犬が早食いをするのはなぜ? やめさせるべき理由やリスク・防止策を解説

「愛犬が早食いで心配」
「犬が早食いする理由は?」
「犬の早食いをやめさせる方法は?」

愛犬がフードを早食いする姿を見て、こんな不安や疑問を持っている飼い主さんも多いはずです。

早食いは癖になってしまうと、やめさせるのが大変なため、すぐに対処しなくてはなりません。

そこで今回は、犬が早食いする理由や対処法について、詳しくお伝えします。犬を飼っている方はもちろん、これから飼う予定がある方もぜひ参考にしてください。

犬の早食いってどんな行為?

犬の早食いとは、与えたフードを休まずに一気に食べてしまう行為を指しています。丸飲みするように食べるので、すぐに食事を終えてしまうケースが多いです。

通常は食事の途中で休憩をはさむように、顔を上げたり口で咀嚼したりします。硬い食べ物があれば、しっかり噛んでから飲み込む子も多いです。

しかし、早食いの場合は、硬い物でもそのまま飲み込んでしまうように食べます。そのため、食べ物をのどに詰まらせる恐れがあるので、注意して観察しておかないといけません。

犬が早食いをする理由

そもそもどうして、犬は早食いをしてしまうのでしょうか。主に考えられる理由は以下のとおりです。

  • 昔からある生物的本能
  • 咀嚼しにくい歯の形状
  • 犬種によって早食いしやすい

愛犬が早食いする理由が特定できるように、それぞれを詳しく確認していきましょう。

昔からある生物的本能

犬はもともと野生で生きていた動物です。野生での生活は厳しく、食事にありつけない日も珍しくありません。

そんな時代の本能が残っており、早く食べる習慣が抜け切れていない可能性があります。他の動物に獲物が盗られてしまうかもしれない焦りから、早食いの癖が野生の本能として残っているのです。

咀嚼しにくい歯の形状

犬は人間の歯とは形状が違います。獲物を捕獲するために犬歯が発達していますが、咀嚼するための形状はしていません。

人間の歯は、咀嚼しやすいように食べ物をすりつぶしやすい形状となっています。しかし、犬の歯は一つひとつが鋭い形状になっているので、食べ物をすりつぶすことに向いていません。

歯の形状が食べ物を嚙みにくい性質になっているため、犬は早食いになりやすいのです。

犬種の特徴によるもの

早食いの理由が、犬種の特徴による可能性もあります。早食いしやすい主な犬種は、次のとおりです。

  • ビーグル
  • レトリーバー
  • コーギー
  • フレンチブルドッグ
  • テリア種

それぞれの特徴や注意点をお伝えしていきます。

ビーグル

ビーグルは比較的、食いしん坊な性格をしている犬種です。食べることが好きなので、与えられた食事をすぐに平らげてしまいます。

個体によって早食いになるかわかりませんが、急いで食べる傾向が強いので日頃から注意深く観察してあげてください。

また、拾い食いをしやすい犬種とも言われているので、散歩のときには気を付けましょう。

レトリーバー

身体が大きいレトリーバーは必要な摂取カロリーが多いため、急いで食事をしやすい傾向があります。また、与える食事量を誤ってしまうと太りやすいので注意してください。

他にも、口が大きいことから大抵の物は丸飲み出来てしまいます。おもちゃや家具など、誤飲が多い犬種でもあるので、室内はこまめに整理整頓しておきましょう。

コーギー

コーギーは他の犬と食事を取り合うことがあるほど、食べ物に関して執着心が強い犬種です。喧嘩が多いようなら、別々の部屋で食事をさせる、時間を空けて与えるなどの配慮をしてあげてください。

また、適度な運動をさせないと肥満になりやすいので、日頃の散歩も欠かさず行いましょう。

フレンチブルドッグ

フレンチブルドッグは、急いで食事をする傾向があり、身体が小さいのに食事量が多くなりがちな犬種です。

早食いの癖が付いているときは、一度の食事量を少なめにする対策をとる必要があります。肥満になりやすい犬種なので、食事量や運動量は適切に管理してあげてください。

テリア種

テリア種は、食べることへの執着心が強く早食いになりやすい傾向にあります。また、狩猟本能が高く、野生の名残が強く残っているケースも多いです。

特に多頭飼いの家庭では、食べ物を取り合う可能性があります。食事の取り合いで喧嘩をするようなら、部屋を別々にして食事を与えるなどの配慮が必要です。

犬の早食いによるリスク

犬が早食いすると、さまざまなリスクが生じます。放置すれば、危険が伴う可能性があるので早めの対処が肝心です。

犬の早食いによるリスクには、以下のものがあります。

  • 喉につまって窒息
  • 誤嚥性肺炎
  • 胃拡張
  • 肥満

どのようなリスクがあるのか具体的に解説していきます。

喉につまって窒息

早食いは物を丸飲みするように食事をするため、喉に食べ物をつまらせるリスクがあります。特に水分量が少ないドライフードは、滑りが悪いため喉につまらせやすいです。

何度かむせるようなら、ドライフードをふやかしてから与えてあげてください。また、ウェットフードに切り替える対策もおすすめです。

誤嚥性肺炎

早食いによって食べ物が本来通る食道ではなく、気管に入ってしまうリスクがあります。気道に食べ物が入ってしまうと、細菌が肺に触れて「誤嚥性肺炎」を引き起こす恐れもあるでしょう。

