犬に鶏肉を食べさせて大丈夫? 適切な量や調理法・注意点なども解説

鶏肉は、高たんぱく質でヘルシーなので、ドッグフードや犬のおやつに使われることが多い人気の食材です。しかし、犬に鶏肉を食べさせるときはさまざまな注意点もあります。

愛犬の健康や命を守るためにも、飼い主さんは鶏肉の調理法や適切な分量などを理解しておかなければいけません。

そこで今回は、犬に鶏肉を食べさせるときの適切な量や調理法、注意点などをご紹介します。犬を飼っている方は、ぜひご一読ください。

犬に鶏肉を食べさせても大丈夫?

結論から言うと、犬に鶏肉を食べさせても問題ありません。鶏肉は高たんぱく質なので、毎日食べても大丈夫です。むしろ、毎日の食事に鶏肉を取り入れることで、必要な栄養素を補うことができます。

特に、ささみは高たんぱく質で低脂肪、低カロリーなので、食べさせたい食材といえるでしょう。あっさりとしていて柔らかいので、ささみを好む犬も多いです。

ただし、量や与え方を誤ると、逆効果になるので注意してください。

1日あたりの分量

与えてよい量は、犬の個体差によって異なります。以下の分量を目安にして、適切な量を食べさせるようにしましょう。

  • 超小型犬 4㎏未満の犬。マルチーズ・チワワ・ヨークシャテリア・トイプードル・豆柴・マルチーズなど。1日当たりの分量は、50g程度
  • 小型犬 10㎏以下の犬。柴犬・ミニチュアダックスフンド・パグ・ボストンテリア・シーズーなど。1日当たりの分量は、150g程度
  • 中型犬 25㎏未満の犬。フレンチブルドッグ・ブルドッグ・ボーダーコリー・ビーグルなど。1日当たりの分量は、250g程度
  • 大型犬 25㎏以上の犬。レトリーバー・ドーベルマン・ボクサーなど。1日当たりの分量は、500g程度

鶏肉の主な栄養素

鶏肉には、さまざまな栄養素が含まれています。主な栄養素は、以下のとおりです。

  • たんぱく質
  • 必須アミノ酸
  • ビタミンA
  • イミダペプチド
  • ナイアシン

たんぱく質

鶏肉には、良質なたんぱく質が含まれています。たんぱく質は、被毛や内臓機能、骨、血液などの健康維持に欠かせません。

そして、鶏肉などの動物性たんぱく質は、植物性たんぱく質より効率よく吸収されるのが特徴です。

必須アミノ酸

犬の体を構成するために必要な必須アミノ酸は、免疫力維持や筋肉の形成などさまざまな働きがあります。

ちなみに、アミノ酸が複数繋がったものがたんぱく質です。鶏肉に含まれる必須アミノ酸は、牛や豚より多いといわれています。


ビタミンA

ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康に必要な栄養素の1つです。油に溶けやすい性質があります。与えすぎると中毒症状が引き起こされやすいので注意してください。

イミダペプチド

イミダペプチドは、疲労回復や認知予防、老化防止などの効果が期待できる栄養素です。一度に大量の摂取ができないため、毎日少しずつ摂取する必要があります。

ナイアシン

ナイアシンは、必須アミノ酸のトリプトファンから生合成されますが、その量はさほど多くありません。このため、食事でもナイアシンを摂取する必要があります。ナイアシンは、冷えや動脈硬化の予防効果が期待できます。

犬に鶏肉を与えるメリット

犬に鶏肉を与えることには、主に3つのメリットがあります。

  • たんぱく質を摂取できる
  • 肥満を予防できる
  • 疲労回復効果やガン予防効果が期待できる

たんぱく質を摂取できる

たんぱく質は、筋肉を作ったり被毛をきれいに保ったりと、体の調子を整える栄養素です。犬の健康維持に欠かせない栄養素といえるでしょう。

たんぱく質が不足すると免疫力が低下して、場合によっては皮膚疾患や下痢などを引き起こすこともあります。

鶏肉は高たんぱくで、部位によっては低脂肪です。特に、ささみは、ほかの肉類や鶏の部位よりも良質なたんぱく質が豊富です。

肥満を予防できる

ささみは、低カロリーな食材です。100gあたり約98kcalで、脂質の含有量も100gあたり0.8gと、ほかの肉類よりも低いです。さらに、脂質や糖質の代謝を促すナイアシンも豊富なので、ダイエット効果も期待できるでしょう。

