犬にラム肉を与えてもいい? 栄養素やメリット・与え方や注意点も紹介

栄養価が高いラム肉ですが、愛犬に与えていいのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

ラム肉は、健康効果がある食材です。犬に与える場合、事前にラム肉の基本的な知識を身に付けておく必要があります。

そこで今回は、ラム肉の栄養素やメリット、与え方や注意点などをご紹介します。犬を飼っている方は、ぜひご一読ください。

ラム肉とは

ラム肉は鮮やかな赤身の肉で、一般的に生後1年未満の若い羊肉を「ラム」、1年以上成長したものを「マトン」と呼びます。ドッグフードや犬用のおやつでも、ラム肉が使われることも増えてきました。

独特の香りがありますが、臭みはありません。マトン肉よりもラム肉の方が柔らかいので、ラム肉を好む犬は多いです。

犬にラム肉を与えてもよい?

犬にラム肉を与えても問題ありません。むしろ、ラム肉には、犬の健康維持に欠かせない栄養素がバランスよく含まれています。

ラム肉は、牛肉や鶏肉よりもアレルギー反応が少ないため、食物アレルギーを持つ犬にも向いています。ただし、正しい方法で与えることが重要です。

ラム肉の栄養素

ラム肉にはどんな栄養素が含まれているのか、ご紹介します。代表的な栄養素は、主に以下の6つです。

  • 鉄分
  • ビタミン
  • タンパク質
  • カルニチン
  • 脂質
  • ナイアシン

鉄分

ミネラルの一種である鉄分は、筋肉内のミオグロビンや赤血球内のヘモグロビンにとって必要不可欠な栄養素です。ラム肉は、他の肉よりも鉄分が豊富といわれています。

犬の場合、鉄分が不足すると貧血を起こしてしまうことがあるので、ヒート中やダイエット中、成長中の犬、妊娠している犬には積極的に摂らせるとよいでしょう。ただし、与えすぎないようにしてください。

ビタミン

ラム肉は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンEが豊富です。ビタミンB1、ビタミンB2には栄養素の代謝をサポートしたり、皮膚や粘膜の健康維持を助けたりする働き、ビタミンEには活性酸素の働きを抑えて、身体の機能を正常に保つ働きがあります。

体内で生成できない「ビタミンB12」の含有量も多いので、貧血防止におすすめの栄養素ともいえるでしょう。

タンパク質

体の健康維持に欠かせない栄養素といえば、タンパク質です。ラム肉の場合、消化しやすいタンパク質なので、消化不良や下痢などになりやすい犬にも適しています。

タンパク質に含まれるアミノ酸には、免疫力向上に役立つ「リシン」、体内の脂肪や糖分の燃焼に役立つ「L-カルチニン」などがあります。

カルニチン

ラム肉は、脂肪燃焼を助けるカルニチンも豊富です。カルニチンはアミノ酸から合成される成分で、果物や野菜、穀類にはほとんど含まれていません。

老化予防・心筋機能の強化などの働きもあり、アンチエイジング効果も期待できます。肥満がちな犬にも積極的に摂らせたい栄養素です。

脂質

ラム肉は飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸をバランスよく含んでいます。飽和脂肪酸は重要なエネルギー源です。

