ポメラニアンは飼いやすい? 性格や飼い方・注意が必要な病気やケガ

小さな身体にふわふわな被毛、小さな頭にクリッとした大きな丸い目が特徴のポメラニアン。その愛くるしい見た目から、飼いたいと思う方も多くいるでしょう。でも次のような疑問を持っている方も少なくないはずです。

  • ポメラニアンは飼いやすいの?
  • ポメラニアンってどんな性格?
  • ポメラニアンはどれくらい長生きする?

ポメラニアンに限らず犬を飼う際には、その犬種の特徴を事前に知っておくことが大切です。そこで今回は、ポメラニアンの歴史や性格、寿命、飼い方、気をつけたい病気・ケガなどを詳しく紹介します。ポメラニアンを飼いたいという方は、ぜひ参考にしてください。

ポメラニアンはどんな犬種?歴史について

ポメラニアンを飼いたいと考えている人の中には、歴史まで知る必要はないという方もいると思います。しかし、犬の性格や飼育方法は、その歴史を知ることで理解できることも多くあるのです。

ポメラニアンの歴史は古い

ポメラニアンの歴史は、およそ数世紀前からスタートします。先祖は「ジャーマン・スピッツ」と呼ばれる大型の犬種になり、スピッツを飼いやすく小型に品種改良をしてポメラニアンが誕生しました。

ポメラニアンの原産国はスピッツと同じくドイツであるといわれていますが、正確にはポーランドとドイツをまたいでいる「ポメラニア地方」です。ポメラニアンという名前もこの地域が由来となっています。

17世紀頃にはヨーロッパの貴族を中心に愛される犬種になり、なかでもヴィクトリア女王に愛された犬種として多くの人に認知されるようになりました。ポメラニアンは高貴で可愛らしい存在として、数世紀前から現代まで愛されているのです。

ポメラニアンの特徴と性格まとめ

犬種ごとの特徴や性格を知ることは、円滑なコミュニケーションや病気の予防のためにも重要です。ここでは、以下のポメラニアンについての特徴や性格を紹介していきます。

  • サイズや体重
  • 被毛や毛色
  • 基本的な性格

サイズや体重

小型犬であるポメラニアンは、「体高18〜25cm、体重1.5〜2.5kg程度」が標準だといわれています。想像よりも、小さくて軽いと感じた人が多いのではないでしょうか。

ポメラニアンは、ふわふわの被毛でふんわりと大きく見えますが、実際はとても細くて小柄です。大人の手のひらであれば、両手で簡単に胴体を掴めてしまうほどのサイズ感であると理解しておきましょう。

外見的な特徴は、マズルと呼ばれる鼻部分が短く黒目がクリクリとしており、尻尾は上を向いています。標準サイズより極端に大きいポメラニアンもいますが、元々大型であるスピッツの血筋であるため特段心配する必要はありません。

被毛や毛色

ポメラニアンの被毛はダブルコートと呼ばれ、アンダーコートとオーバーコートの2種類から構成されています。オーバーコートは皮膚に対して垂直に生えており、スタンド・オブ・コートとも呼ばれているのが特徴です。

ポメラニアン以外にも、サモエドやアラスカン・マラミュートが同じくスタンド・オブ・コートになります。ポメラニアンは1年を通して抜け毛が多い犬種ですが、1年に2回の換毛期と呼ばれる抜け毛が目立つ時期があります。

季節の変わり目など、抜け毛が多いなと感じた時は普段よりも入念にブラッシングをし、不要な抜け毛を取り除いてください。ポイントは根本からブラシを通し、毛の絡まりや汚れを落としてあげることです。毎日のブラッシングで、毛艶のいい綺麗な被毛を保てます。

毛色は10種類以上

ポメラニアンは、10種類以上の毛色が正式に認められています。代表的な毛色は以下の5種類です。

  • ホワイト
  • ブラック
  • ブラウン
  • オレンジ
  • グレー

SNSなどで真っ白のポメラニアンを目にする機会も少なくありません。しかし、実際には単色だけでなく、グラデーションのようになっていたり、2色が混ざっていたりと豊富な毛色が存在しています。

さらにポメラニアンは成長と共に毛色が変化するケースも多くあります。家に迎え入れた頃は真っ黒だったのに、成長と共にグレーに変化することもあるのです。「ホワイトがクリームに」「ブラックがグレーに」などの事例もあるので事前に理解しておきましょう。

