愛犬の口周りが変色している場合、よだれやけが考えられます。よだれやけはどの犬にも起こりうる現象ですが、「よだれやけって何?」「よだれやけの原因は?」など、分からないことも多いのではないでしょうか。
今回は、犬のよだれやけの原因や改善・予防方法について詳しく解説します。よだれやけを放置しておくと雑菌が繁殖する恐れがあり、衛生的によくありません。
清潔に保つためにも、定期的に愛犬のケアが必要です。愛犬のよだれが多い方や愛犬によだれやけができてしまった場合は、ぜひ参考にしてください。
犬がよだれを垂らす理由とは
犬がよだれを垂らす理由として、以下の6つが挙げられます。
- お腹が空いている
- リラックスしている
- 暑さを感じている
- ストレスを感じている
- 苦味や刺激を感じた
- 病気にかかっている
よだれが出ること自体は生理現象なので、どの犬にも見られます。しかし、よだれの量が急に多くなったときは、何かしらの理由があるはずです。
お腹が空いている
お腹が空いているときに食事を目の前にすると、よだれが増えやすくなります。この場合、食事を消化する準備の役割があるため心配ありません。
リラックスしている
寝ているときや飼い主さんと部屋でくつろいでいるときなど、リラックスしているときによだれが垂れることがあります。
これは副交感神経が優位になり、口の中を潤すためです。なお、リラックスしているときに出るよだれは、通常のよだれよりもサラサラしています。
暑さを感じている
犬は人間のように汗をかいて体温を調節できません。そのため、暑いときは舌を出して体の熱を放出します。
息を吐き出すとともに口の中の唾液を気化させることで、体温を下げることが可能です。暑いと口が開けっ放しになるため、よだれが垂れやすくなります。
ストレスを感じている
動物病院や知らない場所など、慣れない環境でストレスを感じると副交感神経が優位になり、よだれの量が増えます。それに加えて、息づかいが荒くなったり、震えたりする場合は、強いストレスを感じているサインです。
また、雷や台風など大きい音が発生する環境でも、緊張からよだれが増えることがあります。愛犬がストレスを感じているときは、その原因を取り除いてあげましょう。
どうしても難しい場合は、お気に入りのおもちゃやおやつなどを与えてストレスを軽減させてあげることが大切です。
苦味や刺激を感じた
薬など苦味があるものを飲ませると口の中の苦味や刺激を和らげようとして、よだれの量が増えることがあります。この場合、水を飲ませたり、フードを与えたりすることで落ち着きます。
病気にかかっている
口内炎や歯周病など、病気が原因でよだれの量が増えることがあります。よだれに加えて、食欲不振や発熱など他の症状が見られる場合は、動物病院へ連れていきましょう。
犬のよだれが多い場合に考えられる病気
犬のよだれが多い場合に考えられる病気として、以下の7つが挙げられます。
- 熱中症
- 歯周病・歯肉炎
- 口内炎
- 喉頭炎
- 胃炎・誤飲
- てんかん
- 口腔内腫瘍
それぞれの病気について、詳しく解説していきます。
熱中症
犬は体温調節が苦手な動物です。湿度や温度が高く、口呼吸だけでは体温調節が追いつかないと、熱中症になってしまいます。
熱中症になると大量のよだれが出るだけでなく、呼吸が荒くなり、下痢や嘔吐などの症状も見られます。対処が遅れると、悪化して命を落とす可能性もあるため早めの受診が必要です。
歯周病・歯肉炎
歯周病や歯肉炎はよだれの量が増える他、以下のような症状が見られます。
- 歯肉が赤く腫れる・出血や膿が出る
- 歯石がついている
- 口臭がきつくなる
- 食欲不振になる
- 口を気にする回数が増える
- 必要以上に口をこする
口の様子が普段と違ったり、嘔吐したりすることもあります。
口内炎
口内炎は、口の中の粘膜に起きる炎症の総称です。口の中のどこに起こるかで名称が変わります。歯肉炎も口内炎の一つで、原因は多岐に渡ります。
