愛犬の鼻詰まりを心配している飼い主さんは多いのではないでしょうか。また、「鼻詰まりの原因は?」「鼻詰まりの治し方は?」など、疑問に思うこともあるはずです。
鼻詰まりは生理的現象の一つですが、他の症状を併発していたり、鼻水の色が普段と違ったりする場合は、病気にかかっている可能性が考えられます。
今回の記事では、犬の鼻詰まりの原因や対処法・予防法について詳しく解説します。鼻詰まりで考えられる病気も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
犬の鼻詰まりで見られる症状
鼻が詰まっている犬は、鼻から息を吸ったり吐いたりする際に音が出る場合が多いです。鼻で呼吸しづらいため、口呼吸するケースもあります。また、睡眠中にいびきをかくことも鼻詰まりで見られる症状の一つです。
犬の鼻詰まりの原因
犬の鼻詰まりの原因として、以下の5つが挙げられます。
- 生理的現象
- 寒さ
- アレルギー反応
- 老化
- 病気
それぞれの原因について、詳しく解説していきます。
生理的現象
鼻の中に入ったごみを出そうとすると、鼻詰まりを引き起こす場合があります。鼻水が透明でさらさらしていて、呼吸も普段通りであれば病気の可能性は少ないです。
寒さ
犬も人間と同様に、寒さを感じると鼻詰まりを引き起こす場合があります。体内に冷たい空気を入れないようにするために、鼻の中で空気を温めることが原因です。
鼻への血液供給の量が増えると、鼻腔内の分泌腺や血流が活性化し、結果的に鼻水が作られます。
アレルギー反応
ダニやハウスダスト、食べ物などのアレルギー反応によって、鼻詰まりを引き起こす場合があります。アレルギー反応が出ているときは、水っぽい鼻水が出続けることが多いです。
老化
老化によって鼻の機能が低下し鼻腔内が乾燥することで、鼻詰まりを引き起こすことがあります。
病気
生理的な反応による鼻詰まりの場合、症状は一時的です。しかし、鼻詰まりが続いたり他の症状も併発したりする場合は、何らかの病気にかかっている可能性があります。病気が疑われるときは、早めに動物病院で診てもらいましょう。
犬の鼻詰まりで考えられる病気
犬の鼻詰まりで考えられる病気として、以下の5つが挙げられます。
- ケンネルコフ
- 鼻腔内腫瘍
- 歯周病
- 肺水腫
- 鼻炎
それぞれの病気について、詳しく解説していきます。
ケンネルコフ
ケンネルコフ(伝染性気管支炎)とは、伝染性の呼吸器疾患の総称です。生後6週から6ヶ月の子犬がかかりやすく、鼻水の他に発熱や咳、食欲不振などの症状が見られます。
すぐに治療すれば1週間程度で完治する病気ですが、治療が遅れて重症化すると命に関わる危険性があります。
また、ケンネルコフは接触感染や飛沫感染するため、他の犬にうつってしまうケースも多いです。ただし、人にうつることはありません。
鼻腔内腫瘍
鼻腔内腫瘍とは、鼻の中で発生する腫瘍の総称です。鼻水の他に、くしゃみや鼻血などの症状が見られます。
鼻腔内腫瘍のほとんどが悪性腫瘍であり、比較的進行が早いのが特徴です。進行すると眼や脳を圧迫したり皮膚を破って表面に出てきたりします。早期発見・早期治療が重要な病気です。
歯周病
歯周病とは、歯垢の細菌によって歯肉が炎症し、歯を支えている骨を溶かす病気のことです。歯周病が重症化すると、犬の口と鼻を隔てている骨に穴が開き、鼻の中も炎症します。
最初はさらさらとした鼻水が出ますが、徐々に膿が混ざってネバネバとした鼻水に変わります。また、鼻水の他に、くしゃみや鼻血などの症状も見られます。
肺水腫
肺水腫とは、肺に水が溜まる病気のことです。心臓病や肺炎などが原因で発症し、チアノーゼや呼吸困難などの症状が見られます。進行すると、血の混じった泡状の鼻水が出ます。
鼻炎
鼻炎とは、鼻腔内の粘膜が炎症している状態のことです。ウイルスや細菌などの感染で起こる鼻炎と、花粉やほこりによるアレルギー性の鼻炎があります。鼻炎は、鼻詰まりを引き起こす原因の中で最も多いです。
病気による鼻詰まりかどうか判断する方法
病気による鼻詰まりかどうか判断する方法として、以下の2つが挙げられます。
- 鼻水の色を確認する
- 鼻水以外に他の症状が出ていないか確認する
それぞれの方法について、詳しく解説していきます。
鼻水の色を確認する
鼻水の色は大きく3つに分けられます。鼻水の色によってどのような判断ができるかを、詳しく確認していきましょう。
透明
透明でさらさらとした鼻水は、生理的な反応である可能性が高いです。一時的な症状であれば、心配しなくても大丈夫でしょう。
しかし、子犬の場合はケンネルコフの兆候であることも考えられます。重症化すると黄色のネバネバした鼻水に変わるため、様子を見ることが大切です。
黄色
黄色の鼻水は、細菌が関与している可能性が高いです。風邪以外に、ウイルスや真菌などによる鼻炎に細菌が増殖して黄色の鼻水が出ることもあります。
黄色の鼻水を放置すると、蓄膿症になる可能性があるため注意が必要です。犬の蓄膿症は治りづらく、早期治療が求められます。
赤色・ピンク
赤色やピンクの鼻水は血が混ざっており、真菌の感染や鼻炎の重症化などで出る場合が多いです。慢性化しているときは、鼻腔内腫瘍の可能性があります。