ポメラニアンのふわふわで綺麗な被毛は、トリミング次第で様々なカットが楽しめるのもポイントです。最近は豆柴カットやたぬきカットなど、ポメラニアンだからこそ楽しめるスタイルも増えています。

基本的な性格

ポメラニアンはとても活発であるうえ、元気で人懐っこくフレンドリーな性格です。そのため、室内の運動では足りずにストレスを感じてしまう可能性も高く、毎日朝晩の散歩は必要になります。

元気がいいだけでなく、大型犬にも負けずに威嚇する力強さを備えており、番犬としての役割も担えるのが特徴です。ただし、元気であるが故に吠えやすい部分もあるので、きちんと飼い主さんがコントロールしてあげましょう。

ポメラニアンの寿命はどのくらい?

ポメラニアンの寿命は約12〜16歳程度といわれており、小型犬の中では比較的長寿な犬種になります。

とはいえ、ポメラニアンに限らず愛犬に長生きしてもらうためには、病気や怪我に気をつけてストレスのない生活が送れるよう、飼い主さんのサポートが必要です。

日頃から愛犬とのコミュニケーションを大事にし、ワクチン接種や定期的な検診などの健康管理を忘れずに続けましょう。

基本的なポメラニアンの飼い方と注意点

ポメラニアンの歴史や特徴を知っていただけたところで、次は基本的な買い方や注意点についてお伝えしていきます。特に理解しておくべきことは以下のとおりです。

  • 食事やおやつの量に気を付ける
  • 関節に負担をかけない生活をする
  • 被毛ケアを徹底する
  • 夏場は熱中症対策を徹底する
  • 吠えやすい犬種だと理解しておく

それぞれを詳しく確認していきましょう。

食事やおやつの量に気を付ける

ポメラニアンは元気が特徴の犬種ですが、太りやすい体質でもあります。一般的に犬は避妊、去勢手術の後に太りやすくなりますが、ポメラニアンは早い段階から気をつけておかなくてはなりません。

吠えるからといって、食事を多く与えて落ち着かせたり、おやつを頻繁にあげたりしていると、すぐに丸々と太ってしまいます。ドッグフードの種類や与える量、頻度は適正に管理してください。

関節に負担をかけない生活をする

ポメラニアンは骨が細いにも関わらず活発に動き回ってしまうため、関節に負担がかかるケースが多いです。そのため日常生活で関節に負担をかけないよう、ポメラニアンに合わせた家づくりが必要になります。

ソファやベッドには犬用の階段を設置し、階段やフローリングには滑り止めマットを敷きましょう。子供がいる家庭の場合、遊ぶときのルールを決めておくのもポイントです。

関節のトラブルは、一度発生すると癖になってしまいます。次から気をつければいいという考え方は危険なので、あらかじめ気をつけておきましょう。

被毛ケアを徹底する

ポメラニアンは小型犬の中でもふわふわの被毛が特徴的なため、被毛ケアは必須です。ほこりや汚れを巻き込んでいることが多く、できるだけブラッシングを毎日おこなうようにしましょう。

また、ブラッシングだけでなく、定期的なトリミングや自宅でのシャンプーもポメラニアンには必要です。身体を清潔に保つためにも、被毛ケアを徹底しましょう。

夏場は熱中症対策を徹底する

ポメラニアンは、原産国が寒さの厳しいドイツのため、寒さには強く暑さに弱いという特徴があります。そのため、夏場は室内外問わず熱中症対策が必要です。外出中や散歩中だけでなく、室内であっても熱中症になる犬は少なくありません。

エアコンをつけていれば問題ないと考えているかもしれませんが、停電や故障で止まってしまうリスクがあります。外出する際は、水の量や空気の通り道を確認し、万が一の際にも熱中症にならないように対策しておきましょう。

例えば、凍らせたペットボトルや保冷剤をタオルに包み、ケージに入れておくだけでも暑さをしのげるのでおすすめです。

吠えやすい犬種だと理解しておく

先ほどもお伝えしたように、ポメラニアンは元気で活発であるが故に、吠えやすい一面があります。そのため、マンションやアパートなどの集合住宅の方は、しつけを徹底する必要があることを理解しておきましょう。

ポメラニアンは、反応性が高い犬種なので、近隣からする物音や匂いに反応して吠えてしまう可能性もあります。しつけに自信がないという方は、ドッグトレーナーにお願いすることも検討しておいてください。

