「最近、愛犬が夜になっても寝なくなった」とお悩みの飼い主さんも多いのではないでしょうか。人間と同様、犬にとって睡眠は心身の健康を保つために不可欠です。
しかし、運動不足やストレス、環境などが原因で眠れなくなくなってしまう犬もいます。愛犬が睡眠不足に陥らないためにも、飼い主さんは原因に適した対応をすることが重要です。
そこでこの記事では、犬が夜に寝ない原因について詳しく解説します。対処方法や病気の可能性についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ライフステージによる犬の平均睡眠時間
犬の睡眠時間は、ライフステージによって異なります。ライフステージは大きく以下の3つです。
- パピー期
- 成犬期
- シニア期
それぞれの睡眠時間について、具体的に解説していきます。
パピー期
パピー期はおよそ1歳までを指し、平均の睡眠時間は18〜20時間程度です。活発に動き、さまざまなことを学習するため、多くのエネルギーを消費します。エネルギーを消費した後は、栄養バランスの良い食事と十分な睡眠が不可欠です。
子犬を迎え入れたばかりのときは、少しでも一緒に過ごしたいと思う飼い主さんは多いです。しかし、成長の妨げとなるので、愛犬が寝ているときは邪魔しないようにしましょう。
成犬期
成犬期の平均睡眠時間は12〜15時間程度です。この時期でも、人間の約2倍の睡眠時間が必要になります。
飼い主さんと一緒に寝る犬の場合、飼い主さんの生活リズムに睡眠の質が左右されやすいです。愛犬の健康を維持するためにも、飼い主さんは規則正しい生活を送るよう心がけましょう。
シニア期
小型犬の場合は7〜8歳から、大型犬の場合は5〜6歳からがシニア期となります。パピー期と同様、平均の睡眠時間は18〜20時間程度です。
年齢とともに睡眠時間が長くなるため、1日中寝て過ごすことも珍しくありません。体力の回復や免疫力の向上、闘病などに睡眠は不可欠です。
特にシニア犬は、しっかりと睡眠が取れるように環境を整えてあげましょう。
犬が夜になっても寝ない原因
犬が夜になっても寝ない原因は、世代によって異なります。さまざまな原因があるため、飼い主さんはその原因を特定したうえで適切な対応を取ることが大切です。
子犬が寝ない原因
子犬が寝ない場合は、主に以下の原因が考えられます。
- エネルギーが余っている
- 環境に慣れていない
子供のいる家庭ではたくさん構われるため、寝るタイミングがなくなってしまいがちです。子犬は遊びが大好きなので、構われると遊び続けてしまいます。
しかし、睡眠時間が少ないと体調を崩す原因になりかねません。遊ぶ時間と寝かせる時間を決めてメリハリをつけることが大切です。
エネルギーが余っている
子犬は活発に動くため、日中のお昼寝が長かったり、遊び足りていなかったりすると、夜に寝ないことがあります。
エネルギーが余っている場合は、散歩の時間や運動量を増やすなどの工夫が必要です。程よい疲労感があると、睡眠の質が良くなります。
環境に慣れていない
環境に慣れていない場合は、少しずつ慣らしてあげたり落ち着けるような寝床を作ってあげたりする必要があります。
成犬が寝ない原因
成犬が寝ない場合は、主に以下の原因が考えられます。
- エネルギーが余っている
- ストレスが溜まっている
- お腹が空いている
- 寝床が落ち着かない
ストレスが溜まっている
犬もストレスが溜まっていると、眠れないことがあります。特に環境の変化がストレスにつながりやすいです。
引越しや新しい家族が増えたときは、愛犬の気持ちをケアしてあげましょう。ストレスが原因の場合は、優先的に解消することが大切です。
寝床が落ち着かない
犬は人間よりも音に敏感です。テレビや玄関の近くなどに寝床がある場合は、その音が気になって眠れなくなっているかもしれません。そのため、寝床は静かな場所に設置するのが理想的です。
老犬が寝ない原因
老犬が寝ない場合は、主に以下の原因が考えられます。
- 要求したいことがある
- 不安を感じている
- 体に痛みがある
- 認知症を発症している
要求したいことがある
「水を飲ませて欲しい」「トイレがしたい」など、要求を伝えるために寝ない場合があります。シニア犬は自分でできないことも多いため、飼い主さんはその要求にできるだけ応えてあげましょう。
不安を感じている
加齢に伴い普通にできていたことができなくなり、不安を感じる犬も多いです。また、犬の寝床が飼い主さんと離れていて不安を感じることもあります。
体に痛みを感じている
シニア期に入ると病気でなくても、体に痛みを感じることが少なくありません。痛みを感じて寝れない場合は、クッションや毛布などを寝床に入れてあげましょう。
認知症を発症している
夜鳴きしたりウロウロと歩き回ったりする場合は、認知症の可能性が高いです。夜寝ないだけでなく、他の症状が見られることが多くあります。
