犬が威嚇してくる原因は恐怖や警戒心? 対処法やしつけ・声やポーズ

「愛犬が散歩中に他の犬や人を威嚇する」
「愛犬が家族も威嚇してくる」
「犬が威嚇する原因や対処法を知りたい」

愛犬の威嚇は、飼い主さんにとって深刻な悩みですよね。

人や犬とすれ違うたびに威嚇するようでは、散歩もリラックスして楽しめません。なかには、「いつか愛犬に噛まれてしまうのではないか」と不安を持つ方もいるはずです。

そこでこの記事では、犬が威嚇する原因と対処方法を紹介します。犬の威嚇を予防するしつけ方法についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

犬が威嚇する原因

犬が威嚇する、おもな原因は次のとおりです。

  • 強さをアピールしたいから
  • 縄張り意識から
  • 恐怖を感じているから
  • 体に痛みを感じているから

それぞれ詳しく見ていきましょう。

強さをアピールしたいから

犬は、自分のほうが強いことを相手にわからせるために威嚇する場合があります。他の犬や飼い主よりも、自分が優位な立場であると主張しているのです。

強さをアピールする威嚇は、1〜3歳くらいの若齢のオスに起こりやすく、オス同士のケンカなどでよく見られます。

食べ物やおもちゃを守るため

犬は自分の食べ物やおもちゃを守るために、威嚇する場合があります。犬が食事をしているときに近づいて、威嚇された経験のある飼い主さんもいるでしょう。

また、犬がおもちゃで遊んでいるときに取り上げようとして「ウーウー」と唸られることもあります。このような威嚇行為は、人やほかの犬から自分の所有物を守るためのものです。

恐怖を感じているから

犬は追いつめられると恐怖を感じ、自分を守るために威嚇する場合があります。過去に経験した痛みを伴う治療や不適切なしつけ、虐待などが原因として考えられるでしょう。

過去の恐怖体験によるトラウマから、その体験を思い出すようなものを見ると自分を守るために威嚇することも少なくありません。

また、社会化ができていない犬は経験不足から、犬や人と接することに恐怖を感じやすく威嚇して追い払おうとします。

体に痛みを感じているから

犬は病気やケガが原因で体に痛みを感じていると、不快感やストレスから威嚇することがあります。触られると痛みを感じる場合は、痛みを避けるために触ろうとする人を威嚇することもあるでしょう。

これまで威嚇することのなかった犬が突然、威嚇するようになった場合は、痛みによる可能性が高いです。早めに動物病院を受診して適切な治療を受けましょう。

犬が威嚇するときに見せる行動

犬が威嚇するときに見せる行動について紹介します。このような行動が見られたら威嚇のサインです。

犬が威嚇するときに見せる、おもな行動には以下のようなものがあります。

  • 身体を硬くこわばらせる
  • 背中の毛が逆立つ
  • 鳴き声が低くなる
  • 尻尾を高い位置で振る
  • 鼻にしわを寄せて歯をむき出す
  • 噛みつく

それぞれを詳しく確認していきましょう。

身体を硬くこわばらせる

犬が威嚇の対象となる、ほかの犬や人の存在を認識すると姿勢は硬くなり緊張感が漂います。相手をじっと睨みつけ、体の重心は前方に移動するのが特徴です。また、耳を前方にピンと垂直に立たせ、尻尾も高く立てます。

背中の毛が逆立つ

他の犬や人を威嚇するとき、犬は背中や首の毛を逆立てます。興奮や緊張によって自律神経が刺激され、毛の毛根にある立毛筋が収縮するからです。

犬の背中の毛が逆立つのは、人の鳥肌のようなものといわれています。交感神経が働くことで筋肉が勝手に収縮するため、犬の意志でコントロールしているわけではありません。

鳴き声が低くなる

犬が威嚇しているときは、鳴き声が低くなります。犬が低い声で、のどを鳴らしながら「ウーウー」「ヴーグルグル」などと唸るときは、相手を威嚇しているときです。

おもちゃやガムを取り上げようとしたり、気に入らない相手が近づいて来たりしたときに見られます。

尻尾を高い位置で振る

犬が威嚇するときは、尻尾をピーンと高く上げて小刻みに振ります。犬が尻尾を振っていると、喜んでいると勘違いする方も多いでしょう。

犬が尻尾を振るときは、喜んでいるときだけではありません。犬は喜びやうれしさを表現する以外に、警戒や威嚇から尻尾を振る場合もあります。

大きくゆったり尻尾を振っているときは、喜びや嬉しさのサインです。一方でお尻を上げて高い位置で素早く尻尾を振っているときは、警戒や威嚇を表しているため注意しましょう。

