フレンチブルドッグの平均寿命は? 長生きのコツや注意が必要な病気を解説

「フレンチブルドッグの寿命は長い?平均寿命は?」
「フレンチブルドッグを長生きさせるコツは?」
「とくに気を付けるべきフレンチブルドッグの病気は?」

これからフレンチブルドッグを家族に迎えようと考えている方で、このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。フレンチブルドックは他の中型犬に比べ、寿命が短い犬種として有名です。

しかし、ここ数年、フレンチブルドックの寿命は延びてきたと言われています。この記事では、フレンチブルドックの寿命や長生きさせるコツについて紹介します。気をつけるべき病気についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

フレンチブルドックの平均寿命は何歳?最高齢は?

フレンチブルドッグを家族に迎えるなら、一日でも長く一緒に過ごしたいものです。短命と呼ばれるフレンチブルドッグですが、実際のところどのくらい一緒にいられるのでしょう。ここでは、フレンチブルドッグの平均寿命や最高齢について見ていきましょう。

  • フレンチブルドッグの平均寿命1歳
  • フレンチブルドックの平均寿命を人間年齢に換算
  • フレンチブルドックの最高齢は何歳?

それぞれ詳しく解説します。

フレンチブルドッグの平均寿命11.1歳

アニコム「家庭どうぶつ白書2022」によると、フレンチブルドッグの平均寿命は11.1歳。犬の平均寿命である14.1歳を、大きく下回る年齢です。

フレンチブルドッグは他の犬種に比べ身体が弱く、老化スピードも早いと言われています。ただし、この年齢はあくまで平均寿命であって、すべてのフレンチブルドッグが短命なわけではありません。

飼育環境や健康管理、遺伝的な要因などが寿命に大きな影響を与えるからです。フレンチブルドッグが長生きできるように飼育環境を整えて、病気の早期発見・早期治療ができるようにお世話をしましょう。

フレンチブルドックの平均寿命を人間年齢に換算

フレンチブルドックの平均寿命である11歳は、人間年齢に換算すると60歳です。フレンチブルドッグは生まれてから2年間ほどで成犬になり、その後は1年に4〜5歳ほどのスピードでゆるやかに成長します。

一般的な中型犬の年齢を、人間年齢に換算したものを以下の表にまとめました。ただし犬の成長スピードは、飼育環境や健康状態、体型などによって個体差があるため、あくまでも目安として参考にしてください。

フレンチブルドッグの年齢 人間の年齢に換算
1カ月 1歳
6カ月 9歳
1歳 15歳
2歳 24歳
3歳 28歳
4歳 32歳
5歳 36歳
6歳 40歳
7歳 44歳
8歳 48歳
9歳 52歳
10歳 56歳
11歳 60歳

フレンチブルドックの最高齢は何歳?

短命と言われるフレンチブルドッグですが、日本には18歳のフレンチブルドッグが存在し、書籍やネット上で紹介されています。他にも17歳のフレンチブルドッグが、数頭紹介されていました。

フレンチブルドッグは「10歳の壁」と言われるほど、10歳未満で亡くなってしまうことが少なくありません。しかし、ここ数年は、10歳の壁を超えるフレンチブルドッグが増えていると言われています。

フレンチブルドッグが特に気をつけたい病気やケガ

フレンチブルドッグが一日でも長く生きられるように、特に気をつけなければならない病気やケガについて把握しておきましょう。フレンチブルドッグがかかりやすい病気やケガを把握しておけば、日々の健康管理や病気の早期発見に役立ちます。

フレンチブルドックが特に気をつけたい病気やケガは以下のとおりです。

  • 短頭種気道症候
  • 熱中症
  • 外耳炎
  • 皮膚疾患
  • 脳腫瘍
  • 椎間板ヘルニア

それぞれの病気について詳しく紹介します。

短頭種気道症候群

フレンチブルドッグが特に気をつけたい病気に、短頭種気道症候群が挙げられます。短頭種気道症候群とは、短頭種の独特な気道の形が原因で起こる呼吸に関する病気の総称です。

