愛犬がマムシに咬まれた! 症状・適切な対処や治療法|予防法も解説

「犬がマムシに咬まれたときの対処法は?」
「マムシが出やすい場所がどこ?」
「愛犬をマムシから守る方法は?」

自然が多い場所で遭遇しやすいのが、マムシです。特に夏は、愛犬がマムシに咬まれる可能性が高いです。

そこでこの記事では、犬がマムシに咬まれたときの症状や対処法などを解説しています。愛犬を守るために、ぜひご一読ください。

犬に危険を及ぼすマムシとは

マムシはクサリヘビ科の毒蛇の一種で、代表的なのはニホンマムシです。灰褐色の地に暗褐色の輪状の斑紋(はんもん)があるのが特徴ですが、アカマムシと呼ばれる赤褐色のマムシもいます。全長約60㎝程度で、頭は三角形、首は細く、尾部は細くて短めなのが、マムシの特徴といえるでしょう。

マムシは日本全土に生息しており、春から秋にかけて活動し、気温が低くなるにつれて動きが緩慢になり、冬は冬眠します。

8月から10月にかけてはマムシの産卵期なので、攻撃性が増します。毒性はハブの数倍あるので、犬が咬まれたらかなりのダメージです。

本来は大人しい性格ですが、犬がマムシの匂いをかいだり近付いたりすると、攻撃されたと認識して咬むことがあるので、注意する必要があります。なお、マムシは夜行性なので、昼間はあまり見かけません。

マムシに遭遇しやすい場所

マムシは、水田の脇や湿った草むら、田んぼなどのあぜ道などの湿地や竹薮などに住み着くことが多いです。藪や石の積まれたところに隠れていることもあるので注意してください。

足元に潜んでいるのに気づかず、間違えて踏んでしまったり、犬が噛んでしまったりするケースも考えられます。夜には、道路に出没することもあります。

犬はマムシに咬まれても大丈夫?

犬はマムシに咬まれても死なないという説がありますが、そんなことはありません。確かに、犬はマムシの毒に耐性があるので人と比べると死亡率は低いです。

犬がマムシに咬まれたとき、速やか且つ適切に処置を受ければ、比較的軽くすむ可能性もありますが、放置すれば傷が悪化し、皮膚や筋肉が壊死して死に至る可能性もあります。

咬まれた箇所や犬の身体の大きさ、体内に入った毒の量によっては、輸血が必要になることもあるでしょう。

また、咬まれた直後に、すぐに症状が出ないからといって、油断は禁物です。すぐに適切な処置をしないと傷口から継続的に出血するかもしれません。

犬がマムシに咬まれたときの症状

マムシに咬まれたかどうかは、飼い主さんが日頃から愛犬を観察していれば、異変にすぐに気づけるでしょう。マムシに咬まれたときの症状は、主に以下の3つです。

  • 咬まれた箇所が腫れる
  • 咬まれた場所をかばう
  • 重症の場合

咬まれた箇所が腫れる

腫れてくるのは、咬まれてから1時間以内のことが多いです。咬まれた際にキャンと鳴いて反応するケースもありますが、鳴かないケースもあります。

鳴かない場合でも咬まれた箇所が出血し、その周囲が腫れてくることが多いです。また、腫れたところの皮膚があざのようになることもあります。

咬まれた場所をかばう

足を咬まれた場合は、足をあげたり引きずったりして、咬まれた場所をかばう仕草を見せることが多いです。傷口にふれたら悲鳴を上げる可能性もあるでしょう。

重症の場合

以下のような症状が見られたら、きわめて危険な状態です。

  • 皮膚や筋肉の壊死
  • 嘔吐や下痢
  • 重度の腎不全
  • 呼吸困難
  • 食欲の低下
  • 意識の低下

など

すぐに最寄りの動物病院に連絡して、連れて行ってください。

犬がマムシに咬まれたときの対処法

愛犬がマムシに咬まれたら、飼い主さんは慌ててしまうかもしれませんが、冷静に対処してください。正しい対処が迅速にできるかどうかが、愛犬を守ることにつながります。

飼い主さんがするべき対処法は、以下の3つです。

  • むやみに動かさない
  • 咬まれた場所や状況を把握しておく
  • 動物病院を速やかに受診する

むやみに動かさない

愛犬が咬まれたとき、毒の回りを少しでも遅らせることが重要です。そのためには、むやみに動かさないでください。患部に触れたり毒を吸ったり圧迫したりすると、かえって悪化させてしまうことになります。