さらに、不飽和脂肪酸には、血中コレステロールや中性脂肪の低下を促したり体重コントロールのサポートをしたりする働きがあるので、どちらも犬の健康維持に欠かせません。

ナイアシン

ナイアシンは、タンパク質・炭水化物・脂質の代謝のサポートに必要な栄養素です。ナイアシンが不足すると、皮膚病や下痢・精神的な病気を患うことがあります。

トリプトファンからナイアシンを合成できますが、量が少ないので、食事でもナイアシンを摂取する必要があります。

犬にラム肉を与えるメリット

ラム肉入りのドッグフードが増えてきている一方で、馴染みのない食材という方もいるかもしれません。そこで、犬にラム肉を与えるメリットをご紹介します。

  • 体を温める
  • 活力の源になる
  • 胃腸に優しい
  • 貧血予防になる
  • 脂肪を燃焼する

体を温める

ラム肉は体を温める効果が非常に高く、犬の冷え対策にも効果的です。ラム肉に含まれるL-カルニチンが身体の新陳代謝を促進して、冷えを防ぐのです。

冷えは、犬の免疫力低下そしてさまざまな病気を引き起こす原因になります。冬や寒さが厳しいときにラム肉を与えると、より効果を実感しやすくなるでしょう。

活力の源になる

ラム肉は、必須アミノ酸が豊富です。活力の源になる栄養素なので、シニア犬や疲れやすい犬に与えると効果を実感しやすいでしょう。

また、旅行時や長時間外出をした時も犬は疲れやすいので、ラム肉を与えるとよいです。

胃腸に優しい

良質な動物性たんぱく質が多いのもラム肉の特徴です。消化吸収しやすく胃腸に負担をかけにくいため、下痢や便秘になりやすい犬にもおすすめしたい食材です。

貧血予防になる

ラム肉は、他の肉類と比較すると鉄分が多いため、造血作用が期待できるでしょう。さらに、貧血を予防するビタミンB12も含まれており、貧血予防にも役立ちます。

特に、ヒート(生理)中や妊娠中の犬、成長期の犬には、鉄分豊富なラム肉を積極的に食べさせるとよいでしょう。

脂肪を燃焼する

悪玉コレステロールを減らす不飽和脂肪酸、脂肪燃焼を促進する「L-カルニチン」も豊富なので、脂肪燃焼効果が期待できます。

さらに、ラム肉は消化吸収されるときの温度が他の肉よりも高いため、身体に脂肪が吸収されにくいです。

ラム肉を犬に与える方法

ラム肉を愛犬に与える場合は、主に2つの方法があります。加熱する方が安心ですが、生のまま与えることも可能です。ただし、気を付けたい点があるので、必ず目を通してください。

  • 生のまま与える
  • 加熱する

生のまま与える

新鮮なラム肉であれば、生でも構いません。生肉で与えても、栄養素は損なわず吸収することができます。しかし、生の場合、細菌や寄生虫のリスクはあります。

ラム肉は、ほかの肉よりも寄生虫や細菌の数が少ないだけで、まったくないわけではないのです。生で与えたい場合は、「鮮度が高いものを少しずつ」にしましょう。生肉を食べ慣れていない犬だと、たくさん与えると消化できず下痢をすることがあります。

その場合は、いったんいつものドッグフードに戻してみてください。落ち着いたら、いつものドッグフードの上に少量のラム肉をのせて食べさせてみて、様子を見ることをおすすめします。

加熱する

生肉の鮮度が少しでも落ちた場合や食中毒が心配な場合は、ボイルなどで加熱処理してから与えましょう。ラム肉を炒めて加熱処理をするのもおすすめです。

加熱処理してラム肉が硬くなるのを避けるならば、水を沸騰させた鍋の中に小さく刻んだラム肉を入れたら蓋をして火を切ってください。余熱で10分ちょっと火を通せば、出来上がりです。

ラム肉のドッグフードを選ぶときのポイント

ラム肉のドッグフードを購入するときは、購入前にパッケージで確認したい点が3つあります。

  • ラム肉の含有量が明確か
  • 原材料は何か
  • 添加物が入っていないか

ラム肉の含有量が明確か

ラム肉のドッグフードといっても、ラム肉がどのくらい配合されているのか分からない商品も多数あるのが現状です。原材料にラム肉がほとんど使われていなかったり、他のお肉と混ぜて動物性原料を増やしていたりすることもあるので注意してください。

「ラムミール」「ラム粉」と表記されているものもありますが、これは生肉よりもやや栄養価の低いラム肉のみを使用しているものです。ラムミールは、乾燥ラム肉(ラム肉粉)を意味します。