よだれ以外の症状として、食欲不振や講習、激しい痛みなどが挙げられます。なお、口内炎のときに出るよだれはドロっとしていたり、血が混ざっていたりする場合が多いです。
咽頭炎
喉頭炎とは、食道や気管の入り口が炎症を起こしている状態です。原因としては、ウイルスや細菌などに感染したり、タバコの煙や排気ガスなどの有毒物質を吸引したりなどが挙げられます。よだれ以外に、咳や呼吸障害、喉やリンパの腫れなども見られます。
胃炎・誤飲
よだれ以外に吐き気が見られるときは、胃炎や誤飲の可能性があります。誤飲した場合は、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
てんかん
てんかんは脳の病気で、てんかん発作などの症状が見られます。てんかん発作前の兆候として、大量のよだれが出ることがあります。その他、落ち着きがなくなったり、ウロウロ歩き回ったり、舌をぺろぺろしたりするのも症状のひとつです。
口腔内腫瘍
口腔内腫瘍には、良性と悪性があります。悪性の場合、痛みを引き起こすことも多く、口を閉じづらくなるためよだれの量が増えがちです。また、よだれ以外にも、食欲不振や歯茎や口周りからの出血、口臭などが見られます。
犬のよだれやけができる原因
犬のよだれやけができる原因として、以下の4つが挙げられます。
- 口内環境が悪化している
- ドッグフードの油分が付着している
- おもちゃや食器の汚れが付着している
- 口内の病気にかかっている
それぞれの原因について、詳しく解説していきます。
口内環境が悪化している
口の中のお手入れが不十分だと口内環境が悪くなります。また、口内の雑菌を含んだよだれが被毛や髭につくと雑菌が繁殖し、変色や異臭の原因となります。
ドッグフードの油分が付着している
油分が多いドッグフードを食べると被毛に油分が付着し、酸化・変色することでよだれやけとなります。そのため、油分が多いドッグフードを多く与えられている犬は、よだれやけを起こしやすいです。
おもちゃや食器の汚れが付着している
おもちゃや食器には、どうしても愛犬のよだれがついてしまいます。しかし、付着したよだれには口内の雑菌が含まれており、放置すると繁殖するため注意が必要です。
雑菌が繁殖したおもちゃや雑菌を使い続けると口内に雑菌が入り、口内環境は悪化します。その結果、よだれやけが起こりやすくなります。
口内の病気にかかっている
歯周病や歯肉炎など、口内の病気にかかっていると、よだれやけの原因となります。口内雑菌や汚れを少しでも取り除こうと、生理的によだれが多くなるためです。当然、よだれの量が増えると、よだれやけが起こりやすくなります。
犬のよだれやけの改善方法
犬のよだれやけの改善方法として、以下の3つが挙げられます。
- 重曹を使う
- 犬用クリーナーを使う
- ホワイトニング用のシャンプーを使う
それぞれの改善方法について、詳しく解説していきます。
重曹を使う
食用添加用の重曹水を作って被毛を洗ったり、拭いたりする方法があります。雑菌が増える原因となる皮脂やタンパク質を分解することが可能です。
犬用クリーナーを使う
よだれやけがひどい場合、重曹ではあまり綺麗にならないことがあります。その場合は、犬用クリーナーがおすすめです。
安全な成分で作られているため安心して使用できます。また、変色を戻すだけでなく、除菌効果もあります。
ホワイトニング用のシャンプーを使う
マルチーズなど真っ白な被毛の犬は、ホワイトニング用のシャンプーを使用することで、ある程度よだれやけを改善できます。効果が感じられない場合は、犬用クリーナーを使うと良いでしょう。
犬のよだれやけの予防方法
犬のよだれやけの予防方法として、以下の5つが挙げられます。
- 口周りを清潔に保つ
- 口周りの毛を短くする
- おもちゃや食器をこまめに洗う
- 歯磨きをする
- 食事を改善する
それぞれの予防方法について、詳しく解説していきます。
口周りを清潔に保つ