愛犬が肥満気味の場合、または肥満を防ぎたい場合、ささみを与えることをおすすめします。ただし、与えすぎると、効果が無駄になってしまうので、量は適度にしてください。

疲労回復効果やガン予防が期待できる

ささみは、筋肉回復の効果があるアミノ酸やエネルギー代謝を高めるビタミンB群が豊富です。したがって、犬にささみを与えると、疲労回復効果が期待できるでしょう。

また、ささみは抗酸化作用があるセレンと呼ばれるミネラルも豊富です。セレンは、かつお節やマグロの赤身などにも含まれるミネラルです。

高い抗酸化作用のほか、免疫を強くする働きがあるため、ガンの発生率を低下させる効果も期待できます。

犬に鶏肉を与えるときのポイント【部位別】

鶏肉は部位によって、効果や与え方、適する犬が異なります。愛犬に鶏肉を与える前に、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • ささみ
  • 胸肉
  • レバー
  • 手羽
  • 鶏皮
  • 鶏もも肉
  • そのほか

ささみ

ささみは、高たんぱく質で消化しやすいのが特徴です。胸肉よりも低脂肪・低カロリーで、食事にもおやつにも適しています。リンとカリウムも豊富なので、ささみを与えすぎると尿毒症や脱水症状、腎不全になることもあるので注意してください。

また、愛犬の腎機能が低下している場合、カリウムの尿への排出量が減少し、体内に蓄積されやすくなります。

その結果、血液中のカリウム濃度が高くなり、不整脈や心停止になりやすいので、愛犬の腎機能が低下している場合、ささみを与えるのは控えた方がよいです。

胸肉

胸肉は低脂肪で、たんぱく質、ビタミンB群とナイアシン、イミダペプチドが豊富です。疲労回復効果が期待できる部位なので、運動量の多い犬や夏バテ対策、胃腸の不調が気になるシニア犬などにおすすめします。

レバー

レバーは、ビタミンAが豊富です。鶏のレバーは、豚や牛のレバーよりもクセがなく食べやすいといわれています。脂肪分が少ないので、ダイエット中のおやつにもおすすめです。

ただし、ビタミンAは過剰摂取すると肝臓に蓄積され中毒を起こす可能性があります。レバーは毎日与えずに、週1回程度を目安にしましょう。

手羽

手羽には、手羽先・手羽中・手羽元があります。関節の維持をサポートするコラーゲンが豊富で高脂肪なのが特徴です。細かい骨が多いため、与える際は必ず骨を取り除いて、ほぐしてください。

まや、手羽を茹でるとコクのあるスープが取れます。そのスープをドライフードにかけると、愛犬の食欲が進むかもしれません。また、水にスープを少量混ぜるという方法もあります。

鶏皮

鶏皮には、関節の動きをスムーズにするグルコサミンやコンドロイチンが含まれています。しかし、オメガオイルや脂質も多いので与えすぎると、肥満や糖尿病、心疾患の原因になりやすいです。

カロリーはささみの約5倍なので、お湯で火を通して油をしっかり落とすのが良いでしょう。

鶏もも肉

鶏もも肉は脂肪分が多く、弾力もあって旨味もあるため、好む犬が多いです。しかし、高カロリーなので与えすぎないようにしましょう。肥満気味の犬には、皮をそぎ取って身の部分だけを与えてください。

鉄分とビタミンB2が豊富なほか、「セレン」というミネラルも含まれています。セレンは、細胞の老化を防いで動脈硬化を予防する働きがある栄養素です。痩せ気味の犬、シニア犬、持病がある犬など栄養素を効率的に摂取したい場合におすすめ。