鼻にしわを寄せて歯をむき出す

犬が鼻にシワをよせて歯をむき出して、ムキ顔になっているときは「これ以上近づくな」「触るな」と相手を威嚇しています。

「ヴーーー」と唸り声が伴うこともあるでしょう。犬は興奮状態で、攻撃態勢に入る一歩前です。飼い主として素早い対処が求められる段階です。

噛みつく

これまでお伝えした威嚇行動の段階で犬の興奮を収められないと、噛みついたり飛び掛かったりといった攻撃行動に出ます。

環境省が発表するデータによると、犬の咬傷事故は減少することなく毎年一定数発生しており、その多くが飼い犬によるものです。

愛犬が咬傷事故を起こせば、飼い主さんは責任を問われるでしょう。犬が咬傷事故を起こす前に対処する必要があります。

参考:犬による咬傷事故状況(全国計:昭和49年度~令和2年度)|環境省

犬が威嚇するときの対処方法

ここでは犬が威嚇する2つのケースの対処方法について紹介します。

  • 他の犬や人に威嚇する場合
  • 犬が飼い主に威嚇してくる場合

それぞれ詳しく紹介します。

他の犬や人に威嚇する場合

散歩中に犬や人に威嚇する場合は、愛犬が相手の存在に気がついた段階で対処することが大切です。たとえば愛犬の前に立って対象者を見えないようにしたり、行き先を変えたりします。

オスワリをさせ、飼い主さんに意識を集中させるのもよいでしょう。一度、攻撃態勢に入った犬の興奮を抑えるのは困難です。犬が攻撃態勢に入る前に興奮を抑えましょう。

犬が飼い主に威嚇してくる場合

犬が飼い主さんに対して威嚇してきたときは、慌てることなく冷静に対処しましょう。飼い主が動揺すると犬はそれを察知して、ますます興奮度は高まります。

怒鳴りつけたり叩いたりするなどの、強いしつけも控えましょう。愛犬との信頼関係を損ねる恐れがあります。

また、犬を落ち着かせるために触ろうとしてはいけません。興奮状態の犬の前に手を出せば、噛まれる危険性が高いからです。

犬の威嚇を予防するしつけ方法

犬の威嚇を予防する、しつけ方法は次のとおりです。

  • 信頼関係を築く
  • 社会性を養う
  • 基本的なコマンドを教える
  • 散歩やドッグスポーツでストレスを発散する

適切にしつけをするためにも、それぞれ詳しく確認していきましょう。

信頼関係を築く

犬の威嚇を予防するためには、犬と正しい信頼関係を築くことが大切です。犬のしつけは怒鳴ったり叩いたりしてはいけません。体罰をともなう厳しいしつけは信頼関係を損ね、犬が威嚇する原因になります。

だからといって犬を甘やかして好き放題させてもいけません。犬が正しく行動できるように、決定権は飼い主さんが持つようにしましょう。

社会性を養う

子犬のときに適切な社会性を養うことで、恐怖や不安による威嚇を予防できるでしょう。個体差はありますが、生後3週間〜14週間は犬の社会化期と呼ばれ、この時期に体験したことには順応しやすいといわれています。

この時期は、積極的に家族以外の人間に会う機会を設けましょう。また、ワクチン接種の前だからといって家だけで過ごすのではなく、抱っこやカートで散歩することも大切です。

この時期は、街を行きかう人や犬、走行する車などを見て人間社会に慣れさせる必要があります。子犬のときに、さまざまな体験をさせ社会性を養いましょう。

基本的なコマンドを教える

犬に基本的なコマンドを教えることで、威嚇などの攻撃行動を予防できます。「オスワリ」「フセ」「マテ」など、基本的なコマンドに従えるようにトレーニングしましょう。

オスワリやフセは、興奮した犬を落ち着かせる効果もあります。どんな状況であってもオスワリやフセのコマンドに従うように、しっかりとトレーニングすることが大切です。

また、飼い主さんの命令に従い褒められることで、犬は自信を持てるようになり心が安定します。心が安定していれば、不安や恐怖から威嚇することはなくなるでしょう。

散歩やドッグスポーツでストレスを発散する

運動不足によるストレスから、攻撃性が高まる場合もあります。1日朝夕2回の散歩に加え、ドッグスポーツやトレーニングでストレスを発散させましょう。ただし過度な運動は、興奮度が高まり威嚇につながることもあるので注意が必要です。

犬の個々の体力に合った、運動量を心掛けましょう。ノーズワークや知育玩具など嗅覚を使ったドッグスポーツは、興奮度を高めることなくストレスを発散できるのでおすすめです。

犬が威嚇して噛む場合は専門家に相談しよう

今回は、犬が威嚇する原因と対処法、威嚇するときに見せる行動について紹介しました。愛犬をよく観察し、威嚇の前兆が見られたら、お伝えした方法で威嚇を未然に防ぎましょう。

子犬のときの社会化やトレーニング、適度な運動は犬の威嚇を予防する効果があります。ただし、人や犬を噛むといった高い攻撃性がある場合は、個人の力では解決できません。動物行動学の専門医やドッグトレーナーに相談しましょう。

また、これまで威嚇することのなかった犬が急な攻撃性を見せた場合は、病気によるストレスかもしれません。このような場合は、かかりつけ医に相談し健康診断を受けましょう。

執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季

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