また、高血圧や止血異常などの病気でも出血性の鼻水は出るので、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
鼻水以外に他の症状が出ていないか確認する
鼻水が出ると、他の症状も併発する場合があります。ここでは、代表的な4つの症状について確認していきましょう。
いびき
鼻詰まりによって空気の通りが悪くなると、いびきをかくことがあります。肥満の犬はダイエットすることでいびきを軽減できますが、疾患が原因の場合は治療が必要です。
くしゃみ
くしゃみは生理的な反応で出るため、基本的に対処する必要がありません。ただし、くしゃみの回数が明らかに増えた場合は、何かしらの病気が疑われるため、早めに動物病院へ連れて行きましょう。
発熱
細菌やウイルスに感染すると、炎症反応から発熱することがあります。発熱があるときは、すぐに動物病院へ連れて行くことが大切です。
目やに
細菌やウイルスが粘膜にも感染すると、目やにが発生します。また、異所性睫毛や眼瞼内反も目やにが発生する原因の一つです。
犬の鼻詰まりの対処法
犬の鼻詰まりの対処法として、以下の3つが挙げられます。
- 加湿器で湿度を上げる
- ツボをマッサージする
- 適切な方法で治療する
それぞれの対処法について、詳しく解説していきます。
加湿器で湿度を上げる
空気が乾燥していると鼻が詰まりやすくなるので、加湿器で湿度を上げると鼻詰まりの症状を抑えられます。蒸しタオルをマズルに当てる方法も有効ですが、愛犬が火傷しないように注意しましょう。
ツボをマッサージする
愛犬のツボをマッサージすると、鼻詰まりを軽減できます。
目頭にある「晴明(せいめい)」や、鼻先の近くにある「山根(さんこん)」、小鼻の脇にある「迎香(げいこう)」などのツボは、鼻詰まりの解消に効果的です。スキンシップも同時にできるため、愛犬との絆も深まるでしょう。
適切な方法で治療する
鼻詰まりを引き越す病気を抱えている場合は、適切な方法で治療する必要があります。根本的な原因を取り除くことで、鼻詰まりは軽減されるでしょう。
犬の鼻詰まりの予防法
犬の鼻詰まりの予防法として、以下の5つが挙げられます。
- 部屋の中を清潔に保つ
- 適切な室内温度を保つ
- 免疫力を高める
- 予防接種を受ける
- 食後に歯磨きをする
それぞれの予防法について、詳しく解説していきます。
部屋の中を清潔に保つ
生理的な反応で出る鼻水は、基本的にハウスダストが原因となります。そのため、常に部屋の中を清潔に保つことが大切です。
適切な室内温度を保つ
室内が寒いのも、鼻水が出る原因です。適切な室内温度を保ち、特に冬は湿度も調整しましょう。
免疫力を高める
免疫力が落ちているとウイルスや細菌に感染する可能性が高まるため、適度な運動や栄養バランスが取れた食事を心がけましょう。また、愛犬にストレスがかからないようにすることも大切です。
予防接種を受ける
一部のウイルスは混合ワクチンで予防できるため、予防接種を受ける方法も有効です。また、細菌やウイルスに感染している犬には、接触させないように注意しましょう。
食後に歯磨きをする
鼻詰まりの原因となる歯周病は、歯磨きによってある程度予防できます。そのため、毎日歯磨きをするのが望ましいです。また老犬の場合は、定期的に歯の状態を動物病院で診てもらうと安心です。
犬の鼻詰まりでよくある質問
犬の鼻詰まりでよくある質問として、以下の3つが挙げられます。
- 鼻詰まりが起こりやすい犬種は?
- 鼻詰まりが起きたらすぐに動物病院へ連れて行くべき?
- 鼻水はどうやって拭き取れば良い?
それぞれの質問に対する回答を紹介していきます。
鼻詰まりが起こりやすい犬種は?
パグやフレンチブルドッグ、シーズーなど、短頭種に分類される犬種は鼻が詰まりやすいです。鼻の穴が狭く、空気が通る道が複雑な構造をしています。鼻水が外に出づらく、結果的に鼻詰まりを起こしやすい傾向があります。
鼻詰まりが起きたらすぐに動物病院へ連れて行くべき?
透明でさらさらとした鼻水が出ていて、症状が一時的であれば様子を見ても問題ありません。ただし、呼吸が苦しそうだったり食欲不振・鼻血が見られたりする場合は、すぐに動物病院へ連れていくことが大切です。
鼻水はどうやって拭き取れば良い?
愛犬の鼻水を拭き取る際は、ティッシュやガーゼを使いましょう。固まっている場合は、無理やり取るのではなく、40℃程度の蒸しタオルでふやかしながら取ることが大切です。多頭飼いの家庭では、他の犬が拭き取ったものに触れないよう注意が必要です。
犬の鼻詰まりが続く場合は動物病院へ連れて行こう
今回は、犬の鼻詰まりが起こる原因や対処法・予防法などについて詳しく解説しました。鼻詰まりは生理現象の一つなので、一時的に症状が見られる場合は問題ないと言えます。
しかし、症状が継続したり、他の症状が併発したりする場合は、何かしらの病気にかかっている可能性が高いです。
悪化すると命にかかわる病気であるため、少しでも病気の疑いが出たときは動物病院へ連れて行きましょう。
執筆:いぬのあのね編集部
イラスト:ヴァイクセルブラウン花咲季
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