そのほか

せせりは、身が引き締まっていて噛み応えがあります。脂身が多く旨味が凝縮されているので、おやつに最適です。砂肝は低カロリー・高たんぱく質で、食感はコリコリしています。

丸呑みしないよう細かくカットして与えましょう。市販のつくねは、味付けやねぎなどが入っている可能性があるため注意が必要です。

犬に鶏肉を与えるときの注意点

犬に鶏肉を与えるとき、正しい与え方や量などを守る必要があります。場合によっては、愛犬の命に関わる深刻な事態になりかねません。以下の注意点は必ず守ってください。

  • 加工食品はNG
  • 骨は取り除く
  • たくさん与えすぎない
  • 十分に加熱する
  • アレルギーに要注意

加工食品はNG

人間が食べるフライドチキンなどの加工食品は、絶対にNGです。加工食品は、塩や砂糖、香辛料などで味付けされています。したがって、人間用の加工食品を犬が食べると、塩分過多や肥満、病気などにつながりやすいのです。

にんにく、玉ねぎなどの調味料が味付けされている加工食品の場合、中毒を起こして最悪の場合命に関わる可能性もあります。

万が一、愛犬が人間用の加工食品を間違って食べてしまったら、すぐに動物病院へ連れて行ってください。なお、加工商品同様に、鶏肉に砂糖やお酒などの調味料を入れるのはNGです。

骨は取り除く

鶏の骨には、縦に裂ける性質があります。万が一、犬が骨を噛み砕くと、愛犬の喉や器官を中心とした消化器官に刺さったり内臓を傷つけたりするリスクがあります。

場合によっては、腸で詰まり腸閉塞を患うこともあるかもしれません。したがって、鶏の骨は、絶対に与えないでください。

たくさん与えすぎない

鶏肉は身体によいものですが、食べ過ぎると消化不良や嘔吐の原因になります。また、肉ばかり与えると肝臓や腎臓に負担がかかりやすくなります。愛犬の健康のためにも、栄養のバランスを考えた食事にしてあげましょう。

十分に加熱する

鶏肉に限らず、生の肉を犬に与えるのは避けてください。生肉には、食中毒の原因となる菌や寄生虫が含まれています。特に、鶏肉は加工の際の衛生管理が厳しくないので、ほかの肉以上に生で食べることに適しません。

生の鶏肉には、大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクターなどの細菌やウイルスが付着している可能性が高いです。肉の表面を舐めるだけでも、付着している菌を体内に取り入れてしまう可能性があるのです。

犬に鶏肉を与えるときは、必ず火をしっかり通してください。細菌やウイルスは、加熱すると死滅します。鶏肉の中心部を75度で1分以上加熱しましょう。

茹でると余分な脂質を取り除けるので、たんぱく質を効率良く摂取できます。なお、鶏肉を扱う際は、別の食材に触れない、調理後の手洗いなども徹底してください。

アレルギーに要注意

まず、鶏肉アレルギーがある犬には、与えないのが鉄則です。症状には、皮膚疾患、下痢や嘔吐などがあります。原材料に鶏肉が含まれるおやつを食べてアレルギーを発症したことがある場合は与えるのをは避けましょう。

初めて鶏肉を与える場合は、少量ずつ与えて様子を見てください。与えた直後に下痢や嘔吐、口の周りや皮膚の痒みなどの症状があれば、動物病院を受診します。

なお、鶏肉アレルギーには先天性と後天性があるので油断は禁物です。

鶏肉を食べさせるときは少しずつ!加熱も忘れずに

高たんぱくの鶏肉には、肥満予防効果や疲労回復効果などが期待できるので、愛犬の食事にも積極的に取り入れたいところです。しかし、与え方や与える量を守る必要があります。

また、愛犬に持病やアレルギーがあるか、健康状態はよいか、などを考慮することも忘れずに。飼い主さんは、愛犬の健康を維持するために、鶏肉を上手に食材に活用しましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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