短頭種気道症候群は先天的なもので、若齢のうちから始まり生涯にわたって進行します。具体的な疾患は以下のとおりです。

  • 狭窄性外鼻孔
  • 軟口蓋過長症
  • 喉頭室外反
  • 気管虚脱
  • 喉頭虚脱

短頭種気道症候群は、早期治療が大切です。完治はしませんが、早期のうちに手術することで症状を緩和させ、進行を遅らせられます。

熱中症

フレンチブルドッグが気をつけたい病気に、熱中症が挙げられます。熱中症とは、体内に熱が過剰に貯まることによって引き起こされる症状の総称です。フレンチブルドッグは他の犬種に比べ気道が狭く、呼吸がスムーズに行えません。

そのため体内に熱が貯まりやすく、症状が現れてから、あっという間に重症化し死に至ることもあるのです。以下のような症状が見られたら、応急処置をしつつ速やかに動物病院に行きましょう。

  • 呼吸が荒くなる
  • ガーガーと音を立てて呼吸する
  • 元気がなくなる
  • おう吐・下痢
  • 痙攣・失神

夏場は日中の外出を控え、室内は24時間エアコンで室温を調整しましょう。

外耳炎

フレンチブルドッグが気をつけたい病気に、外耳炎が挙げられます。外耳炎とは、耳のヒラヒラした部分から鼓膜までの耳の穴に起こる炎症のことです。

皮膚が敏感で皮脂の分泌量が多いフレンチブルドッグは、外耳炎を発症しやすいと言われています。以下のような症状が見られたら、動物病院を受診してください。

  • 耳をしきりに掻く
  • 頭を振る
  • 耳垢が増える
  • 耳から異臭がする

犬の外耳炎は慢性化しやすく、再発の多いやっかいな病気です。しっかりと治療し完治させましょう。また日ごろから耳の中をチェックし、汚れや赤み、異臭がないか確認してください。

ただし汚れているからといって、綿棒でこすったりしてはいけません。専用の洗浄液を使ってケアしましょう。

皮膚疾患

フレンチブルドッグは、皮膚疾患が多い犬種として知られています。フレンチブルドックの皮膚は、敏感で皮脂の分泌量が多いといった特徴を持つことから、さまざまな皮膚疾患を引き起こしてしまうのです。

顔のシワや抜け毛のあとの毛穴に、細菌や真菌などが増殖し皮膚炎を発症するケースも少なくありません。日ごろから皮膚を清潔な状態に保つように、丁寧なケアを心掛けましょう。フレンチブルドッグのかかりやすいおもな皮膚疾患は以下のとおりです。

  • 膿皮症
  • 犬アトピー性皮膚炎
  • アレルギー性皮膚炎
  • 心因性脱毛症

脳腫瘍

フレンチブルドッグのかかりやすい病気のひとつに、脳腫瘍が挙げられます。脳腫瘍の原因はハッキリわかっていませんが、一般的に高齢になると発症しやすい傾向にあると言われています。

ただしフレンチブルドッグの場合は、5〜6歳で発症するケースも少なくありません。脳腫瘍のおもな症状は以下のとおりです。

  • 歩くときにふらふらする
  • クルクル同じところを回る
  • 性格が変わる
  • 顔や体が傾く
  • けいれんやてんかん発作

このような症状が見られたら、速やかに神経科の専門医を受診してください。動物病院を受診する際は、発作が起こったときの様子を撮影し持参しましょう。診察がスムーズになるのでおすすめです。

椎間板ヘルニア

フレンチブルドッグを含む「軟骨異栄養犬種」という体質を持つ犬種は、先天的に椎間板ヘルニアを発症しやすいとされています。

椎間板ヘルニアの原因は、先天的なものと加齢によるものに分けられ、先天的な原因で起こる椎間板ヘルニアは、比較的若齢のうちに発症します。椎間板ヘルニアのおもな症状は次のとおりです。