ラム肉のドッグフードを選ぶときは、生ラム肉を50%以上使っているものにしましょう。もし難しい場合、主原料にラム肉を使用しているものを選んでください。

原材料は何か

ドッグフードの原材料も、しっかりと確認してください。ラム&ライスと記載されたドッグフードは、ライス以外にも小麦、大豆、トウモロコシなどアレルゲンとなりやすい原料が使われていることが多いのです。

万が一、小麦や大豆アレルギーがある犬が食べたら、大変な事態になりかねません。また、ラム&ライスと記載されているのに、原材料の一部に鶏肉が使われていることもあります。ドッグフードを購入するときは、原材料をしっかりと確認することが重要です。

原材料の品質だけでなく、仕入れ先や製造工場、製造工程などの情報も開示されているとより安心です。

添加物が入っていないか

合成保存料や着色料、香料などの添加物が含まれているドッグフードは、安全とは言えません。添加物は、ドッグフードの品質維持や長持ちさせるために使われますが、犬が健康的な暮らしをする上では不要なものです。

ラム肉のドッグフードを購入する際は、添加物がないものを選びましょう。

犬にラム肉を与えるときの注意点

ラム肉の与え方や選び方などを理解できたところで、最後に、犬にラム肉を与えるときの注意点をご紹介します。

  • アレルギーや持病がある犬には与えない
  • 与えた後は様子を観察する
  • 与えすぎない
  • ダイエットには不向き

アレルギーや持病がある犬には与えない

食物アレルギーや持病がある犬には、ラム肉を与えない方がよいです。アレルギーがある犬の場合、下痢が生じやすいたんぱく質や脂肪を含む食品に注意する必要があります。

持病がある犬も要注意です。例えば、肝臓の病気がある犬にラム肉を与えると、肝臓に負担をかけやすくなります。

免疫力が低下している老犬や子犬に対しても、与えない方が安心です。愛犬にラム肉を与えたい場合は、事前に動物病院に相談することをおすすめします。

与えた後は様子を観察する

犬にラム肉を与えた後、下痢や嘔吐などの症状が現れることがあります。また、体質によってはアレルギーを起こすこともあるかもしれません。食物アレルギーの主な症状は、口や目の周り、耳、脇、足先などの皮膚の痒みです。

このような症状が現れたら、与えるのをすぐに中止して、動物病院に連れていきましょう。ラム肉を与えた後、少なくとも半日~1日は愛犬を観察することが重要です。

与えすぎない

ラム肉は、一般的に高たんぱく質・低カロリーです。消化吸収にとても優れている上、脂肪燃焼効果を促進する「L-カルニチン」が豊富なため、ダイエット食に活用する人も多いです。

しかし、ラムには脂質も多いため、与えすぎると肥満の原因となるので、適度な量を守るようにしましょう。

ダイエットには不向き

ラム肉は脂肪燃焼効果がありますが、カロリーが高いためダイエットには適しません。肥満の犬にラム肉を与える場合、少量にしてください。ラム肉は、ダイエット目的でなく、栄養補助として与えるくらいで十分です。

反対に愛犬の体重を増やしたい場合は、ラム肉を食べさせるとよいでしょう。しかし、与えすぎると体に悪影響を及ぼすので、注意が必要です。

また、運動不足だったりラム肉ばかりを食べさせていたりしたら、効果は半減します。適度な運動や栄養バランスを考慮することも忘れないようにしましょう。

ラム肉を正しく与えて愛犬の健康維持に努めよう

ラム肉は、貧血予防効果や脂肪燃焼効果などさまざまな健康効果が期待できる食材です。愛犬にラム肉を与えるときは、生でも大丈夫ですが、その場合は「鮮度が高いものを少しずつ」にしてください。

そして、ラム肉のドッグフードを食べさせるときは、購入前に原材料や添加物などをチェックすることが重要です。飼い主さんは、正しい与え方や量を守って、愛犬の健康を維持しましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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