マムシに咬まれたときの応急処置は、傷口を流水で洗うくらいで十分です。痛みも強いはずなので、できるだけ刺激しないようにしましょう。マムシは毒を持っているので、下手に応急処置をしたら、飼い主さんが犬から毒をもらってしまう可能性もあります。

咬まれた時間や状況を把握しておく

動物病院を受診するときに備えて、咬まれた時間や状況についてメモを残しておくとよいでしょう。そのときの様子を詳細に伝えることが、適切な治療につながります。緊急度によっては、診療の順番を優先してもらえるかもしれません。

動物病院を速やかに受診する

愛犬が動き回らないように安静にさせて、かかりつけの動物病院に速やかに連れていってください。旅行中などの場合、現在地から最も近い動物病院に連絡します。

休診日の可能性もあるので、何軒かピックアップしておき、番号を控えておくと安心です。なお、出先で治療を受けた場合は、帰宅後かかりつけの病院に引き継ぐかもしれません。

使用した薬剤や治療内容をメモしてもらうことをおすすめします。そのメモをかかりつけの先生に渡すことで、治療がよりスムーズになります。

犬がマムシに咬まれたときの治療法

犬がマムシに咬まれたら、どんな治療を行うのか簡単に説明します。まずは、犬に抗生物質とステロイド剤を投与して、体内に毒が回るのを防がなくてはいけません。

軽い症状だと薬を投与して輸血、傷口の消毒で終わりますが、マムシに咬まれた場所が壊死している場合は、緊急手術を行います。ときには、入院や輸血が必要なケースもあります。

治療後どのくらいで治る?

治療を開始した段階で、症状がどのくらい悪化していたかによって、治る時期は異なります。例えば、咬まれてすぐに適切な処置を受けていれば、1週間以内には良くなることが多いでしょう。

一方、患部の壊死や化膿がひどい場合は皮膚や被毛の再生に1ヶ月以上かかります。犬にはマムシの抗体が存在しないので、噛みつかれてしまうとその箇所は腫れ上がります。しかし、適切な治療を数日続ければ、犬の容態は快方に向かうことが多いです。

犬がマムシに咬まれないための予防法

飼い主さんは、愛犬がマムシに咬まれないように、日頃から予防に努める必要があります。

具体的には、以下の2つを意識してみてください。

  • 安全な散歩コースを選ぶ
  • 日頃から適切なしつけを行う

安全な散歩コースを選ぶ

愛犬がマムシに咬まれないようにするには、散歩中にマムシがいそうな場所、すなわち、河川敷や草むらや茂みなどに近づかせないことが一番です。散歩のときはリードでつないで、自由に動き回らせないようにしましょう。

山や草むらなどを散歩するときに備えて、専用のハーネスやブーツなどの防具を用意しておくとよいです。春から秋にかけての季節は、マムシが活動的になる時期なので、特に注意してください。

日頃から適切なしつけを行う

犬は、本能的に動くものに興味を持ちます。動くものを見つけると、すぐに追いかけたり匂いを嗅いだりする犬が少なくありません。散歩中に愛犬が動くものを見つけても、反射的に追うことがないように適切なしつけが必要です。

散歩中は、愛犬とこまめにコミュニケーションを取り、愛犬が顔を上げて歩く練習をしておくとよいでしょう。万が一、何かに近づこうとしたときは、すぐにストップをかけることが重要です。

「ダメ、離れろ」または「おいで」などのコマンドを徹底して教えてください。キャンプなどのアウトドアに連れていくときも、必ず飼い主さんと一緒の行動を徹底させます。

マムシから愛犬を守ってあげよう

愛犬がマムシに咬まれたら、迅速且つ冷静に対処することが重要です。軽視または放置していたら、症状が悪化して、命に関わることもあります。最低限の応急処置をして、速やかに動物病院に連れていきましょう。

散歩中は、いつでも愛犬から目を離さないことが基本です。いつもの散歩コースでも安心せず、愛犬に何か変化がないか、危険なことはないか見守ることが飼い主さんの努めです。犬の身を守るためにも、命令に従うようにきちんとしつけておきましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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