる過度な運動は避け、肥満に気をつけるなど日常生活での配慮が求められます。

皮膚炎

フレンチ・ブルドッグは、皮膚の弱い犬種として知られています。バリア機能が弱く、敏感で皮脂が出やすい皮膚を持つフレンチ・ブルドッグは、さまざまな皮膚トラブルを引き起こしてしまうのです。

また顔のシワには皮脂が溜まりやすく、細菌が繁殖することも少なくありません。日ごろから皮膚を清潔に保つように、飼い主さんの丁寧なケアが求められます。フレンチ・ブルドッグがかかりやすい、おもな皮膚病は以下の通りです。

  • 膿皮症
  • 犬アトピー性皮膚炎
  • アレルギー性皮膚炎
  • 心因性脱毛症
  • マラセチア性皮膚炎

熱中症

フレンチ・ブルドッグは、熱中症になりやすい犬種です。もともと犬は人間に比べ、体温調整が得意ではありません。犬は人間のように、全身に汗をかけないからです。

犬はハァハァと激しく息をすることで体温を下げていますが、フレンチ・ブルドッグのように鼻の穴や気道が狭い犬種はうまく体温を下げられません。

そのため他の犬種に比べ暑さに弱く、熱中症にもなりやすいのです。気温や湿度の高い梅雨時期や夏場は、注意しなければならないでしょう。

フレンチ・ブルドッグの飼いやすさは?飼い方のコツ

フレンチ・ブルドッグは、しつけや飼育面では飼いやすい犬種ですが、病気を予防するための配慮は求められます。ここでは、以下のフレンチ・ブルドッグの飼い方のコツについて見ていきましょう。

  • 暑さに気をつける
  • 食事管理で肥満を予防する
  • 適切な運動を心掛ける
  • 皮膚を清潔に保つ
  • 毎日のブラッシングを欠かさない

暑さに気をつける

フレンチ・ブルドッグを飼育する上で、暑さ対策は欠かせません。フレンチ・ブルドッグは暑さに弱く、最悪の場合、命にかかわることもあるからです。

梅雨時期や夏場は外出を控え、24時間の室温管理は欠かせません。室温23〜25℃・湿度50%前後を24時間、保ってください。また冬場であっても「室温は適切か」「呼吸は荒くなっていないか」など、常に配慮する必要があります。

夏場に外出する際は、保冷剤やタオルを持ち歩き緊急時に備えるようにしましょう。

食事管理で肥満を予防する

フレンチ・ブルドッグを飼育するうえで、食事管理は欠かせません。食べることが大好きなフレンチ・ブルドッグは、太りやすい傾向にあります。ちょっとぽっちゃりしている方がかわいく見えるものですが肥満は大敵です。

肥満は熱中症や椎間板ヘルニア、呼吸系の病気など、さまざまな病気のリスクが高まるからです。常に適正体重を維持できるように、低カロリーフードを与えおやつは控えるなど食事管理を徹底しましょう。

適切な運動を心掛ける

好奇心旺盛で遊び好きなフレンチ・ブルドッグは、お散歩やドッグランが大好き。また突然スイッチが入ったかのように、猛ダッシュすることも少なくありません。運動はストレス発散や健康を維持する上で欠かせませんが、過度な運動は身体に大きな負担がかかります。

季節や年齢に合わせ、散歩は1日2回、1回15〜30分程度にとどめましょう。またジャンプやダッシュを何度も繰り返すといった、身体に負担がかかる運動は控えてください。

皮膚を清潔に保つ

フレンチ・ブルドッグは皮膚がとても繊細で、さまざまな皮膚トラブルを抱えやすい犬種です。顔のシワは汚れや皮脂が溜まりやすく、皮膚トラブルの原因になるため、濡れたタオルで拭き取り清潔な状態を保ちましょう。

また、季節や年齢に合わせ、2週間〜2ヵ月に1回はシャンプーで洗ってください。その際、すすぎ残しがないように気をつけ、ドライヤーでしっかり乾かしましょう。すすぎ残しや生乾きは、皮膚トラブルの原因になります。

毎日のブラッシングを欠かさない

フレンチ・ブルドッグは、短毛でカットの必要はありませんが、毎日のブラッシングは欠かせません。ダブルコートの被毛は抜け毛が多く、取り除く必要があるからです。

またブラッシングには血行をよくし、皮膚や被毛に着いた汚れを落とす効果もあります。毎日5分程度、ラバーブラシでブラッシングしましょう。

フレンチ・ブルドッグの迎え方

フレンチ・ブルドッグを迎える、おもな方法は次の2つです

  • ペットショップから迎える
  • ブリーダーから迎える

ペットショップとブリーダーでは、それぞれ特徴が異なります。違いをよく理解し、自身に適した方法を選びましょう。

ペットショップから迎える

フレンチ・ブルドッグを迎える方法として、もっとも一般的な場所はペットショップです。店舗が多く気軽に見学でき、同時に多くの子犬を見比べられます。どの毛色のフレンチ・ブルドッグにするか迷っている場合に適しているでしょう。