  • フラフラ歩くようになる
  • 歩きたがらなくなる
  • 抱っこしたときにキャンと鳴いて痛みを訴える
  • 痛みやしびれ、麻痺により歩けなくなる

このような変化が見られたら、早めに動物病院を受診してください。

フレンチブルドッグを長生きさせるコツ

フレンチブルドッグは、身体が弱く病気やケガの多い犬種ですが、生活環境や健康管理、食生活などによって長生きできると言われています。ここではフレンチブルドッグを長生きさせる以下のコツを紹介します。

  • 定期的に健康診断を受ける
  • 肥満に気をつける
  • 温度管理を徹底する
  • 適切な運動を習慣にする
  • 毎日の健康チェックを欠かさないようにする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

定期的に健康診断を受ける

フレンチブルドッグを長生きさせるためには、定期的に健康診断を受けることが大切です。犬は人間のように、言葉で痛みや不調を伝えられません。

また犬は本能的に痛みを隠す傾向があるため、飼い主さんが異変に気がついたときには、かなり病状が進行していることも少なくないのです。定期的に健康診断を受けていれば、病気の早期発見・早期治療につながります。

健康診断は、1年に1回を目安に受けるようにしてください。シニア期に入る7歳以降は年に2回の健康診断が好ましいでしょう。

肥満に気をつける

フレンチブルドッグを長生きさせるためには、肥満に気を付けなければいけません。食べることが大好きなフレンチブルドッグは、太りやすい傾向にあります。

愛犬がかわいいからと言ってオヤツをあげすぎると、あっという間にぽっちゃりしてしまうことも。肥満は椎間板ヘルニアや熱中症、呼吸器系など、さまざまな病気のリスクが高まります。

愛犬の年齢ステージや体の大きさに合わせて、1日に必要な摂取カロリーを計算し、適切な食事を与えましょう。

温度管理を徹底する

フレンチブルドッグを長生きさせるためには、徹底した温度管理が欠かせません。気道が狭いフレンチブルドッグは、他の犬種に比べ熱が貯まりやすく体温を下げることが苦手です。

そのため短時間であっても高温多湿の場所にいると、熱中症を発症し、あっという間に命を落としてしまうことも少なくありません。また暑さでハァハァと呼吸が荒くなると気道に負担がかかり、短頭種気道症候の症状を悪化させてしまいます。

室内の温度は23〜25℃を保つようにしてください。また温度だけではなく湿度管理も欠かせません。常に50%前後を保つようにしましょう。

適切な運動を習慣にする

フレンチブルドッグを長生きさせるためには、運動習慣が欠かせません。人間と同様に犬も運動習慣を持つことで、健康寿命をのばせると言われています。若いうちから適切な運動で筋力をつけておけば、シニア期の寝たきり予防にもなるでしょう。

また筋力をつけることで関節や背骨にかかる負担を減らし、椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼などの悪化を防げます。ただし過度な運動は、身体に大きな負担がかかります。

ジャンプやダッシュ、段差から飛び降りるといった行為は控えさせてください。季節や愛犬の体調に合わせ、1日2回15〜30分を目安に散歩に行きましょう。

毎日の健康チェックを欠かさないようにする

フレンチブルドッグを長生きさせるためには、飼い主さんの毎日の健康チェックが大切です。健康チェックを習慣化して、病気の早期発見に努めましょう。おもなチェック項目についてお伝えします。

  • 目ヤニや涙の量は増えていないか?
  • 充血や濁りはないか?
  • 潤いのある澄んだ瞳になっているか?
  • 目のふちに出来物はないか?

  • 適度な潤いを保てているか?
  • 出血や傷はないか?
  • シワに汚れや炎症はないか?
  • 呼吸が荒くなっていないか?
  • 息を吸うときにガーガー音を立てていないか?

  • ヨダレは増えていないか?
  • 口臭はないか?
  • 歯茎は健康的なピンク色か?
  • 舌の色が紫色や白っぽくなっていないか?

  • 耳垢は増えていないか?
  • 異臭はないか?
  • 赤みや湿疹はないか?