認知症は一度発症すると、完治できません。ただし、進行を止めることはできるので、少しでも認知症の疑いがあるときは早めに動物病院へ連れていきましょう。
睡眠不足が引き起こす犬への影響
睡眠不足が引き起こす犬への影響として、以下の2つが挙げられます。
- ストレスが溜まる
- 体力や免疫力が低下する
睡眠不足は犬に悪影響を及ぼすため、愛犬が連日寝てくれない場合は注意が必要です。
ストレスが溜まる
睡眠不足が続くと、ストレスが溜まります。人間と同様、イライラしてしまうことも多いです。睡眠不足のストレスが問題行動につながったり、無気力になってしまったりする可能性があります。
体力や免疫力が低下する
睡眠不足のストレスは精神面だけでなく、身体面にも悪影響を及ぼします。体力や免疫力が低下して病気にかかるリスクが高くなります。また、食欲の低下や下痢、嘔吐などの症状が出るケースも多いです。
犬が夜に寝ないときに確認するべきポイント
犬が夜に寝ないときに確認するべきポイントとして、以下の2つが挙げられます。
- 食欲・元気はあるか
- 怪我をしていないか
その日だけ寝つきが悪かった場合もあるので、飼い主さんは愛犬の食欲や元気さで病気かどうか判断します。
食欲・元気はあるか
老犬で食欲や元気がない場合は、心臓や肝臓などに異常があるかもしれません。特に、呼吸を苦しそうにしていて、横になって寝られないときは、心臓病や呼吸器疾患の可能性が高いです。
様子を観察しているうちに呼吸が停止してしまうリスクがあるので、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
怪我をしていないか
子犬の場合は、活発に動いて怪我をしている可能性があります。また、皮膚炎を起こし、皮膚がかゆくて眠れない可能性も考えられます。
愛犬の様子を観察し、痛みやかゆみを感じているようであれば、動物病院へ連れていきましょう。
犬が夜に寝ない場合の対処方法
犬が夜に寝ない場合の対処方法として、以下の5つが挙げられます。
- 寝床の環境を整える
- 飼い主の近くに寝床を用意する
- 食事の回数や内容を見直す
- 運動時間を増やす
- 動物病院へ連れて行く
飼い主さんは原因を特定したうえで、適切に対処することが大切です。
寝床の環境を整える
愛犬がリラックスできるように、寝床の環境を整えることが大切です。玄関やテレビの近くなど、音がうるさい場所は避けるようにしましょう。
また、ベッドではなく、ゲージやサークルのような囲まれた空間を作ると、落ち着いて眠れるようになることもあります。
飼い主の近くに寝床を用意する
老犬が寝ない場合、飼い主さんの近くに寝床を用意することで寝てくれる可能性があります。飼い主さんと離れると、不安を感じる犬が多いためです。
老犬は不安に感じることが増えるので、可能な限り不安となる要素を取り除いてあげましょう。
食事の回数や内容を見直す
お腹が空いて寝ない場合は食事の回数や内容を見直すと、改善する可能性があります。食事の回数が1日1回の場合は2回に増やし、2回の場合はドッグフードをふやかして与えると良いです。
適正体重であれば食事の回数や与え方を変えるだけでも、満腹感を得られるようになります。
運動時間を増やす
エネルギーが余って寝ない場合は、運動量を増やすのが効果的です。日中に良く運動させて、適度に日光に当てます。
犬は嗅覚で物事を判断する動物なので、散歩する際は草や土の匂いを嗅ぐ時間を与え、頭を使わせる方法もあります。
動物病院へ連れて行く
夜寝ないのが慢性化した場合や食欲・元気がない場合は、動物病院へ連れて行くことをおすすめします。気が隠れていることもあるため、早めに対応することが大切です。
夜に寝ない愛犬と接する際の注意点
夜に愛犬が寝てくれないと、飼い主さんは心身ともに疲れてしまいます。無理やり寝かせようとしたり、感情的に怒ってしまったりすることもあるかもしれませんが、愛犬のストレスは溜まる一方です。
更なる問題行動につながる可能性もあるため、余裕を持って接するようにしましょう。一人で抱え込まず、家族で交代しながら対応することも大切です。
愛犬が夜寝ない日が続く場合は早めに動物病院へ
今回は、愛犬が夜寝ない原因について詳しく解説しました。さまざまな原因があり、世代によっても異なります。そのため、飼い主さんは原因を特定したうえで、適切に対処することが大切です。
一時的に寝つきが悪いこともありますが、食欲や元気がない場合は病気が隠れているかもしれません。呼吸を苦しそうにしているときは、命の危険に関わるので早急に動物病院へ連れていきましょう。
睡眠不足は犬の体にさまざまな悪影響を及ぼします。そのため、夜寝ないのが慢性化したときも獣医師に診てもらった方が安心です。
執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季
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