犬が舐めてくるのはなぜ? 顔・足など場所で異なる意味やしつこい理由

「犬が舐めてくる理由や原因は?」
「犬がしつこく舐めてくる場合はどうすればいい?」
「舐めてくる場所によって理由は違うの?」

このような疑問をお持ちの飼い主さんも多いのではないでしょうか。愛犬が目を細めて、うれしそうにペロペロ舐めてくる姿は愛おしいものです。犬にとって舐める行為は、飼い主さんへの愛情表現だと言われています。

しかし、愛情表現以外の理由で飼い主さんを舐めることも少なくありません。そこで今回は、犬が飼い主さんを舐める理由と注意点を紹介します。犬が舐めてくるのをやめさせる方法についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

犬が飼い主を舐めてくる理由とは?

犬が飼い主さんを舐めてくる主な理由は以下の5つです。

  • 愛情表現
  • やめてほしいことがあるとき
  • 飼い主さんにかまってほしいとき
  • 気になる匂いがしたとき
  • ストレスがあるとき

愛犬がどのような理由で舐めてくるのかを理解し、適切な対応を取れるようにしましょう。犬が舐めてくる理由は以下の通りです。

飼い主を舐る理由①愛情表現

犬が飼い主さんを舐めてくる理由のひとつに、愛情表現が挙げられます。社会的な動物である犬は、舐めることで相手に愛情を伝え、絆を強めようとするからです。犬の親子や仲間同士でも、互いに舐めあう姿はよく見られます。

舐めあうことは犬にとって大切なコミュニケーション方法のひとつなのです。愛情を伝え確認することで、犬は安心して過ごせるようになります。

目を細めて優しく飼い主を舐めてくるときは、飼い主さんに「大好き」と愛情を伝えているのでしょう。

飼い主を舐る理由②やめてほしいことがあるとき

犬が飼い主さんを舐めてくる理由のひとつに、やめてほしいと訴えているケースが考えられます。たとえばトレーニング中やイタズラを叱っているときに、愛犬から上目遣いでペロペロ舐められた経験のある方は多いのではないでしょうか。

犬は舐めることで、「やめて」「怒らないで」と飼い主さんに訴えているのです。このような行動が見られたときは、愛犬がストレスを感じているサインです。トレーニングや叱りつけるのを中断しましょう。

飼い主を舐る理由③飼い主さんにかまってほしいとき

犬は飼い主さんに構ってほしいときや遊んでほしいときに、飼い主さんをペロペロ舐めて注意を引こうとします。

ソファーに座ってテレビを見ているときに、愛犬が隣にやってきてペロペロ舐めてきたときは「撫でて」「こっちを見て」と飼い主さんにアピールしているのでしょう。

ほかにも犬は寂しさを感じているのかもしれません。犬とのコミュニケーションの時間が、少なくなっていないかを振り返ってみましょう。

飼い主を舐る理由④気になる匂いがしたとき

犬が手や口をペロペロなめてくるときは、おいしい香りや気になる匂いがしたからかもしれません。犬は好奇心から、気になったものをペロペロ舐めたり口にいれたりして確認する習性があります。

リップやハンドクリームを塗ると、駆け寄ってきてペロペロ舐めてくる犬は多いものです。また食後に犬が口や手を舐めてくるときは、おいしそうな匂いが残っているからでしょう。

飼い主を舐る理由⑤ストレスがあるとき

犬が飼い主さんをしつこく舐めるときは、ストレスを感じている可能性があります。犬はストレスを解消させるために、信頼する飼い主さんを舐めて気持ちを落ち着かせようとするからです。

「舐める回数が増えた」「長時間にわたって舐め続けるようになった」このような変化が見られた場合は、ストレスを感じている可能性があります。

引越しや新しい家族が増えたなど環境の変化があった場合は、愛犬と過ごす時間を増やすなど、精神的な負担を減らせるように配慮してあげましょう。

犬が舐める場所で意味が異なる?部位別の理由を解説

犬が飼い主さんの体のどの場所を舐めるかによって、舐める理由が異なります。ここでは場所ごとの舐めてくる理由について紹介します。

  • 犬が顔を舐めてくる理由
  • 犬が飼い主の手を舐めてくる理由
  • 犬が飼い主の足を舐める理由

それぞれ詳しく見ていきましょう。

犬が顔を舐めてくる理由

犬が飼い主さんの顔を舐める理由は、愛情や信頼を伝えているときです。犬にとって顔や口を舐める行為は、最大限の愛情表現と言われています。

犬は家族や仲間同士など親しい間柄では、互いに顔や口を舐め合って愛情や信頼を伝え、絆を深めているのです。

帰宅したときに駆け寄って大喜びで犬が顔を舐めてくるときは、飼い主さんに「大好き」を伝えているのでしょう。ただし顔や口を舐められるのは、衛生上問題があるため注意は必要です。