また欲しい時に気に入った子犬をすぐに迎えられる、といったメリットも挙げられます。ただしフレンチ・ブルドッグは、他の犬種に比べ遺伝的な疾患の多い犬種です。

ペットショップから迎える場合は、子犬の両親や祖父母の健康状態・毛色の情報、遺伝子検査の結果など詳しく説明を受けたうえで購入を検討しましょう。

ブリーダーから迎える

次に挙げられるのは、ブリーダーからフレンチ・ブルドッグを迎える方法です。ブリーダーはペットショップのように、常にあらゆる毛色の子犬が揃っているわけではありません。

ただしフレンチ・ブルドッグにこだわってブリーディングしているブリーダーであれば、犬種について高い専門性を持ち合わせているため、さまざまな相談に乗ってもらえます。また犬舎を見学すれば、子犬の両親の健康状態を確認できる点も魅力です。

遺伝的な疾患の多いフレンチ・ブルドッグであっても、安心して迎えられる方法といえるでしょう。

フレンチブルドックにかかる費用は?

犬を購入し飼育するためには、多くの費用がかかります。フレンチ・ブルドッグを迎える前に、購入や飼育の費用がいくら必要なのか確認しておくことが大切です。ここではフレンチ・ブルドッグの相場や初期費用、年間にかかる飼育費用について紹介します。

フレンチ・ブルドッグの値段の相場

現在のフレンチ・ブルドッグの相場は30〜60万円ほどです。フレンチ・ブルドッグの価格は、性別や被毛のカラー、年齢によって異なります。

性別では男の子に比べ女の子のほうが高く、人気カラーのクリームは他のカラーに比べ高額です。年齢は生後2〜3ヵ月の子犬がもっとも高く、なかには100万円を超える子犬もいるほどです。

またブルーマールやブルーフォーンのようなレアカラーは、他の被毛の色に比べ高額で取引されています。

フレンチ・ブルドッグを迎えるときにかかる初期費用

フレンチ・ブルドッグを迎えるためには、多くの初期費用がかかります。犬と暮らすためには、さまざまなグッズが必要になるからです。また混合ワクチンや狂犬病ワクチン、蓄犬登録費用も発生します。

フレンチ・ブルドッグを迎えるときにかかる初期費用を以下の表にまとめました。

項目 費用目安
事前に準備するグッズ
(サークル、クレート、リード、ハーネス、食器、トイレトレーなど)
30,000円
混合ワクチン 22,500円(7,500円×3回)
狂犬病ワクチン 3,500円
健康診断 5,000円
蓄犬登録費用 3,000円
合計 64,000円

あくまでも目安の価格ですが、参考にしてください。

フレンチ・ブルドッグの飼育にかかる年間費用

続いてフレンチ・ブルドッグの飼育にかかる年間費用について見ていきましょう。

項目 費用目安
フード・オヤツ 87,490円
シャンプー・お手入れ代 34,509円
ペット保険料 45,589円
ワクチンや予防薬など 30,896円
病院代 44,063円
ペットホテル・ペットシッター 5,133円
ドッグランなどのレジャー 13,469円
日用品 30,885円
飼育に伴う光熱費 14,661円
その他 2,099円
合計 308,794円

参考:アニコム「家庭どうぶつ白書2022」

以上はあくまでも、一般的な中型犬の飼育費用です。フレンチ・ブルドッグは、他の犬種に比べ病気にかかりやすい特徴があります。また若いうちから慢性的な病気を発症しやすい傾向です。

なかには毎月の病院にかかる費用が数万円に及ぶこともあります。フレンチ・ブルドッグの飼育には、ある程度の金銭的な負担がかかることを理解しておきましょう。

フレンチ・ブルドッグの特徴や飼育方法をよく理解してから迎えよう

今回はフレンチ・ブルドッグの特徴や飼育方法などについて、詳しくお伝えしてきました。フレンチ・ブルドッグは、明るくフレンドリーで無駄吠えもほとんどないことから飼いやすい犬種と言えるでしょう。

ただし、短頭種特有のかかりやすい病気があるため、健康管理は欠かせません。また常に室温を管理するなど、生活面でも配慮が求められます。フレンチ・ブルドッグを迎える前に環境を整え、知識を身につけることで予防できる病気やケガもあります。

この記事でお伝えした飼育方法やかかりやすい病気を参考にして、迎える準備を整えましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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