誤嚥性肺炎は飲み込む力が弱くなっているシニア犬に多い病気ですが、早食いをする犬も引き起こしやすいです。できるだけ早食いは止めさせて、病気の発症を防ぎましょう。

胃拡張

早食いすると、食べ物と一緒に空気もお腹に溜め込む傾向があります。そのため、胃が大きく膨れ上がり、胃拡張になる可能性が高いです。

胃が拡張すると、胃がねじれる「胃捻転」に繋がる恐れがあります。胃捻転は血流障害になり、ショック状態に陥ってしまう危険性が高いです。

命にもかかわる恐れがあるので、犬が早食いした後は体調不良に陥っていないか、細かく様子を見てあげてください。

肥満

食事をするスピードが早いと、完食しても満腹感が得られにくいです。そのため、食事量が多くなり、食べ過ぎる恐れがあります。

摂取カロリーが多いと徐々に脂肪が蓄積され、肥満になるリスクが高いです。肥満は病気の原因になりやすいので、食べさせ過ぎないように注意してください。

犬が早食いしないための対処法

お伝えしたように、犬の早食いはさまざまなリスクがあります。そのため、次のような対処で愛犬を守ってあげなくてはなりません。

  • 早食い防止グッズ
  • 知育グッズ
  • フードを切り替える
  • 1回の食事量を減らす
  • 個々で食べる場所を別にする
  • 飼い主さんの手で直接食べさせる

早食いを防ぐにはどうすれば良いのか、詳しく解説していきます。

早食い防止グッズを活用する

ボコボコした食器や揺れる食器など、多くの早食い防止グッズが市販されています。犬がフードを食べづらいように設計されているので、早食い防止効果が期待できるのです。

通常の食器と比べて、食べるのに時間がかかるので、自然と早食いは矯正されていきます。愛犬に適した早食い防止グッズを選んで試してみてください。

知育グッズを活用する

おもちゃのなかにフードやおやつを入れて、転がすことで食べ物が出てくる知育グッズがあります。一つひとつを取り出すのに時間がかかるので、早食い防止に繋がるでしょう。

一緒に遊ぶ感覚で食事を楽しめるので、愛犬とのコミュニケーションの向上も期待できます。

フードを切り替える

食べなれたフードは、早食いしやすい傾向にあります。別のフードを切り替えることで、味の変化や食べづらさを感じるなどの理由で、早食いを防げる場合もあるのです。

また、形状が異なるフードを混ぜておくなどすれば、いつもより時間をかけて食べることがあります。さらに、フードをふやかしておけば、丸飲みできないので早食いを防ぐきっかけになるでしょう。

1回の食事量を減らす

一度の食事で、一気にフードを食べてしまうようなら、食事量を少なくする方法があります。1回の食事量が少ないのであれば、早食いでも喉をつまらせるリスクが低くなるでしょう。

ただし、1日の摂取量を減らすわけにはいかないので、少量のフードを数回に分けて与える必要があります。

極端に与える量は減らすのは逆効果

1回の食事量を減らせば、確かに早食いは防止できます。しかし、このときに重要なのが極端に与える量を減らさないということです。

空腹で食に対して貪欲になる恐れがあるため、より早食いしてしまう場合があります。フードの量を減らし過ぎないように注意してください。

個々で食べる場所を別にする

多頭飼いの家庭は、それぞれ別の場所で食事を与えるのも良いでしょう。同じ場所で食事をすると、先に食べないと取られてしまうと焦って早食いをしてしまう場合があるからです。

競争するように食べる性格の子がいるなら、別の場所でご飯をあげてみてください。

飼い主さんの手で直接食べさせる

飼い主さんの手から直接フードを与えるのも、ひとつの方法です。食べるペースを飼い主さん側でコントロールできるため、早食いになる心配がありません。

また、自分の手からフードを与えることで、コミュニケーションを取れるメリットもあります。

犬の早食いにすぐ対処が必要な2つのケース

犬が早食いした後に、次のような症状が出た場合は素早く動物病院へ連れていきましょう。

  • お腹が大きく膨れている
  • よだれを出している

適切な対処ができるように、詳しく確認していきましょう。

お腹が大きく膨れている

早食いをした後に、愛犬のお腹の状態を見てください。お腹が大きく膨れているようなら胃拡張の疑いがあります。

胃拡張は胃がねじれる「胃捻転」もつながりやすく、急に体調が悪くなる恐れがあるので危険です。お腹の膨れ方がいつもと違うと感じたときは、すぐに対処してください。

よだれを出している

早食いの後に、いつもよりよだれが出ているときも、胃拡張に陥っているサインです。人間のように吐き気や体調不良を感じとったときには、犬もよだれを出すことが多いです。

多量のよだれが止まらないときは、体調がかなり悪化している可能性があります。できるだけ早く、動物病院に連れていくようにしましょう。

愛犬の早食いはやめさせる必要がある

今回は犬の早食いについて、詳しくお伝えしてきました。早食いの理由は、本能や犬種の特徴によることも少なくありません。また、多頭飼いの環境で起こりやすい傾向にあります。

早食いは、窒息や胃拡張、肥満などのリスクも多いです。癖になってしまうと簡単に矯正できないため、ここでお伝えした対処法を参考にして、できるだけ早くやめさせてください。

また、早食いの後に、お腹が大きく膨れたり多量のよだれが出たりする際は、動物病院で適切な治療を受けさせるようにしましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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