犬が飼い主の手を舐めてくる理由

犬が手を舐めてくる理由は、遊んで欲しいときやかまってほしいときです。犬にとって飼い主さんの手は特別なものです。

優しく撫でてもらえたり、オヤツやごはんをくれたりする飼い主さんの手に、犬は特別な愛着を抱いています。飼い主さんがテレビやスマホに夢中になっているとき、犬がペロペロ手を舐めてきたら「こっちを向いて、撫でて」とアピールしているのでしょう。

犬が飼い主の足を舐める理由

犬が足を舐めてくる理由は、飼い主さんにかまってほしいときです。犬は足を舐めれば、飼い主さんが反応してくれると覚えています。

犬に足を舐められると思わず、くすぐったく笑ったり声をあげたりしていませんか。犬は足を舐めれば、飼い主さんが喜んでかまってくれると思っているのです。また、かまってほしいという理由の他に、単に足の匂いが好きな場合もあります。

犬が舐めてくるときに注意すること

犬が舐めてくるときに注意することは以下の通りです。

  • 口や顔を舐められたらよく洗う
  • 犬が舐めると危険なものは洗い流しておく
  • ストレスを抱えていないかチェックする
  • 初対面の人や飼い主以外を舐めないように注意する

それぞれ詳しく紹介します。

口や顔を舐められたらよく洗う

犬に口や顔を舐められたときは、よく洗い流しましょう。犬に口を舐められることで、感染症を発症する恐れがあるからです。犬は口内にパスツレラ菌などを保菌していると言われ、人間が感染すると腫れや痛み、発熱などの症状が現れる可能性もあります。

とくに赤ちゃんやお年寄り、体調不良などで免疫力が低下している方は、注意しなくてはいけません。顔や口以外にも傷口を舐められたときは、しっかり洗い流しましょう。

犬が舐めると危険なものは洗い流しておく

犬が舐めると危険なものを扱った際は、しっかり洗い流しましょう。たとえばネギや玉ねぎ、チョコレートなどは、犬が食べるとおう吐や下痢などの中毒症状を起こす可能性があります。

ほかにもハンドクリームやリップ、化粧品なども注意しなければいけません。人間用のスキンケア用品には、保存料や着色料、香料が使用されていることがほとんどです。

少量であっても毎日舐め続けると、身体に害を及ぼす可能性があります。犬が舐めるクセがある場合は、ペットが舐めても害のない化粧品やハンドクリームを選びましょう。

ストレスを抱えていないかチェックする

急に舐める頻度や時間が長くなった場合は、病気やストレスを抱えていないかチェックしましょう。犬は不安や恐れ、ストレスを感じると、信頼する飼い主さんを舐めることで気持ちを落ち着かせようとするからです。

舐める行為以外にも「元気がなくなった」「食欲がなくなった」「寝てばかりいる」このような変化が見られたら、ストレスや病気を抱えている恐れがあります。長く続く場合は、動物病院を受診したほうがよいでしょう。

初対面の人や飼い主以外を舐めないように注意する

愛犬が初対面の人や他人を舐めないように注意しましょう。人が大好きなフレンドリーな性格の犬は、飼い主さん以外の人であっても、会えたことがうれしくて挨拶代わりに顔や手をペロペロ舐めてしまうこともあります。

飼い主さんから見れば愛犬の愛らしい行動ですが、犬を飼っていない人は不快を感じることもあるでしょう。なかには犬アレルギーで、犬に舐められるとかゆみや湿疹、咳などの症状が出る人もいます。

愛犬が初対面の人や他人を舐めないように、日ごろからしつけを怠らないようにしてください。

犬がしつこく舐めてくるのをやめさせる4つの方法

これまでお伝えしたとおり、犬が舐めてくる原因はさまざまです。犬がしつこく舐めてくるときには、次の方法でやめさせるようにしてください。

  • 犬から離れて舐められないようにする
  • マテの指示を出して落ち着かせる
  • 犬と遊ぶ時間を増やす
  • どうしてもやめない場合は動物病院を受診する

愛犬の性格と舐めてくる理由を理解したうえで、適切な方法を選択できるように、詳しく確認していきましょう。

犬から離れて舐められないようにする

犬が愛情表現や甘えたい気持ちから舐めてきたときは、犬から離れましょう。尻尾を振って嬉しそうに舐めてくる愛犬の姿は愛らしいものですが、反応すると犬は喜んでもらえたと勘違いして、ますます飼い主さんを舐めるようになります。

犬が落ち着いて舐めるのを諦めたら、褒めてかまってあげましょう。このとき怒って声を上げるのは逆効果です。犬は構ってもらえたと勘違いするからです。

マテの指示を出して落ち着かせる

犬が喜びや興奮から舐めてきたときは「マテ」の指示に従わせ、舐めるのをやめさせましょう。帰宅時に大喜びで飛びついて顔や口をペロペロ舐めてきたときなどに、有効な方法です。