ポメラニアンが気を付けるべき病気やケガ

ポメラニアンを飼う際には、なりやすい病気や怪我について知っておく必要があります。特に気をつけたいのが次の5つです。

  • 皮膚病
  • 膝蓋骨脱臼
  • 白内障
  • 気管虚脱
  • 骨折

対策や予防ができるように、それぞれを詳しく解説していきます。

皮膚病

ポメラニアンはふわふわの被毛が特徴ですが、皮膚病になりやすい一面もあります。特に注意が必要なのが、「アロペシアX」と呼ばれる皮膚病です。別名「ポメラニアン脱毛症」といわれているほど、ポメラニアンに頻繁に見られる病気です。

頭や足に症状がみられ、脱毛しているにもかかわらずかゆみがないのが特徴。1歳から4歳頃に発病するケースが多いです。遺伝やホルモンが関係しているともいわれていますが、現在詳しい原因や改善方法はわかっていません。

命に関わる病気ではありませんが、目にみえる部分に脱毛の症状が現れるので、飼い主さんにとっても辛い病気です。

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼は小型犬に多く見られる病気で、足の関節から受け皿である膝蓋骨が外れた状態をいいます。膝を覆うように位置している膝蓋骨が足の内側、または外側に外れ、足を引きずったような歩き方をするのが特徴です。

膝蓋骨脱臼は一般的に「パテラ」と呼ばれており、小型犬の飼育経験がある人であれば一度は耳にするほど広く知られています。

膝蓋骨脱臼は度合いによって1〜4のグレードに分けられ、グレード3や4になると手術を提案されます。一度パテラになるとなかなか完治しないため、日頃から膝に負担をかけない生活を意識することが大切です。

白内障

犬の白内障も人間と同じように、段々と目が白く濁ったように見える病気です。白内障の初期症状は目のふちが少し白く見える程度なので飼い主も気が付きませんが、進行すると眼球全体が白くなってくるだけでなく視力の低下も感じ始めます。

白内障が発症する原因は遺伝や加齢がほとんどです。例えば階段を踏み外したり、トイレをする位置が少しズレていたり、こちらを見ているのに目が合っていないなど、違和感を感じた時には、すでに進行しているかもしれません。

一度白内障になってしまうと治療が難しいため、進行を遅らせるために犬用の点眼薬やサプリメントを使用するのが一般的です。白内障の予防が期待できるサプリメントを、早くから取り入れておくのも良いでしょう。

気管虚脱

気管虚脱もポメラニアンがなりやすい病気のひとつです。小型犬が陥りやすい病気のひとつで、チワワやマルチーズなどにも多く見られます。

何かしらの原因で気管が潰れ、呼吸が苦しくなり、ぜぇぜぇと苦しそうにしたり、呼吸と同時にピーピーと異常な音が鳴ったりするのが特徴です。基本的な治療法は投薬ですが、症状が重い場合は手術も考えられます。

加齢により発症する可能性も高くなるので、年齢を重ねたポメラニアンの場合は特に注意しておきましょう。

骨折

ポメラニアンは、「ペーパーボーン」と呼ばれるほど骨が細く、骨折のトラブルが絶えません。足元を駆け回っているときに誤って蹴飛ばしてしまったり、ソファや階段の上り下りを失敗したりなど、日常生活の中にも骨折する可能性が数多く潜んでいるのです。

一度骨折をすると完治まで数ヵ月かかることも多く、上手く歩けないストレスから違うトラブルが発生する可能性もあります。ソファには犬用の階段を設置し、階段には滑り止めマットを敷くなど、足に負担をかけないように対策しておきましょう。

ポメラニアンの特徴を理解してお迎えしよう

今回はポメラニアンの特徴について詳しくお伝えしてきました。特に気をつけておくべきポイントは以下のとおりです。

  • 元気で活発だが暑さに弱く吠えやすい一面もある
  • 骨や皮膚に関するトラブルが多いため予防や対策が重要
  • 健康で長生きしてもらうためには、適した環境を整える必要がある

ポメラニアンを家族として迎え入れて、互いに幸せに暮らすためには、これらのことを十分に理解しておく必要があります。ここでお伝えした内容を参考にして、ポメラニアンが安心して過ごせる環境の準備を進めましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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