犬がマウンティングする5つの原因|起こりうる問題とやめさせる方法

「犬がマウンティングをするのはなぜ?」
「愛犬のマウンティングをやめさせたい」

こんな悩みを持つ飼い主さんも多いのではないでしょうか。避妊や去勢をしている犬でも、マウンティングする場合があります。対象は犬だけでなく、人や物になることも多いです。

そこで今回は、犬がマウンティングをする原因と対処法について詳しく解説しています。愛犬のマウンティングをやめさせたい方は、ぜひ参考にしてください。

犬のマウンティングとは?

犬のマウンティングとは、オス犬が前足でメス犬の腰や背中を抱え、腰を振る行為です。本来は繁殖行動の際に行われますが、オス犬だけでなくメス犬がマウンティングすることもあります。

また、マウンティングの対象が人間やクッション、ぬいぐるみになることも多いです。

犬がマウンティングをする5つの原因

犬がマウンティングをする原因として、以下の5つが挙げられます。

  • 繁殖行動の練習のため
  • 優位性を示すため
  • 興奮しているため
  • ストレスを発散するため
  • 遊んでもらえると勘違いしているため

犬がマウンティングするのは、本能以外にも原因があります。そのため、飼い主さんはその原因をしっかり理解してあげることが大切です。

繁殖行動の練習のため

子犬がマウンティングしている場合、繁殖行動の練習をしている可能性が高いです。犬同士の遊びの一部は、狩猟の練習も兼ねています。

マウンティングも含め、子犬の頃の行動は、将来的に独り立ちして野生下でも生きていけるように行われる内容が多いです。

優位性を示すため

「マウントを取る」と日本語でもあるように、犬のマウンティングも自分の優位性を相手に示す行動のひとつです。

他の犬にマウンティングしている場合、自分の方が上であることをアピールしています。

興奮しているため

大好きな飼い主さんに遊んでもらえると、興奮する気持ちが抑えられなくなり、マウンティングする場合があります。

マウンティングの対象は人間だけでなく、クッションやぬいぐるみなど、犬によって異なります。楽しいと感じている証拠ですが、繰り返し行う可能性があるため注意が必要です。

ストレスを発散するため

「もっと散歩したい」「今は構わないで欲しい」「飼い主ともっと遊びたい」などの欲求がストレスとなり、それを発散するためにマウンティングしている可能性があります。

また、退屈だと感じたときに、周囲の物に対してマウンティングすることも多いです。

遊んでもらえると勘違いしているため

子犬がマウンティングをした際に、飼い主さんが声を出したり、頭を撫でたりすると、「遊んでもらえる」「褒められている」と勘違いしてしまいます。

このようなケースも、マウンティングを繰り返す可能性が高いため注意が必要です。

犬のマウンティングを放置した際に起こりうる問題

犬のマウンティングを放置した際に起こりうる問題として、以下の4つが挙げられます。

  • 飼い主の言うことを聞かなくなる
  • 愛犬の陰部に傷がついてしまう
  • 疾患の原因になる
  • 他の犬とのトラブルに発展する

犬のマウンティングを放置すると、さまざまなトラブルにつながる可能性が高いです。そのため、子犬の頃からしつけておくことをおすすめします。

飼い主の言うことを聞かなくなる

マウンティングを放置すると、飼い主と愛犬の信頼関係が崩れてしまうことがあります。愛犬が「飼い主は自分のわがままを何でも聞いてくれる」と勘違いすると、どんどん言うことを聞かなくなるため注意が必要です。

また、飼い主の言うことを聞かなくなると、吠え癖や噛み癖につながる可能性もあります。

愛犬の陰部に傷がついてしまう

マウンティングを続けていると、犬の陰部に傷がつくことがあります。デリケートな場所なので飼い主さんが気づかず、その傷が化膿してしまうケースも多いです。

化膿すると薬を飲んだり、舐めないようにエリザベスカラーをしたりなど、かえって愛犬にストレスを与えることになります。そのため、普段からマウンティングをやめさせることが大切です。

疾患の原因になる

マウンティングは、股関節や腰に大きな負担がかかります。癖になって何度も繰り返すと、関節症やヘルニアなど、疾患の原因となるため注意が必要です。

他の犬とトラブルに発展する

外でもマウンティングをする場合、他の犬や人とトラブルに発展します。犬同士で喧嘩になったり、散歩中に人に飛びついたりなど、危害を加える恐れがあるので注意しなくてはなりません。

犬のマウンティングをやめさせる4つの方法

犬のマウンティングをやめさせる方法として、以下の4つが挙げられます。

  • マウンティングの対象物を撤去する
  • ストレスを解消してあげる
  • しっかりしつけをする
  • 避妊または去勢手術を行う

マウンティングは癖になりやすく、放置しているとさまざまな問題につながる可能性があります。そのため、飼い主さんはしっかりしつけをすることが大切です。

マウンティングの対象物を撤去する

クッションやぬいぐるみなど、愛犬が特定の物に対してマウンティングをする場合は、対象物を撤去する必要があります。

特定の対象物にだけマウンティングをするケースは、この方法が効果的です。

ストレスを解消してあげる

ストレスがマウンティングにつながっている場合、ストレスを解消してあげるのが最も効果的です。

散歩時間や一緒に遊ぶ時間を増やしたり、知育玩具を与えたりなど、愛犬が毎日楽しく過ごせるように工夫しましょう。

しっかりしつけをする

マウンティングをやめさせるように、しっかりしつけをすることも重要です。まずは「待て」と「お座り」を愛犬に覚えさせましょう。愛犬がマウンティングをしそうになったら、「待て」または「お座り」のサインを出します。