犬が「マテ」の指示に従い、舐めるのを止めたら褒めてあげましょう。「マテ」の指示は、犬に教えておきたい基本のしつけです。舐めるのをやめさせる以外にも、さまざまな場面で重要な役割を果たします。

犬が興奮したときに気持ちを落ち着かせたり、道路に飛び出そうとする犬の身を守ったりと欠かせません。犬が「マテ」の指示に従えるように、トレーニングを行いましょう。

犬と遊ぶ時間を増やす

犬がかまってほしくて頻繁に飼い主さんを舐めてくる場合は、遊ぶ時間や散歩の時間を増やし、コミュニケーションを多く取りましょう。犬は飼い主さんと触れ合い絆を深めることで、安心して過ごせるようになります。

まずは散歩が1日1回なのであれば、1日2回に増やしてみましょう。室内で遊ぶ場合は、ノーズワークやパズルを使った知育玩具などがおすすめです。犬の嗅覚を刺激する遊びは、脳トレやストレス解消、良好な関係作りに役立ちます。

5〜10分程度の短時間でも、毎日遊んであげるとよいでしょう。飼い主さんとのコミュニケーションの時間が増えれば、犬は満足してかまってほしくて舐めてくる機会も少なくなります。

どうしてもやめない場合は動物病院を受診する

犬が舐めるのをどうしてもやめない場合は、動物病院を受診しましょう。これまでお伝えした方法で、犬が舐めるのを止めない場合は、心や体の病気になっている可能性があります。犬は痛みやストレスから飼い主さんを舐めて落ち着こうとするからです。

「突然舐める回数が増えた」「舐める時間が長くなった」このような場合は、注意しなくてはいけません。早めに動物病院を受診し、適切な治療を受けましょう。

犬が人以外を舐める行動にも理由がある

犬は人以外を舐める行動にも理由があります。ここでは犬が舐める以下のケースについて見ていきましょう。

  • 自分の体を舐める理由とは
  • 犬同士で体を舐め合う理由とは
  • 床や地面を舐める理由とは

自分の体を舐める理由

犬が自分の体を舐める理由は、痛みやかゆみ、違和感を覚えているなどが挙げられます。食後や寝る前に、軽く体を舐める程度であれば問題ありませんが、同じ場所をしつこく舐めている場合は注意しなくてはいけません。

ケガや脱毛、湿疹などがないかチェックしてください。皮膚表面以外にも、骨折や腫瘍などによる違和感から、舐めてしまうケースもあります。早めに動物病院を受診し、検査を受けたほうがよいでしょう。

またケガや皮膚トラブル以外にも精神的な理由から、前足や尻尾を出血するまで舐め続ける場合もあります。このような行為が見られた場合は、行動診療科の専門医に相談しましょう。

犬同士で体を舐め合う理由

犬同士で体を舐めあう理由は、挨拶や愛情を伝え、信頼関係を築くためです。犬同士で舐めあう行為は、社会活動のひとつで、社会的グルーミングと呼ばれています。多頭飼育の犬同士では、ペロペロ舐めあう姿がよく見られるものです。

散歩中に仲良しの犬に会うと、顔や口を舐めて挨拶しています。犬は舐めあうことで、愛情や服従を相手に伝え絆を強め、信頼を確認しているのです。とくに口もとや顔を舐めている場合は、愛情や信頼を感じている証拠とされています。

床や地面を舐める理由

犬が床や地面を舐める理由は、ストレスや気になる匂いがしたからです。食べこぼしをきれいに掃除したつもりでも、嗅覚の優れた犬にはおいしい匂いがわかります。

ただし床を舐めているときに、よだれを大量に流している場合は、吐き気を感じているかもしれません。食欲に変化が見られないかチェックしましょう。

ほかにも強いストレスを感じると床や地面を舐める場合があります。環境に変化はなかったか、愛犬がストレスを感じている理由は何かを探り、取り除いてください。

犬のしつこいペロペロがクセになる前にやめさよう

今回は、犬が舐めてくる理由についてお伝えしてきました。犬が飼い主さんを舐める、おもな理由は、愛情表現や信頼を伝えるためです。

ただしストレスや病気、寂しさから舐めてくることもあります。愛犬がなぜ舐めてくるのか理由を探り、舐めないようにしてあげてください。ペロペロ舐める行為は、そのままにしておくとクセになってしまうからです。

今回お伝えした、しつけ方法を参考に犬が舐めるクセを防いでください。すでにクセになっている場合は、時間はかかりますが根気よく続けることで犬が舐めるのをやめさせられます。愛犬とは舐める以外の方法で、コミュニケーションを取るようにしましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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