皮膚

  • 被毛がパサついて乾燥していないか?
  • 皮膚に赤みや湿疹はないか?
  • フケは出ていないか?
  • 脱毛はないか?

身体

  • 肛門に出血や腫れはないか?
  • 身体全体を触り、不自然な腫れや浮腫みはないか?

フレンチブルドッグのシニア期について

フレンチブルドッグは、7歳頃からシニア期に入ると言われています。人間と同様に犬も加齢とともに身体機能が衰えるなど、さまざまな変化があらわれます。

愛犬の変化を読みとり、年齢ステージにあったケアを心掛けてください。フレンチブルドッグに見られる老化のサインについて見ていきましょう。

5つの老化サイン

フレンチブルドッグに見られる5つの老化サインは以下のとおりです。

  • 目ヤニが増える
  • 口臭がキツくなる
  • 呼吸を苦しそうにする
  • 階段の上り下りが辛そう
  • 散歩に行きたがらない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

目ヤニが増える

シニア期に入ると体内の水分量が少なくなり、それによって目ヤニが増える場合もあります。少量で白っぽい色や透明の目ヤニの場合は、問題ないでしょう。ただし以下のよう目ヤニが出た場合は、注意が必要です。

  • 黄色や緑色の目ヤニ
  • 目に充血が見られる
  • 目が開けられないほどの大量の目ヤニ

このような症状の場合は、角膜炎や結膜炎、白内障などの病気にかかっている可能性があります。速やかに動物病院を受診しましょう。

口臭がキツくなる

シニア期に入ると水分摂取量や基礎代謝の低下から唾液の分泌量が減り、歯周病や歯石といったお口の健康に問題が生じてきます。

その結果、若いころにはなかった口臭が出てくることも。歯周病は放置すると、歯が抜け落ちたり歯茎が溶けたりする怖い病気です。こまめな水分摂取とデンタルケアでお口の健康を保ちましょう。

呼吸を苦しそうにする

シニア期に入ると短頭種気道症候群の症状の進行から、呼吸がし辛くなってきます。短頭種気道症候群による呼吸困難は、死にいたるケースもあるため注意が必要です。愛犬が苦しそうに呼吸をしていたら、速やかに動物病院を受診してください。

階段の上り下りが辛そう

シニア犬になると、筋力の低下から足腰が弱くなり、これまで上れていた階段が登れなくなってしまうことがあります。

ただし筋力低下以外にも関節炎や椎間板ヘルニア、心肺機能の低下なども考えられるため、動物病院で検査を受けてください。

散歩に行きたがらない

シニア犬が散歩に行きたがらないおもな理由として、身体の不調や好奇心の低下が挙げられます。息苦しそうにしていないか、不自然な歩き方をしていないか確認してください。

シニア犬を、無理に歩かせる必要はありません。カートに乗せるなど、愛犬の体調に合わせて無理のない範囲で散歩に行きましょう。

シニア期のお世話で気をつけること

シニア期に入ったら、愛犬の変化を注意深く観察しましょう。食事の量や排泄物の状態、歩き方などに変化が見られたら早めに動物病院を受診してください。病気の早期発見は、シニア期の犬の健康を維持するうえで欠かせません。

またシニア期に入ると視力や聴力、嗅覚の衰えから犬は不安を感じやすくなります。お留守番の時間は、極力少なくなるように配慮しましょう。

フレンチブルドッグが10歳の壁を越えられるようにお世話しよう

今回はフレンチ・ブルドッグの寿命や気をつける病気などについて、詳しくお伝えしてきました。フレンチ・ブルドッグは、他の犬種に比べ身体が弱く寿命が短い傾向にあります。

また先天的な疾患も多いため、健康管理や環境の整備、栄養管理を徹底しなければならないでしょう。病気を早期に発見し、適切な治療を受ければフレンチブルドッグは長く生きられます。

ここでお伝えしたお世話の方法を実践し、フレンチブルドッグが10歳の壁を越えられるようにしましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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