ご飯を食べた後は、口周りによだれがつきやすいです。そのため、濡らしたタオルやウェットティッシュなどでしっかり拭き取ってあげましょう。愛犬とお出かけするときにも持参することをおすすめします。
口周りの毛を短くする
日頃から口周りの毛を短くしておくと、よだれやけの予防に効果的です。よだれやけは一度起こると、元の状態に戻すのは簡単ではありません。
口周りの毛をカットするときは、トリミングサロンに依頼しましょう。飼い主さんがカットする方法もありますが、カット中に愛犬が動いてしまうと怪我につながる可能性が高いです。
おもちゃや食器をこまめに洗う
おもちゃは定期的に、食器は食事ごとに洗うようにしましょう。雑菌の繁殖を予防するためには、プラスチックよりもステンレスや陶器素材の食器が望ましいです。
毎日洗うのが難しいおもちゃは、殺菌力があって口に入っても問題のないスプレーなどを使うと良いです。
歯磨きをする
口内環境の悪化を防ぐためには、歯磨きをするのが効果的です。毎日行うのが最適ですが、難しい場合は最低でも3日に1回の頻度で行いましょう。
犬の歯垢が歯石になるスピードは、3〜5日とされています。愛犬が歯磨きを嫌がる場合は、3日かけて全部の歯を磨けば大丈夫です。
食事を改善する
油分の多い食事を与えている場合は、食事を改善するとよだれやけが起こりにくくなります。また、肥満や脂質異常症などの予防にもつながります。
油分が多い食事は愛犬が喜んでくれるため、ついついあげたくなりますが、適度な量で抑えることが大切です。
犬のよだれやけに関する質問
犬のよだれやけに関する質問として、以下の3つが挙げられます。
- よだれで病気かどうか判断する方法は?
- よだれやけに注意が必要な犬種は?
- よだれやけを放置するとどうなる?
それぞれの質問に対する回答を紹介していきます。
よだれで病気かどうか判断する方法は?
よだれを出すことは生理現象なので、どの犬にも見られます。しかし、ずっと大量のよだれを垂らしている場合は、病気の可能性が高いです。緊張や空腹時によだれを垂らすことはありますが、これらは一定の期間が経つと治ります。
継続的によだれを垂らしている場合は、歯周病や歯肉炎など口内の病気にかかっている恐れがあるので、早めに動物病院へ連れて行くことが大切です。
よだれやけに注意が必要な犬種は?
よだれやけを起こしやすい犬種は以下の通りです。
- トイ・プードル
- ヨークシャテリア
- シュナウザー
- マルチーズ
特徴的な被毛を持っている犬種には注意が必要です。また、これ以上の犬種でも、シニア犬になるとよだれの量や質が変わるため、よだれやけが起こりやすくなります。
よだれやけを放置するとどうなる?
よだれやけを放置すると雑菌が繁殖し、口の中に入る可能性があります。雑菌が口の中に入ると口内環境が悪化し、口内トラブルが起こりやすいです。よだれやけが起こったときは、早めにケアしてあげましょう。
犬の口周りや口内を清潔に保ってよだれやけを予防しよう
今回は、犬のよだれやけができる原因や改善・予防方法について詳しく解説しました。よだれやけは、口内環境の悪化や油分の多い食事などが原因で起こります。
トイプードルやマルチーズなどよだれやけが起こりやすい犬種も存在しますが、どの犬にも起こりうるため、飼い主さんは予防してあげることが大切です。
歯磨きをしたり、油分の少ない食事を与えたりすることで、よだれやけが起こりにくくなります。また、おもちゃや食器も清潔に保ちましょう。それでもよだれやけができてしまった場合は、重曹や犬用クリーナーでケアする必要があります。
命に関わらないからといって放置するのはNGです。この記事を参考にして、愛犬のよだれやけをしっかりケアしてあげてください。
執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季
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