飼い主に主導権があることを日頃から意識付けておくことで、このようなときでも従ってくれるようになります。どうしても従わないときは、びっくりさせる音などで間接的に罰を与えましょう。

ただし、どんなことがあっても体罰は絶対いけません。外でマウンティングを始めてしまい、飼い主さんのサインも無視する場合は、強制的にその場から退散させると良いです。

避妊または去勢手術を行う

メス犬は避妊手術、オス犬は去勢手術を行うと、マウンティングが軽減することもあります。しかし、犬のマウンティングは本能以外が原因であることも多いです。

そのため、ストレスなどが原因でマウンティングをしている場合は、避妊や去勢で頻度が減ることはありません。

【状況別】愛犬がマウンティングをしたときの対処法

愛犬がマウンティングをする対象には、主に以下3つがあります。

  • 他の犬にマウンティングした場合
  • 飼い主にマウンティングした場合
  • 物にマウンティングした場合

飼い主さんは状況に応じて、対処することが大切です。普段からしっかり愛犬の様子を観察し、マウンティングした際はすぐやめさせるようにしましょう。

他の犬にマウンティングした場合

散歩の途中やドッグランなどで他の犬にマウンティングをしたら、まずは飼い主さんから愛犬に声をかけて落ち着かせます。それでもやめない場合は、強制的にその場から離すことが大切です。

飼い主にマウンティングした場合

愛犬が飼い主さんの脚に乗ってきたときに、逃げたり騒いだりすると、遊んでくれると勘違いしてしまいます。その際に、主従関係が代わり、愛犬に主導権を握られることもあるため注意が必要です。

マウンティングをしそうなときは、しっかり叱りましょう。きちんとやめたら、褒めてあげるのがポイントです。しつこく絡んでくる場合は、無視して立ち去るのが効果的なこともあります。必ず一貫した対応をするのが重要です。

物にマウンティングした場合

愛犬が物に対してマウンティングをする場合は、対象物をあらかじめ片付けておくと良いです。

マウンティングの前に止められなかった際は、名前を呼んだり、他のおもちゃを投げたりして、気を逸らせたあとに回収します。

しつけがしっかりできている場合は、「待て」「お座り」のサインを出すのも効果的です。

愛犬のマウンティングに関するQ&A

最後に愛犬のマウンティングに関して多くの方が持つ、以下の疑問に回答していきます。

  • 犬のマウンティング中に出てくる液体は?
  • 犬がマウンティングを始める時期は?
  • 女性の方がマウンティングされやすいの?
  • マウンティングをしやすい犬種はいるの?

同じ疑問を持っている飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。

犬のマウンティング中に出てくる液体は?

犬のマウンティング中に、性器から液体が出てくることがあります。その液体は、精液を含む分泌物か尿のどちらかです。

マウンティングは性的に興奮しているだけでなく、嬉しさを感じているときにも行うため、この場合はいわゆる「嬉ション」になります。

犬がマウンティングを始める時期は?

犬がマウンティングを始めるのは、生後6ヵ月頃からと言われています。ただし、あくまでも平均で、中には生後2〜3ヵ月頃からマウンティングを始める犬もいます。

性成熟する前に行うマウンティングは、成長過程で見られる社会化行動のひとつです。避妊や去勢手術などをきっかけに、やめることもあります。

女性のほうがマウンティングされやすいの?

犬は生理中の女性に対してマウンティングしやすいと言われていますが、明確な根拠はありません

基本的に飼い主以外の人にマウンティングする際は、遊びの要素が強いと考えられています。

マウンティングをしやすい犬種はいるの?

マウンティングは基本的にどんな犬種でもしますが、体高が小さい犬種の方が人にマウンティングしやすいと言われています。つまり、小型犬がマウンティングしやすいということです。

ただし、遺伝子ではなく飼い主が原因である可能性も考えられています。小型犬は散歩時間が少なく、十分に運動ができていないのが原因となっているケースもあるためです。

愛犬のマウンティングに適切な対処をしよう

今回は、犬のマウンティングについて詳しく解説しました。犬のマウンティングは本能以外にも、ストレスの発散や感情の表現が原因として挙げられます。そのため、愛犬がマウンティングを始めたら、その原因を飼い主さんがしっかり理解してあげることが大切です。

また、マウンティングを放置しておくと、さまざまな問題に発展してしまいます。他の犬や人に危害を与えないのはもちろん、飼い主との主従関係や愛犬の体を守るためにもやめさせる必要があります。

ぜひこの記事を参考にして、愛犬のマウンティングに適切な対処をしてあげてください。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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